マーケティング

マーケティングは販売を不要にする!ドラッカーに学ぶ「マーケティングの本質」とは?

「マーケティングとは何か」という問いの答えは、専門家の間でもいくつかに分かれます。そのなかで、「マーケティングの理想は販売を不要にすること」だと述べているのがピーター・F・ドラッカーです。

ドラッカーといえば「マネジメントの父」とも称される人物であり、著書『マネジメント』があまりにも有名ですね。そんなドラッカーは、企業が持つ基本的な機能はたった2つだけであり、そのうちの1つがマーケティングだと位置付けています

今回は、マーケティングや経営に関するドラッカーの名言を紹介しながら、ドラッカーが考える「マーケティングの本質」について解説しましょう。

「マーケティングの理想は販売を不要にすること」― ドラッカーにとってマーケティングとは何か?

あまり詳しくない人に「マーケティングとは何か?」と尋ねてみると、多くの場合「市場の調査や分析をすること?」または「広告とかプロモーションをすること?」などといった答えが返ってきます。でも実は、市場調査やプロモーションは、マーケティングのほんの一部に過ぎません。このことについて、ドラッカーは次の言葉を残しています。

“マーケティングは、販売よりもはるかに大きな活動である。それは専門化されるべき活動ではなく、全事業にかかわる活動である。”
― ピーター・F・ドラッガー 著『ドラッカー名著集2 現代の経営〔上〕』(ダイヤモンド社, 2006年)

この言葉の通り、マーケティングは企業の事業活動全体に関わってくるものです。それはなぜなのかと言うと、ドラッカーによれば企業の活動目的は「顧客の創造」のみであり、顧客を生み出す方法は「マーケティング」と「イノベーション」の2つだけだからです!

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企業の目的は「顧客の創造」であり、「マーケティング」と「イノベーション」だけが企業の持つ機能である

企業が存在する理由・目的について、ドラッカーは著書『現代の経営』の中で次のように述べています。

“企業の目的として有効な定義は一つしかない。顧客の創造である。”
― ピーター・F・ドラッガー 著『ドラッカー名著集2 現代の経営〔上〕』(ダイヤモンド社, 2006年)P.046より

「顧客の創造」とはつまり、企業は消費者が満足するような商品・サービスを生み出して、お客様に満足してもらい、自社の顧客(ファン)になってもらうということです。そして前述の通り、これを可能にする方法は「マーケティング」と「イノベーション」のみだとドラッカーは述べています。

“企業の目的は顧客の創造である。したがって、企業は二つの、ただ二つだけの企業家的な機能をもつ。それがマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす。他のものはすべてコストである”
― ピーター・F・ドラッガー 著『ドラッカー名著集13 マネジメント[上]』(ダイヤモンド社, 2008年)

企業の経営活動の中には「ヒト・モノ・カネ」といったリソースの配分に関する意思決定や、それらの管理なども含まれますが、これらの活動はお客様にとっての価値を生み出すものではないですよね。だからドラッカーは、そのような活動はすべて「コスト」だと述べているのです。

このことからわかる通り、事業として成り立つのは「お客様にとっての価値」を生み出せるものだけです。そして、それを達成してくれる重要なツールがマーケティングなのです。

「マーケティングの理想は、販売を不要にすることである」― ドラッカーによるマーケティングの定義

それでは、マーケティングとは何なのか。ドラッカーの残した言葉のなかで、その本質をもっとも端的に表しているのが次の言葉です。

マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。
― ピーター・F・ドラッガー 著『マネジメント [エッセンシャル版]: 基本と原則』(ダイヤモンド社, 2001年)

お客様のことをよく理解して、そのニーズによく応えた商品・サービスや広告を作ることができれば、こちらから売り込まなくても商品は売れるはずです。

セールスをしなくても売れるような、「お客様が本当に求めるモノ」を生み出してお客様に価値を届けること。これが、ドラッカーが提唱するマーケティングの本質なのです!

マーケティングとは「売れる仕組みをつくること」である!

こちらからセールスしなくても売れるものを生み出すこと。これはつまり、「売れる仕組みを作ること」とも言い換えられるでしょう。つまり、「マーケティング = 売れる仕組みをつくること」なのです!

マーケティングでは、売れる仕組みを作り出すために以下のようなことを行います。

  • 市場を調査・分析して消費者ニーズを把握する
  • 消費者を分類し、自社の強みが活かせる顧客層を見つける
  • 自社を競合他社と差別化して独自のポジションを築く
  • 商品・サービスの内容や価格、販売場所、広告宣伝の戦略を立てる
  • 実行した事業戦略を評価し、改善する

このような、顧客に価値を届けるための一連のプロセスがマーケティングなのです。

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「マーケティングは顧客から出発する」― マーケティング成功のポイント!

以上の通り、マーケティングとは「売れる仕組みをつくること」であり、究極的には「販売を不要にすること」を理想とします。そんなマーケティングの目的を果たして企業の業績を伸ばすためには、「顧客スタート」でマーケティングを考える必要があるとドラッガーは述べています。

真のマーケティングは、顧客から出発する。すなわち、人間、現実、欲求、価値から出発する。「われわれは何を売りたいか」など考えない。「顧客は何を買いたいか」を問う。「これが、われわれの製品やサービスにできることだ」とはいわない。「これが、顧客が求め、価値ありとし、必要としている満足だ」という。”
― ピーター・F・ドラッガー 著『チェンジ・リーダーの条件: みずから変化をつくりだせ!』(ダイヤモンド社, 2000年)

このように、マーケティングとは、「こちらが売りたいもの」ではなく「顧客が望むもの」を考えることです。つまり、顧客ニーズに刺さりお客様が欲しがる商品・サービスを生み出すのがマーケティングです。

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しかし考えてみると、これは当たり前すぎる話です。なぜかと言うと、そもそもお客様が買っているのは「商品・サービス」ではなく、それを通して得られる「価値」だからです!

顧客は「商品」ではなく「価値」を買っている

ぼくやあなたも含めて、人が何かを買うとき、実際に求めているのは「その商品を通して得られる価値」です。ビジネス本を買うときに欲しいのはその本自体ではなく、「本の中に書かれた情報」や「読書によって知識量や思考力を高めること」ですよね。また、ディズニーランドに行く人が買っているのは「テーマパークに入る権利」ではなく、「恋人や友達と楽しむ時間」や「家族との思い出」なのです!

このことを、ドラッカーは著書『現代の経営』の中で次のように述べています。

“企業が自ら生み出していると考えるものが、もっとも重要なのではない。特に企業の将来や成功にとって重要なのではない。顧客が買っていると考えるもの、価値と考えるものが決定的に重要である。事業が何であり何を生みだすかを規定し、事業が成功するか否かを決めるのは、それらのものである。”
― ピーター・F・ドラッガー 著『ドラッカー名著集2 現代の経営〔上〕』(ダイヤモンド社, 2006年)P.046より

このように、顧客目線に立ってお客様が本当に望むものを見つけ出すことが、事業の成功には欠かせません。市場の調査・分析を重ね、顧客を観察して、お客様が真に求めているニーズを見つけ出すことがマーケティングでもっとも大事なポイントなのです。

「マーケティング」と「イノベーション」が成功の両輪!― ドラッカーから学ぶ「企業活動の本質」とは?

以上の通り、マーケティングは事業の成功に欠かせないものです。そして、そんなマーケティングと同じくらい重要なものとドラッカーが述べているのが「イノベーション」です。企業は商品の機能向上や新技術の開発に日々尽力しており、これらを通して「顧客に新しい満足を届ける」ことができるのです。

イノベーションとは顧客が想像もしていなかったニーズを生み出すこと

マーケティングが市場の中で満たされていないニーズを発掘して価値を提供する行為だとすれば、イノベーションはまだ誰も想像すらしていなかったニーズを新たに生み出すことです。

Appleによる初代iPhoneの発表がいい例です。AppleはiPhoneにより、ぼくたちの「携帯電話」という概念を一変させました。ガラケー時代には想像もしていなかった商品の登場に、はじめはみんな困惑していましたが、今となってはちょっと見渡せばiPhoneだらけです。ガラケーを持っている人は探すことすら難しくなりました。Appleは携帯電話にイノベーションを起こし、世の中に新しい需要を生み出したのです!

このように、まったく新しいアイデアで市場や社会に変化を与え、新しい価値を生み出すことがイノベーションなのです。

イノベーションを成功させるにも「顧客目線」が重要 ― イノベーションの落とし穴

以上の通り、イノベーションは非常に重要な役割を持っているものですが、その一方で、注意しなければならないポイントもあります。それは、マーケティングや研究開発の専門家は、つい「消費者の目線」を忘れてしまうということです!

【ポイント】
企業はついつい「自社の強み」「競合との差別化」「既存品からの性能向上」などばかりに目を向けてしまいますが、消費者のニーズを無視した開発を続けていると、どんどん顧客が求めるものからズレていってしまいます。そうなれば結局、企業はイノベーションを起こすことはできないのです!

イノベーションの成否を分けるポイントについて、ドラッカーは次のような言葉を残しています。

“イノベーションに成功する者は、右脳と左脳の両方を使う。数字を調べるとともに、人を見る。機会を捉えるにはいかなるイノベーションが必要かを分析を持って知る。しかる後に、外に出て、顧客や利用者を見、彼らの期待、価値、ニーズを知覚を持って知る。”
― ピーター・F・ドラッガー 著『ドラッカー名著集5 イノベーションと企業家精神』(ダイヤモンド社, 2007年)

つまりは、イノベーションもマーケティングと同様、データや顧客のリサーチ・分析を十分にしたうえで実行されなければならないのです。

【まとめ】マーケティングは販売を不要にする!売れる仕組みを作り出そう!

ドラッカーによれば、企業の存在目的はただひとつ「顧客の創造」であり、マーケティングはその目的を達成するために行われる「企業の基本的な機能」のひとつです。

【ポイント】
「マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすること」だとドラッカーが述べている通り、マーケティングとは「売れる仕組みをつくること」です。

その理想は「販売を不要にすること」であり、これは「売れる仕組み」を作って「顧客(ファン)を獲得」した先にあるものなのです!

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サロン経営を猛烈な赤字でスタート。マーケティングを駆使しながら圧倒的な黒字化の仕組みを構築。サロン経営者にコンテンツセールスやコンサルをスタート。3年で複業月収8桁を達成。600名以上が登録する無料オンラインサロン(MAKE TIME)や、”ロイヤル顧客リピートで満席の仕組み”を構築できる完結型コンテンツを無料で提供。コンサルタントとして50件以上のサリンを年商800万~3000万以上UPさせた実績を持つ。現在では、サロン経営の仕組み化や、複業のサポートコンサルを継続中。

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