マーケティング

マーケティングの目的とは「売れる仕組みをつくること」である!マーケティングの役割やメリット、本質をわかりやすく解説!

「マーケティング」という言葉を見聞きする機会は年々増えていますが、あなたはマーケティングとはなんなのか、どんな役割があって、どのようなメリットがあるのか説明できるでしょうか?

マーケティングとは何か、一言で表すと「売れる仕組みをつくること」です。市場にあらゆる商品やサービスが揃った現代では、ただ良い商品をつくっただけで売れることはほとんどありません。ライバル商品との差別化だったり、魅力が伝わるパッケージや広告であったり、オンラインの活用だったりといった「戦略」が商品のヒットには必要不可欠です。この「戦略を立てること」こそがマーケティングなのです。

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より具体的に言うなら、マーケティングとは「誰に(who)」「どんな価値を(what)」「どんな形で(how)」提供するのかを決める一連のプロセスのことです。そこには市場調査や商品企画、販売方法の選択、広告宣伝などが含まれます。したがって、マーケティングとは「事業戦略」とほぼ同義とも言えるもので、事業を成功させて収益を得るためには欠かせないものなのです。

ただし、だからといってトレンドのマーケティング手法や基本的なフレームワークをすぐに真似するのは早計です。まずはそれらを使いこなすためにも、「マーケティングの目的や本質」を正しく理解することが大切です。効果的なマーケティング戦略のベースとなる基本と本質について、わかりやすく解説していきましょう。

そもそもマーケティングとは?マーケティングの定義と目的

マーケティングとはなんなのか、"近代マーケティングの父"と呼ばれるフィリップ・コトラーは次のように定義しています。

“マーケティング・マネジメントとは、標的市場を選択し、優れた顧客価値の創造、伝達、提供を通じて、顧客を獲得、維持、育成する技術である。”
― フィリップ・コトラー 著『コトラーのマーケティング・コンセプト』(東洋経済新報社, 2003年)P.005より

つまりは、事業を成功させて利益を生むために行う企画から実行までのあらゆるプロセスがマーケティングなのです。

マーケティングの目的・役割は「顧客の創造と維持」

マーケティングとは「売れる仕組みをつくること」と前述しましたが、これは「顧客を生み出し、維持していくこと」と言い換えることもできます。コトラーも、次のような言葉を残しています。

“マーケティングは企業の顧客製造部門なのである。”
― フィリップ・コトラー 著『コトラーのマーケティング・コンセプト』(東洋経済新報社, 2003年)P.003より

顧客を生み出し、維持することとはつまり、「お客様に自社や製品・サービスのファンになってもらう」ことです。お客様に認知され、購入してもらい、満足してもらうこと。これもまたマーケティングの大きな目的・役割なのです。

マーケティングの理想、究極的な理想は「販売を不要にすること」

マーケティングの目的について、かの有名な『マネジメント』の著者ピーター・ドラッカーは、次のように述べています。

“マーケティングの目的は販売を不要にすることだ”
― P.F.ドラッカー著『マネジメント [エッセンシャル版] – 基本と原則』(ダイヤモンド社, 2001年)より

つまり、商品を売り込まなくても、お客様が自ら選んでくれるようにすること、それがマーケティングの究極的な目的であり理想なのです。

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マーケティングは「販売」「市場調査」「広告宣伝」とは異なる

ドラッカーの発言からもわかる通り、「マーケティング」と「販売(セールス)」はまったく異なるものであり、むしろ正反対の考え方です。マーケティングさえうまくいっていれば、セールスは不要なのです。

また、セールスと同様にマーケティングと混同されがちなものとして、「市場調査(マーケットリサーチ)」や「広告宣伝(プロモーション)」が挙げられますが、これらはマーケティングプロセスのほんの一部です。

市場調査や広告宣伝は、「お客様に気に入って貰える商品を作り、自社のファンになってもらうこと」という目的を達成するための手段・役割であって、マーケティングそのものではありません。マーケティングとは、それらも含めた「売れる商品づくりのプロセス全体」を指すのです。

時代とともに高まるマーケテイングの重要性と不変の本質

マーケティングの役割や具体的な手法は時代とともに変遷をたどっています。昔は良い商品をつくってチラシやテレビCMなどで広告宣伝をすれば商品は売れましたが、モノと情報が溢れかえった現代ではそうはいきません。現代においてビジネスを成功させるには、効果的なマーケティング戦略が欠かせないのです。

マーケティングの役割と手法の変遷|マーケティング3.0から4.0へ!

マーケティングの概念は、時代とともに「製品中心」→「消費者志向」→「価値主導」と変化しています。これを、コトラーはマーケティング1.0、2.0、3.0と表現しています。

マーケティング1.0の時代(1900年代前半)は、需要が供給よりも多かったため、「製品が安ければ売れる」という概念が浸透していました。また、満たされていない消費者需要もまだまだたくさんあったので、「良い製品を作れば売れる」時代でもありました。

マーケティング2.0の時代(1970〜1980年代)になると、技術の発展によって安くて良い製品が市場に多く出回るようになりました。ただ「良い製品を作っていれば売れる」時代は終わり、「消費者のニーズ」を把握して、それぞれのお客様に最適化した商品を作る必要性が生まれてきたのです。

そして、マーケティング3.0、4.0の時代になると、マーケティングに求められる役割はさらに多様化していきます。マーケティング3.0の時代と言われる1990〜2000年代では、環境破壊や格差の拡大などといった社会問題が深刻化したことを背景に、「世界をよりよくする」という社会貢献が重視されるようになりました。

さらに、SNSやインターネットが普及した現代は「マーケティング4.0」の時代と呼ばれ、顧客の「自己実現」へのフォーカスが重要視されています。顧客が「どんな自分になりたい」のかということに注目し、顧客の自己実現の達成をサポートすることが現代のマーケティングには求められているのです。

このようなマーケティング1.0から4.0までの変化は、時代とともに「顧客に寄り添い、ニーズに深く刺さる商品・サービス・顧客体験の重要性が増してきている」ということを意味しています。でも、そんな中でも常に変わらない「マーケティングの本質」と言えるものもあります。それは、「顧客が求める価値の提供」です。

マーケティングの本質は「顧客にとっての価値」を考え抜くこと

フィリップ・コトラーはマーケティングの本質的な役割・目的について、次のように述べています。

“マーケティングの役割とは、たえず変化する人々のニーズを収益機会に転化することである。マーケティングの目的は、優れたソリューションを提供し、購買者が製品の探索や取引に費やす時間や労力を省き、社会全体の生活水準を向上させることによって、価値を生み出すことにある。”
― フィリップ・コトラー 著『コトラーのマーケティング・コンセプト』(東洋経済新報社, 2003年)P.005-006より

お客様にとっての価値を考え抜き、本当に求めるものを提供すること。それが時代に左右されないマーケティングの本質であり、むしろ時代とともにより鮮明になっているのです!

マーケティングで得られるもの|マーケティングの具体的な効果・メリット 顧客を生み出し、維持できる

マーケティングの本質はお客様が本当に求めるものを理解して提供することだと前述しました。そんなマーケティング施策を実行できれば、企業は単に「売上がアップする」といったことだけではなく、もっと大きなメリットを享受できます。そのなかでも最大のメリットは、顧客ロイヤルティを獲得できることでしょう。

ロイヤルティは「忠誠」を意味しますが、マーケティングにおいては、他店を利用せずに、たいてい自社製品を購入してくれるお客様をさします。つまりは、「自社製品のファン」といったところですね。

コトラーも、マーケティングにおいてロイヤルティの重要性について述べています。

”マーケティング活動とは、目の前の取引に固執することではない。こうした態度のため、今日の売上と引き換えに明日の顧客を失うことがよくある。マーケターがめざすべきは、顧客と長期にわたる互恵的関係を築くことであって、たんに製品を売ることではない。”
― フィリップ・コトラー 著『コトラーのマーケティング・コンセプト』(東洋経済新報社, 2003年)P.006より

先述したように、マーケティングの究極の理想は、「販売を不要にすること」です。その理想を達成するためには、ロイヤルティの獲得が必要不可欠ですので、マーケティングの目的は「顧客ロイヤルティを獲得すること」と言い換えることもできるわけです。

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具体的にマーケティングってどうすればいいの?|マーケティングのプロセスと基本的な手法・戦略

顧客のニーズを満たした製品をつくり、永く愛される企業になるためには、戦略的なマーケティングが重要になってきます。

マーケティングのプロセスは以下の4ステップをふまえています。

  1. 市場分析をする : 自社と市場のことを知る
  2. 戦略を立てる : 顧客を分類し、絞り、自社のポジションを決め、評価する
  3. マーケティングミックスを定める : 具体的な実行戦略を立てる
  4. PDCAを回す : 戦略を実行し、評価する

各ステップごとに、分析法やフレームワークといった手法をあげて説明していきます。

【ステップ①】市場分析をする:市場・自社・ライバル企業のことを知る

市場分析とは、顧客のニーズや市場のトレンド、自社商品の認知度について調査することです。調査結果をもとに、効率的な商品開発やサービスの質の向上を行い、顧客満足度を高めることを目的としています。このステップでは、以下のような分析手法が使われます。

【ポイント】
3C分析SWOT分析5F分析(ファイブフォース分析)PEST分析VRIO分析 など

今回はその中から、アメリカの経営学者であるジェイ・B・バーニーによって発案された「VRIO分析」を一例として解説してみましょう。

VRIOとは「Value(経済的価値)」「Rarity(希少性)」「Imitability(模倣可能性)」「Organization(組織)」の頭文字を取ったものです。企業がもつ経営資源を4つの視点から、順番にYESかNOで返答するフレームワークです。

  • 経済的価値(Value):顧客に価値を提供できているか
  • 希少性(Rarity):希少性はあるのか
  • 模倣可能性(Imitability):競合他社がマネできるかどうか
  • 組織(Organization):経営資源が適切に活用されている組織かどうか

4つ全てにYESがついた場合、そのビジネスは競争優位性が高いといえます。つまり、ライバルが少なく価値の高い経営資源があり、それらを存分に引き出す組織であるということです。

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【ステップ➁】戦略を立てる:顧客を分析し、絞り、自社のポジションを決め、評価する

ステップ➀での市場調査の結果をもとにして、より具体的な戦略をたてていきます。マーケティング戦略を立てることは、限られた経営資源(ヒト・モノ・カネ)を最大限利用することにつながります。直観に頼らず、しっかりと戦略を練ることがビジネス成功のカギを握っているのです。

このステップでは、次のような手法がよく使われています。

【ポイント】
STP分析WWH法

このような手法を駆使して、顧客に独自の価値を提供できる事業の戦略を考えていくのです。

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【ステップ➂】マーケティングミックスを定める:具体的な実行戦略を立てる

自社の立ち位置を明確にしたうえでの戦略を決めたら、次はマーケティングミックスを決めていきます。マーケティングミックスとは「実行戦略」のことです。適切なマ―ケティングミックスを定めることは、ビジネスが成功するかを大きく左右します。

マーケティングミックスの代表的なものが、「4P」と呼ばれる考え方で、4Pとは「Product(商品)」「Price(価格)」「Promotion(広告宣伝)」「Place(流通、チャネル)」をそれぞれさしています。

また、近年ではこれらにさらに3つの視点、「Personnel(ペルソナ)」「Physical evidence(顧客心理)」「Process (販売や業務の過程)」を加えた「7P」という手法も、サービス業などを中心によく用いられています。

  1. 商品(Product):どんな商品・サービスを売るか
  2. 価格(Price):いくらで売るか
  3. 広告宣伝(Promotion):どのような広告宣伝をするか
  4. 流通、チャネル(Place):どこで売るか
  5. ペルソナ(Personnel):だれがサービスを提供するのか
  6. 販売や業務の過程(Process):どんな順序・方法でサービスを提供するのか
  7. フィジカルエビデンス(Physical evidence):どのような雰囲気でサービスを提供するか

また、4Pや7Pは企業側の視点で構成されていますが、顧客側の視点に立ったマーケティングミックスが「4C」です。

  1. 価値(Customer Value):商品(Product)は顧客のニーズをとらえ、価値があるか
  2. コスト(Cost):価格(Price)は妥当か
  3. ➂コミュニケーション(Communication):広告宣伝(Promotion)は納得ができるものか
  4. 利便性(Convinience):流通(Place)が充実しており、買いやすいかどうか

「4P」と「4C」はそれぞれの要素が対応していますので、両者の視点をもってマーケティング戦略を練っていくことが重要です。

【ステップ➃】PDCAを回す:戦略を実行し、評価する

マーケティングは実行戦略を決めて終わりではありません。戦略を実行したあとに、戦略が狙い通りうまくいっているのかを評価して、必要があれば改善していくことが必要なのです。

むしろ、こうして試行錯誤を繰り返すなかで、顧客のリアルなニーズを捉えた、本当に価値のある商品やサービスが生まれるわけです。このような、実行と改善のプロセスを「PDCAサイクル」といいます

PDCAは、「品質管理の父」と呼ばれる、アメリカ人統計学者のデミング博士が提唱したもので、以下の頭文字を取ったものです。

「Plan:計画」「Do:実行」「Check:検証」「Action:改善」

どんなに素晴らしい戦略を練っても、実際に実行をして、顧客に満足をしてもらわなければ意味はありません。PDCAサイクルを効率的に回しながら業務を進めることで、企業は継続的に成長することができるのです。

マーケティングの成功に欠かせないたった1つの最重要ポイント

これまで、マーケティングの概念から、具体的なプロセスまで解説してきましたが、ビジネスを成功に導くために、絶対に外してはいけないポイントがあります。それはズバリ、「マーケティングのプロセスすべてに一貫性を持たせる」ことです!

常に言動や信念を貫いている人は、周囲から信頼を得ることができますが、企業にも同じことがいえます。3つ星の高級フレンチレストランで牛丼を出すなんてありえないですよね(笑)
また、もしロレックスが1,000円の腕時計を販売したときには、ロレックスが築き上げてきた「最高級の時計メーカー」という地位は地に落ちてしまうことでしょう。

成功する企業、成功するビジネスでは、ターゲティング・ポジショニング・マーケティングミックスなどのすべてに一貫性があります。顧客層、商品特性、価格帯、お店の場所、広告宣伝などが全部マッチしているから優れたブランドとしてお客様に認知して貰えるのです。

現代で成功しているビジネスを思い出してみてください。たとえばApple、スターバックス、UNIQLOのことを考えてみると、次のようなイメージがすぐに思い浮かぶのではないでしょうか。

  • Apple →「おしゃれで都会的。洗練されていて使いやすい」
  • スターバックス →「落ち着いている。作業や勉強している人が多い。ビジネスシーンでも使いやすい」
  • UNIQLO →「安くて品質の良い。どこでも同じものが買える」

これらの企業は、日本中、世界中のどこででも同じ顧客体験を提供してくれます。また、製品ごとによるブレもありません。これは、企業のマーケティング施策、ブランディング戦略に一貫性を持たせているからに他なりません

これらの企業のように、一貫性のある効果的なブランディングを行うことで、顧客は企業に対して愛着や信頼を感じ、企業は顧客からのロイヤルティを獲得できるのです。

【まとめ】マーケティングの目的とは「売れる仕組みをつくること」である!

マーケティングの目的とは「売れる仕組みをつくること」です。もっと詳しく言うと、顧客のニーズを押さえ、満足して貰える魅力的な商品やサービスを生み出し、適切な広告宣伝を行い、継続して購入してもらうということです。つまり、一言でまとめるなら、「お客さんに自社商品のファンになってもらうこと」がマーケティングの目的なのです!

お客様に自社のファンになってもらい、「お得意さま」「熱狂的なマニア」を作り出すということができれば、ビジネスは持続的に成長し、売上と利益がどんどん向上していきます。つまり、マーケティングは企業の生き残りに直結しているどころか、言うならばマーケティングとは「経営そのもの」なのです。

したがって、マーケティング脳を鍛え、使いこなせるようになれば、どんなビジネスシーンでも活躍できます。これは、ビジネスオーナーとして何かをやる場合はもちろん、会社の中での個人個人の働き方にも応用できることです。

マーケティングの本質を理解して、ビジネスの売上アップや自分のキャリアアップを目指しましょう!

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サロン経営を猛烈な赤字でスタート。マーケティングを駆使しながら圧倒的な黒字化の仕組みを構築。サロン経営者にコンテンツセールスやコンサルをスタート。3年で複業月収8桁を達成。600名以上が登録する無料オンラインサロン(MAKE TIME)や、”ロイヤル顧客リピートで満席の仕組み”を構築できる完結型コンテンツを無料で提供。コンサルタントとして50件以上のサリンを年商800万~3000万以上UPさせた実績を持つ。現在では、サロン経営の仕組み化や、複業のサポートコンサルを継続中。

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