ピグマリオン効果はアメリカの教育心理学者ローゼンタール氏よって提唱された心理現象で、上司や先生、親の「期待」が部下や子どもの能力を引き出して「成果・成績」を高めるというものです。別名「教師期待効果」「ローゼンタール効果」とも呼ばれています。
ピグマリオン効果は正しく活用すれば、教育だけではなくビジネスの現場でも大いに活用でき、モチベーション維持や業績アップに貢献します。ただし、ピグマリオン効果には反対意見もあり、正しく用いないと逆効果になってしまうこともあるのです。
今回は、そんなピグマリオン効果について解説しつつ、正しい「他者への期待」の活用方法について解説していきます。
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ピグマリオン効果とは? ── 「期待」が部下や生徒、子供の能力を伸ばす!
ピグマリオン効果とは、他者から期待されることで学習や仕事のなどの成績・成果が向上する現象を表す心理学の用語です。
アメリカの教育心理学者であるローゼンタールが、教師が生徒に期待をかけることによって生徒の学習成績が向上したという実験結果を報告したことが始まりであるため、「ローゼンタール効果」や「教師期待効果」とも呼ばれています。
ギリシャ神話に登場する「ピグマリオン」が名前の由来
「ピグマリオン効果」という名前の由来は、ギリシャ神話に出てくるピグマリオンという彫刻家の名前からきています。
── そんなギリシャ神話の逸話をもとに、「期待をすれば相手も応えてくれる」という意味で「ピグマリオン効果」と名づけられたのです。
ピグマリオン効果を確かめたローゼンタールの実験
ピグマリオン効果は、ローゼンタールが学生たちにネズミを使った迷路の実験をさせたことがきっかけに発見されました。
ネズミを渡す際に学生たちには、「こちらはよく訓練された賢いネズミ」「こっちは訓練していないのろまなネズミ」と説明しました。実はネズミに個体差はなかったのですが、生徒の実験結果では、「賢いネズミ」とされたグループの方が「のろまなネズミ」たちよりも良い成績を出すという差異が見られたのです。
そこでローゼンタールは、学生たちが事前にネズミの情報を受け取ったことで、それぞれのネズミの期待度や扱い方に違いが生まれ、実験結果に反映されたのではないかと考えました。
この実験結果を受けて、ローゼンタールは「期待をすることで成績やパフォーマンスが向上する」現象は教師と学生の間でも起きるのではないかと考えます。そこで、次はサンフランシスコの小学生を対象にして、「教師の期待がテストの成績にどう影響するのか」という実験を行います。
実験内容は、生徒たちをAクラス, Bクラスの2クラスに無造作に分け、片方のクラスの担任教師にだけ「あなたのクラスの生徒は、成績が伸びる優秀な子たちだ」と伝えるというものです。すると、そのクラスの生徒たちは、本当に成績が向上したのです!
これら2つの実験結果を受けて、ローゼンタールは「人は期待されるほど、良い結果を出しやすくなる」と結論づけ、ピグマリオン効果として提唱したのです。
ピグマリオン効果でチームの成果を高めよう! ── ビジネスへの活用方法
ピグマリオン効果は、教育だけではなくビジネスの場面でも、新人教育やチームの部下を指導をするときに活用できます。
例えば、上司が部下に対して「君は今季一番の期待のホープだ!これからの活躍を大いに期待しているよ!」と声をかけ、実際に部下がよい成果をあげられた場合には、ピグマリオン効果が発揮されたといえます。
それでは、ピグマリオン効果をビジネスでうまく活用するにはどうすればよいのでしょうか。ポイントを4つ紹介いたします
① 適切な課題と裁量権を与える
課題の量は「多すぎてもダメ、少なすぎてもダメ」です。課題が少なすぎてはやる気を失ってしまいますし、逆に多すぎたら達成できないことから自信をなくしてしまいます。個人の能力に応じた適切な課題を与えることで、部下は課題を克服して自身の成長を感じられます。こうした成功体験が自己肯定感の向上につながり、モチベーションの維持を助けるのです。
また、ある程度の裁量権を与えることは上司が部下を信頼しているという期待を示すことになり、ピグマリオン効果が発揮されやすくなります。上司は部下を信じて見守るように心がけることも重要です。
② 期待を言葉で示す
心の中で期待しているだけでは相手には伝わらないので、部下への期待はハッキリと言葉で伝えることが重要です。「大丈夫、君ならできる!」というように、前向きなコミュニケーションを心がけるようにしましょう。
時には仕事で部下の失敗を注意しなくてはいけないときもありますが、そんなときにミスをズバッと言い切ってしまうと、部下は厳しすぎると怖がったり見放されたと感じたりしてしまいます。ダメだった部分はしっかりと伝えたうえで、「この失敗を活かして、もっと成長しよう!」というようなポジティブな姿勢で部下と接すればやる気を引き出すことができ、結果としてピグマリオン効果を高められます。
③ 成果だけでなくプロセスを評価する
成果だけにこだわりすぎずプロセスを評価することも、ときには重要です。
特に、期待していた成果が出なかったような逆境でこそ、プロセス評価は役に立ちます。成果が出なかった原因は、業務の不慣れや目標が高すぎたなど様々な原因が考えられるため、上司は部下をすぐに責めるべきではありません。部下が取り組んだプロセスにも注目しフィードバックを返していくことで、部下は「今回は失敗してしまったけど、自分は期待されているんだ」と理解でき、前向きに仕事に取り組むことができます。
④ 公正な評価を与える
公正・公平な評価制度に基づいた人事評価を行いましょう。
期待をかけられた部下が努力をして成果をあげたとしても、それが正しく評価されなければ「頑張っても意味はないんだ」と感じて上司や組織への不信感が生まれたり、仕事に対する熱意が低下したりしてしまいます。
上司の期待が部下のパフォーマンスを引き上げ、成果につながる。成果が正しく評価されて、またモチベーションが高まり、次の成果につながる。こうしたプラスの循環を生み出せる組織づくりが大切です。
「期待」が逆に成果を下げることもある!? ── ピグマリオン効果の注意点
ピグマリオン効果はうまく使えば部下の成長や会社の業績アップにつながりますが、やり方を間違えてしまうと逆効果になってしまうこともあります。
特に上司として部下を育成するときには、部下の主体性を育み、やりがいを持って働いてもらうためにも「適切な期待のかけ方」が重要です。
それでは、ピグマリオン効果が逆効果となってしまう3つの原因とその対策について解説していきます。
【注意点①】過度な期待をかけすぎない
適度な期待は部下のやる気を引き出し生産性を高めますが、期待が大きすぎればプレッシャーがかかりすぎ、精神的な負担となってパフォーマンスを引き下げてしまいます。「自分には無理だ」というマイナスな感情を抱いてしまっては、元も子もありません。
また、「期待のキャパシティ」は人によっても違うので、部下ひとりひとりの性格やスキル等を見極めたうえで、期待値を設定しましょう。
【注意点②】「勝手な期待」で主体性を奪わない
部下が望んでいない上司の「勝手な期待」を押し付けた場合、部下が自分で考えて行動する前向きな姿勢が失われてしまう可能性があります。
【ポイント】ピグマリオン効果は、期待をかけられた相手が「期待に応えたい」という気持ちを持っていてはじめて発揮されるものです。本人の望まぬ期待はただの押し付けにすぎず、かえってパフォーマンスを下げることすらあるのです。
また、一方的な期待をかけると、期待が実現されなかった場合の落ち込みやイラつきの原因になります。そうなると雰囲気の悪化や八つ当たりを引き起こし、相手もやる気がさらに消失するという悪循環が起こってしまいます。
部下に期待をかけるときは、一方的なものになっていないかを客観的に評価することも上司の務めです。
【注意点③】成果ばかりを過剰に評価しない
そして、最後に成果ばかりを過剰に評価するのも注意したいところです。ビジネスにおいて、もちろん成果も大事ですが、その成果を成し遂げるまでのプロセスや「どう考えたのか」など、部下の「創意工夫」や「主体性」を評価することも重要です。
何事も初回から上手くいくわけではありません。成果主義では、どれだけ努力しても成果がなければ褒められずモチベーションの維持が難しいです。一方でプロセス評価をすることで、たとえ失敗して成果が出なかったときでも評価してもらえるので、失敗から学ぼうという意欲的な姿勢を身に着けることができ、長い目で見たときに良い結果につながるのです。
知っておきたいピグマリオン効果と関連する心理学行動
心理学の分野では、ピグマリオン効果に関連するさまざまな心理行動が存在します。
① ゴーレム効果 ── 負のピグマリオン効果
ゴーレム効果とは、相手に低い期待をかけると成績が下がってしまうことで、別名「負のピグマリオン効果」と呼ばれています。この心理効果も、ローゼンタールによって提唱されました。
ゴーレム効果には、次の2種類があります。
【➀絶対的ゴーレム効果】
ネガティブな評価をされることで、本人の成績が下がってしまうこと。学校や職場の成績が低い人に対して、先生や上司が低い評価をすると起こりやすい。
【➁相対的ゴーレム効果】優秀な人材が評価の低い集団に所属すると、成績が下がってしまうこと。
ビジネスでゴーレム効果が起きないように、成果だけではなくプロセスも重視した評価や、適切な人員配置も必要になってきます。
② 予言の自己成就 ── 単なる予想を現実にしてしまう
「予言の自己成就(自己成就予言)」とは、根拠のない思い込みでも、その状況が起こると想定して行動することで、思い込んだ状況が実際に現実になることがあるという心理学用語です。
アメリカの社会学者トマスが説いた「もし人がその状況を真実と決めれば、その状況は結果において真実である」という定理がその礎となって生まれました。
ビジネスの場でも、予言の自己成就の現象は起こります。神戸大学のMBAプログラムにおいても、難しい仕事に対してもとりあえず、「できる」「なんとかなる」と言うことが自らの可能性を広げることにつながると教えられているほどなので、有効なマインドセットといえます。
③ ホーソン効果 ──「期待」ではなく「注目」だけで成果は向上する
ホーソン効果とは、人が「注目される」ことによって成果を上げようと努力する現象です。ピグマリオン効果と似ているように見えますが、明らかな違いがあります。
【ポイント】ピグマリオン効果は、教師や上司といった目上の人からの「期待」を受けることで成果が向上するものですが、ホーソン効果は第三者からの「注目」によって引き起こされます。
また、ピグマリオン効果は期待をかけられただけで成果が上がるのに対し、ホーソン効果は注目された相手が成果を出そうと自ら意識し行動します。
④ ハロー効果 ── 特定部分に関する印象が全体の印象にまで波及する
ハロー効果とは、モノや人を評価するとき、目立つ特徴に引きずられて全体の印象にまで影響を与える現象です。
成功しているビジネスは、ハロー効果をうまく活用したマーケティング施策を展開していることが多いです。有名人を起用したテレビCMや、パッと目を惹く魅力的なホームページのデザインは、まさにハロー効果を発揮しています。
【まとめ】ピグマリオン効果を使ってチームの成果を高めよう!
他者からの期待を感じることでパフォーマンスが向上する心理現象「ピグマリオン効果」は、チームの生産性を高め、やりがいをもって働くことができるなどビジネスシーンでさまざまな恩恵をもたらします。
ピグマリオン効果は誰でも気軽に実行できるハードルの低さが魅力の一つですが、正しい「期待のかけ方」をしないとかえってパフォーマンスが低下してしまったり、自信喪失につながったりしてしまうこともあります。特に、部下の指導をする上司は、自身が適切な期待をかけられているのかどうかということを見極めることが重要になってきます。
個人差はありますが、程よいプレッシャー(=期待)を感じているほうが自然と「やるぞ!」という気持ちになるものです。自分で考えて仕事に取り組み、成果が上がればさらに楽しさを感じてまた頑張るというポジティブな循環を生み出すことができます。そして、その過程こそがビジネスパーソンとして成長する絶好の機会なのです。
チームのパフォーマンス向上や人材育成のため、ぜひピグマリオン効果を有効活用してみてください!
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