副業という言葉に、法律に基づく明確な定義はありません。一般的な理解で言えば、副業は「収入を得ることを目的として行う、本業以外の仕事」と定義できるでしょう。Wikipediaでも、副業は次のように定義されています。
副業(ふくぎょう、英: side business)とは、収入を得るために携わる本業以外の仕事を指す。兼業、サイドビジネス、ダブルワーク(Double work)ともよばれる。
― フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より
この通り、副業とは「本業以外」で「収入を得るため」に行なわれる「仕事」という3つの要素を満たすものだといえます。
とはいえ、このような「副業の定義が知りたい」と思ったとき、本当に大事なのはこういうことではないですよね。より大事なのは、「自分が勤める本業の会社では、どこからどこまでが副業だとみなされるのか」という基準です。
副業解禁の流れが進みつつ現代ですが、まだまだ副業を禁止・制限している会社は多いです。そんな中でも「副業で収入を増やしたい」と思った場合、どのような副収入なら本業から認められるのでしょうか。また、副収入を得たら税金はどうなるのでしょうか。
副業の定義について深掘りしながら、「どこからどこまでが具体的に副業とみなされるのか、その具体的な基準」を解説していきます。
最大手美容室チェーンで売上.指名共に1位を獲得し独立するものの猛烈な赤字でスタート。マーケティングを学び駆使した後、圧倒的な黒字化の仕組みを構築。サロン経営者にコンテンツセールスやコンサルをスタート。3年で複業月収8桁を達成。600名以上が登録する無料オンラインサロン(MAKE TIME)や、”ロイヤル顧客リピートで満席の仕組み”を構築できる実践型のオンラインサロンを運営。コンサルタントとして50件以上のサロンを年商800万~3000万以上UPさせた実績を持つ。現在ではサロンのロイヤルリピート経営の仕組み化や、複業のサポートコンサルを継続中。
副業の定義とは? どこからどこまでが「副業」に該当するのか?
前述の通り、副業に法的な定義は存在しません。それでも、公的機関が発表している文書の中には、いくつか定義とみなせる記述がいくつかあります。まずは前提として、それらの公的な定義を確認しておきましょう。
公的機関による副業の定義 | 総務省・厚生労働省による定義
総務省統計局の「就業構造基本調査」では、副業を「主な仕事以外の仕事」と定義しています。また、厚生労働省による「副業・兼業の促進に関するガイドライン」内には、次のように書かれています。
副業・兼業を行うということは、二つ以上の仕事を掛け持つことをここでは想定しています。副業・兼業は、企業に雇用される形で行うもの(正社員、パート・アルバイトなど)、自ら起業して事業主として行うもの、コンサルタントとして請負や委任といった形で行うものなど、さまざまな形態があります。
― 厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」より
これらが政府や公的機関が考える「公的な副業の定義」となります。また、ここから「副業」や「兼業」などといった言葉に公的な違いは特にないということもわかりますね。
より意味のある「現実的な副業の定義」とは?
しかし前述の通り、先ほど紹介したような「公的な副業の定義」を知ったところで現実にはあまり役に立ちません。副業を実践するうえで知りたいのは「会社の副業禁止の規定に抵触するのはどこからか」ですよね?
つまりは、「自分の会社でバレたらまずい副収入の基準」こそが「現実的な副業の定義」となるわけです!
会社にとっての副業の定義 | 本業にばれたらマズい副収入の基準
会社にとっての副業の基準は、もちろん会社によって異なります。では、どこを確認すれば良いのかというと、会社の「就業規則」です。
就業規則には、副業などに関する規定が盛り込まれているはずです。ほとんど会社の場合、副業に関する規則は次のどちらかになっています。
許可なく他の会社等の業務に従事しないこと
労働者は、事前に許可を受ければ勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。ただし、「① 労務提供上の支障のおそれがある」「② 企業秘密が漏洩するおそれがある」「③会社の名誉や信用を損なうおそれがある」「④ 競業により、企業の利益を害するおそれがある」場合、禁止または制限できる
これらはどちらも厚生労働省が発表している「モデル就業規則」に基づいたものです。なお、副業を原則禁止している【パターン①】は2018年の改訂以前のモデル就業規則を参照してつくられたもので、条件付きで認める【パターン②】は改定後を参照してつくられています。
なお、モデル就業規則に法的な強制力はないため、これら以外の就業規則を採用している場合もあります。まずは必ず自分が勤める会社の就業規則をチェックしてみましょう。
【パターン①】原則禁止の場合
この場合、「他の会社等の業務に従事しないこと」となっていますので、他社との雇用契約を結ぶアルバイトや派遣などの副業は一切認められません。
また、これらのような雇用契約のある仕事は給料が税制上「給与所得」という区分となっているため、住民税を通じて会社にはほぼ必ずバレてしまいます。これは給与額が少なかろうと、現金手渡しであろうと同じですので、雇用契約のある副業はあきらめましょう。
では、雇用契約がなければどうでしょうか? パターンとしては、以下のようなパターンが考えられます。
- 他社から「業務委託契約」で仕事をもらう
- お店の経営や商品の販売、ブログ運営などといった事業を自分で行う
- 不動産や金融投資で収入を得る
これらのうち、①の「業務委託契約」は就業規定に違反するものと考えられます。ただし、この場合は自分で確定申告を行なって「住民税の直接納付」を選択すれば税金を通して会社にバレることは防げるため、違反はしているけどバレにくい副業だといえます。
とはいえ、バレてしまったときは就業規則違反として罰せられる可能性が高く、最悪の場合は懲戒解雇になるおそれもあります。リスクを考えるとあまりおすすめはできませんが、もしやるなら絶対にバレないよう十分に注意する必要がありますね。
また、②や③の場合なら他社の仕事に従事しているわけではないため、会社の就業規定にはギリギリ違反してはいないと考えられます。とはいえ、そもそも副業禁止の規定を設けている会社ですので、このような副収入もあまり歓迎されたものではなく、かなりグレーなラインです。バレても罰則を受けるかは微妙なところですが、念の為に隠れて行なった方が良さそうです。
具体的には、実名を隠してブログやYouTubeなどを運営したり、LINEスタンプを自作して販売したりなど、自分のペースでできる「オンライン副業」がおすすめです。
【パターン②】条件付きで認められている場合
副業が認められているのなら、きちんと許可を得て副業をするのがベストです。ただし、副業の内容によっては必ずしも許可が下りるとは限りません。たとえば以下のようなものは、多くの場合認められません。
- アルバイトや派遣など他社と雇用契約を結ぶもの
- 本業と競合する業種
- 本業中に支障を与える可能性のある副業
他社との雇用契約が必要なアルバイトや派遣が認められないのは、労基法の関係で会社側の扱いが難しくなってしまうからです。【パターン①】で解説した通り、雇用契約がある副業は住民税を通じてほぼ必ず会社にバレてしまうため、隠れて行うこともやめましょう。
また、雇用契約さえなければ副業が認められることは多いですが、本業と競合する会社に携わる副業は基本的にNGです。持っているスキルを活かせるからといって、同業種で業務委託契約の仕事を受けるなどはやめましょう。
その他、急な電話対応が必要となる可能性があるシェアハウス運営や自身での店舗経営、あるいは相場の変化にすぐ対応しなければならないFxなどの金融取引などは、本業に支障をきたすとみなされ不許可となる可能性が高いです。たとえ許可されたとしても、もし緊急対応が必要となり、職務中に隠れて副業のことをしているのがバレたら厳罰となる可能性が高いため、このような副業は避けた方が無難です。
ところで、そもそもですが、会社で副業が禁止されていたり条件がつけられていたりするのに、わざわざ副業をする必要なんてあるのでしょうか?
その答えは、もしあなたが現在のキャリアや収入に不満があったり、将来に不安があったりするのなら、確実にイエスだとぼくは確信しています。
今の時代に副業が必要な理由 | 副業ブームの背景
なぜ今の時代は副業が必要なのか。簡単にまとめるなら、「もう現在の日本では、国家公務員も大企業の正社員も安定とはいえない」から、そして「いまが副業を始めるチャンスだから」です。もう少し具体的にいえば、次のような要因が挙げられます。
- 「終身雇用」「年功序列」といった「日本型雇用」の崩壊
- 高齢化による「人生100年時代」の到来
- インターネットの発展による、時間や場所の制限からの解放
- 働き方改革による副業解禁とコロナ禍によるリモートワークの普及
- 人々の価値観や人生観の多様化
時代は変わり、現在ではトヨタやソニーといった大企業でさえ終身雇用や年功序列の撤廃を公式に発表するようになりました。また、JALや日産などといった大企業も事実上の倒産をして、他社に買収されたり事業再生を受けたりした結果大規模なリストラを実行しています。
そんな収入の不安が増え続ける情勢の中で、医療技術の発展などによりぼくたちの寿命は伸び続けています。厚生労働省の「人生100年時代構想会議 中間報告」では「2007年に日本で生まれた子供の半数が107歳より長く生きると推計されている」と報告されているほどです。それなのに少子高齢化が進む現代の日本では、年金も当てにはなりません。
その一方で、昔に比べて良くなった面もあります、ITやインターネットが発展してくれたおかげで、ぼくたちの「個の力」も高まり、できることが増えているのです。誰でも簡単にWebサイトを作れますし、SNSで有益な人脈や自分のファンをつくることもできます。価値ある情報にも簡単にアクセスできるようになりました。
さらには新型コロナウイルスの蔓延によってリモートワークが普及し、副業に取り組みやすい環境が整いました。さらには、コロナによってインターネット産業やITの需要は大幅に拡大しています。そんないまこそ、副業を始めてスキルを身につける大チャンスなのです!
これからは「複業」の時代。「副業」から「複業」へとステップアップしよう!
あなたは「複業」という言葉を知っているでしょうか?
これからの時代は、会社の力よりも個人の能力の方が重要になる「個の時代」になっていきます。そんな現代において、自分自身のスキルを高め、経験や実績、人脈を増やしておくことは収入を増やすために必須なことだといえます。
つまり、複業はこれからの時代をよりよく生き抜くために最適な働き方ということです!
副業と複業、兼業、ダブルワーク、パラレルキャリアの違い
いま「複業」という働き方を紹介しましたが、ところで副業と似た言葉は他にも、兼業、ダブルワーク、パラレルキャリアなどがあります。これらの違いを簡単に解説しましょう。
なお、先にいっておくと、どの用語にも法的な定義は存在しないですし、税制の違いなどもみられません。あくまでニュアンスの違いですが、知っておくことで情報収集や発信がしやすくなり、自分がどんな働き方を目指したいかの参考になるでしょう。
副業とは?
副業は、収入を目的に本業以外にサブの仕事をすることです。特徴は次の3点です。
- あくまで本業がメインであって、副業はサブ
- 合計の収入を増やすことが主な目的
- あまり手間がかからない仕事や手っ取り早く稼げる仕事を選ぶ人が多数派
兼業とは?
兼業という場合、主な目的は副業と同じで総収入を増やすことですが、本業と兼業との間に上下関係があまりないニュアンスがあります。
また、兼業はアルバイトのような「雇われる職業」ではなく、自分でビジネスをする場合に使われることが多いです。「兼業農家」に代表されるように、本業の他に農業をしたり、複数の店舗を運営したりなど、「実業」をする場合に使われることが特に多い特徴があります。
ダブルワークとは?
ダブルワークは仕事を2つする場合全般に使われますが、アルバイト2つの掛け持ち、派遣社員とアルバイトなど「どちらも本業とは言い難い」場合に使うことが多いニュアンスです。また、「ダブル」という言葉の通り、3つ以上の掛け持ちには使いません。
複業とは? パラレルキャリアとは?
前述の通り、複業は自分の市場価値を高めたり、やりがいを求めたりなど、「自分らしく働くこと」を主な目的とした新しい概念です。「パラレルキャリア」も複業とほぼ同義です。複業には次のような特徴があります。
- 本業と複業の間に序列は意識されない
- 収入が得られる仕事だけじゃなく、NPO活動などや学術研究、創作活動などの非営利な活動も含まれる
- スキルや経験、実績、人脈が増えて自分のキャリアアップにつながるような仕事、取り組みを選ぶ
- 好きなことややりたいことなど、やりがいが得られて自分らしく取り組めるものを選ぶ
- いますぐ稼ぐことより、将来の収入を増やすことを目指す
また、複業を実践する人は複業家と呼ばれ、パラレルワーカー、ポートフォリオワーカー、スラッシュワーカーなどもほぼ同じ意味です。
これからの時代は「複業・パラレルキャリア」がより重要になってくる!
以上のように、同じ「複数の仕事をする働き方」でも副業、兼業、ダブルワーク、複業(パラレルキャリア)ではニュアンスに違いがあります。そしてこれからの時代に目指したいのは、「複業(パラレルキャリア)」という働き方です。
複業することで自分のスキルやキャリアが磨かれるうえに収入源も分散します。したがって、複業を実践すれば自分の選択肢が広がり、たとえ組織に所属していたとしても依存することがなくなるのです!
つまりは、複業を通して自分らしく働ける職場に転職できる能力も手に入りますすし、自分でビジネスを起こせる自由も手に入るのです!
「副業」が「複業・パラレルキャリア」を目指す足掛かりになる!
そんな「複業家」「パラレルワーカー」になるためにはどうしたら良いのか。その足掛かりになるのは「将来につながる副業」です。
派遣やアルバイトではなく、Webライターやブロガー、プログラマー、イラストレーター、動画編集者などといった「スキルが身に付く職業」で副収入を得ることを目指しましょう。スキルがないと初めのうちはアルバイト以下の収益性になってしまうかも知れませんが、スキル・実績がついていけば稼げるようになるはずです。
始めは「副業」程度で始めたものでも、それが自分に合っていてある程度の期間継続できれば、しっかり稼げるようになって気付けば「複業」に変わっているはずです。
いきなり「複業家」を目指そうとしても難しいので、まずは本業の空き時間を使った「お小遣い稼ぎの副業」程度からスタートしましょう。
副業をする際の注意点 | リスクやデメリットを理解して、適切に副業しよう!
最後に、副業(複業)のリスクやデメリットを5つ紹介しておきます。注意点を踏まえて、将来につながる副業を始めましょう!
【注意点①】ワークライフバランスが崩れやすい(ストレス、疲れ)
いちばん気をつけるべきはワークライフバランスの乱れ、つまりは「仕事のしすぎ」ですね。ふたつの仕事をすれば時間的な余裕は当然なくなりますので、つい睡眠不足になってしまったり、休息時間を疎かにしてしまったりしがちです。
適度な睡眠や休息は仕事の効率を高めるためにも欠かせません。無理のしすぎには気をつけましょう。
【注意点②】本業に支障をきたしてしまうおそれがある
副業を始めたことで本業が疎かになるのは厳禁です。本業で安定した収入が得られるからこそ、低リスクに副業(複業)でスキルや経験を得ることができます。その基盤を失ってはいけないのです。
睡眠不足などでパフォーマンスが下がると社内評価が下がってポジションが悪くなってしまう場合もありますし、無駄な残業が増えて副業が進まなくなってしまうこともあります。気持ちよく副業を進めるためにも本業は大切にしましょう。
【注意点③】副業禁止の会社なら、バレたら懲戒処分になる可能性も
副業禁止の就業規則を破って副業していた場合、バレてしまったときには減給や降格、最悪の場合は懲戒解雇になってしまうリスクもあります。
「住民税」から副業がバレてしまうことはすでに解説しましたが、バレる原因はそれだけではありません。同僚に見つかって密告されてしまったり、SNSでの発言からバレてしまったりという場合もあります。
絶対にバレないようにリスク管理を徹底するか、またはリスクを減らすため副業OKの会社に転職をしておくと良いでしょう。
【注意点④】めんどうな確定申告が必要になる
副業(複業)をしたら、基本的に必ず確定申告が必要となります。サラリーマンだけなら不必要なものだったので苦手意識があり、面倒に感じてしまう人は多いかも知れませんが、実は副業サラリーマンの確定申告はそれほど難しくありません。
それにパソコンの購入代金や家賃・光熱費の一部などを経費として税金対策に使えるようにもなるので、確定申告にはメリットも十分あります。少し勉強してみたらそれほど難しくありませんので、面倒がらずにトライしてみましょう。
【注意点⑤】税金面や初期投資、詐欺などで損する可能性がある
どんな副業をするかによっては、副業をしたことで逆に損してしまうケースもあります。Fxや株式投資などはわかりやすいですね。投資は負けてしまうこともあるわけです。
また、副業(複業)のためにプログラミングスクールに通ったり、Webライティングの教材を買ったりなどの初期投資した場合、その料金分を取り戻す前にやめてしまったら損してしまいますね。機材を買い揃えた場合などもそうです。
合う合わないはやってみないとわからない場合も多いので、初期投資は無理のない範囲で、最低限に行うようにして、まずは実践してみてその後必要に応じてスキルアップや環境整備のための投資を少しずつ行うと良いでしょう。
【まとめ】副業とは、未来に繋がるスキル・キャリアを低リスクに得るためのものである
一般に、副業とは「収入を目的に、本業以外の仕事を行うこと」とされていますが、どんな仕事を選ぶかによっては「将来の収入増加やキャリアアップに繋がる手段」にすることもできます。
意味のある副業を選んでいれば、歴が長くなってスキル等が身に付くにつれてどっちが本業なのかわからないような状態、つまりは「複業家」にいつの間にかなっているものです。そうなればもちろん総収入も増えますし、転職や独立なども自由です。始めるのは早いに越したことないですので、ぜひいまのうちから副業を始めてみましょう!
また、これからの時代は特にインターネットを使いこなせるスキルを持っておくべきです。せっかく副業をするならWebライターやブロガー、Webデザイナー、イラストレーター、Youtuber、動画編集者などの「オンライン副業」を選べば、そこで得られた知識は何をするにも役立ちます。
スモールステップのオンライン副業から始めて、自分の未来をつくっていきましょう!
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