マインド・仕事術

『7つの習慣』徹底解説① ──「第1の習慣 主体的である(主体性を発揮する)」とは?

フランクリン・R・コヴィー博士の『7つの習慣』と言えば、全世界のビジネスパーソンに愛される「世界一売れたビジネス書」として知られる自己啓発本です。全世界で4,000万部以上、日本だけでも240万部以上を売り上げています。

自己啓発本と言うと、「読んでも意味がない」「意識高い系が読むやつ(笑)」なんて言われてしまうこともありますが、『7つの習慣』はそんな「よくある自己啓発本」とは一線を画します。

【ポイント】
コヴィー博士は人間や社会の本質を正確に読み解き、それを具体的で実践的な方法論にまで落とし込んでいます。しかも、それでいて一定の抽象度を保っているので柔軟性もあり、「不朽のメソッド」にまで昇華しているのです

だからこそ全世界の政界・ビジネス界の一流たちが『7つの習慣』を愛読しており、20世紀最高のビジネス書とまで言われているわけです。

いうならば、『7つの習慣』は「自己啓発本はこの1冊だけ読めば十分」と断言できてしまうほどに、成功の本質を捉えた名著なのです!

そんな本著で語られているのは、コヴィー博士が「成功の第一要因」として挙げている「世の中の原理・原則に則した優れた人格を身につけるための方法論です。そして、それこそが本著のタイトルでもある「7つの習慣」というわけです。

  • 私的成功
    • 第1の習慣 : 主体的である(←イマココ
    • 第2の習慣 : 終わりを思い描くことから始める
    • 第3の習慣 : 最優先事項を優先する
  • 公的成功
    • 第4の習慣 : Win-Winを考える
    • 第5の習慣 : まず理解に徹し、そして理解される
    • 第6の習慣 : シナジーを創り出す
  • 最新再生
    • 第7の習慣 : 刃を研ぐ

これらの習慣をきちんと理解して実践できれば、あなたの考え方が変わり、行動が変わり、ひいては「成功者になるべくしてなれる人格」が身につくはずです。『7つの習慣』とは、お金やビジネスだけでない「人生の成功者」になるための方法論を説いた本なのです!

そんなコヴィー博士の「7つの習慣」の教えを、1つずつ徹底的に解説していこうというのが本連載です。初回のこの記事では、第1の習慣「主体的である」のエッセンスと実践の方法について解説いたします。

目次
  1. 第1の習慣「主体的である」とは? ──「反応的な生き方」に決別して「自分の人生」を生きるための方法論
  2. 人間を人間足らしめている「4つの能力」とは? ── 自覚・想像・良心・意志
  3. 多くの現代人には「決定論」の考え方が根付いてしまっている ── 反応的な人のパラダイム
  4. 「主体性」と「関心の輪・影響の輪」── 主体的な人と反応的な人の違い
  5. 主体的に生きれば、抱える悩み・問題のほとんどは自分で解決できる! ── 主体的であることの意義
  6. 再び、第1の習慣「主体的である」とは? ──「主体的なパラダイム」を手にする方法
  7. 【まとめ】日々を「主体的に生きる」ことで、自分の可能性を最大限発揮できる!

第1の習慣「主体的である」とは? ──「反応的な生き方」に決別して「自分の人生」を生きるための方法論

「第1の習慣 主体的である」とは、自分や他人が持っている「パラダイム(≒物の見方, 解釈の仕方)」を理解し、自らのパラダイムを「主体的」なものに書き換えることで、自らの「責任」と「率先力」で物事への「反応」を選択できるようになるための習慣です。

パラダイム = 物事の見方・解釈の仕方。誰しもが自らのパラダイムという「世界を見るレンズ」を通して身の回りのことを理解している。

(参考)パラダイムシフトとは? ビジネスにも生き方にも大切な「パラダイム」について理解しよう!

第1の習慣は、主体的であるために日々をどんな態度で過ごせばいいのか、どのような行動をすべきなのかという行動の指針 を明らかにしてくれます。つまり、「主体的なパラダイム」を手に入れる方法を具体的に示してくれるものなのです。

第1の習慣は「7つの習慣」の基盤をつくる

第1の習慣は、「7つの習慣」の中でも特別なポジションの習慣と言えます。なぜなら、第1の習慣は「コヴィー博士の理論全体の基礎」となるものだからです。

【ポイント】
第1の習慣「主体的である」の本質は、パラダイムシフトを起こすことで人格と能力が成長していく土壌を整え、自身が持つ効果性を最大限発揮できるようにすることにあります。

「主体性」を身につけることで人間が持つ「4つの能力」── 自覚・想像・良心・意志 ── の力を引き出すことができ、それらの力を活かして第2の習慣以降を習得していくのです。

このように、「7つの習慣」の中でも特別なポジションに位置する第1の習慣は、(次回以降で解説する第2, 第3の習慣などとは違って)単にやり方を学んで実践するだけではほとんど効果を発揮してくれません

あらかじめコヴィー博士が意図すること、主体的な生き方が与えてくれる価値を真に理解し、自己成長につながる正しい考え方を身につけておくからこそ真価が発揮されるものなのです。

久保真介
久保真介
ということで、第1の習慣の具体的な内容・実践方法に触れる前に、「主体的であることの意義や本質」を深掘りしていきましょう。

人間を人間足らしめている「4つの能力」とは? ── 自覚・想像・良心・意志

私たち人間は、自分のことを客観視して考えることができます。自分が他人からどう見えているのかを想像したり、自分の感情を頭で理解したりといったことが当たり前のようにできますが、これは他の動物にはできないことです。人間だけが持っている自分の思考プロセスを考えるという「自覚」という能力があるからこそ、客観的な物の見方ができるのです。

同様に、人間以外の動物は「想像」「良心」「意志」という能力も持ちません。想像とは、現実の状況を超えたことを頭に思い描く能力、良心とは心の奥底で善悪を判断をして、自分の行動と照らし合わせる能力、意志とは周りに左右されずに、自覚に基づく言動を取る能力です。人間以外の動物はこのような能力を持たず、本能・経験・調教によって「反射的・反応的に」行動を決定しているだけなのです。

「4つの能力」を使いこなすことが人生の成功を左右する!

コヴィー博士は、この人間を人間足らしめている4つの能力 ── 自覚・想像・良心・意志 ── を使いこなすことこそ、人間が持つ可能性を引き出し、成功を掴むために必要なことだと述べています。次の通りです。

“動物は、たとえ知力の高い動物でも、これら四つの能力のどれ一つとして持っていない。コンピューターにたとえて言うなら、動物は本能や調教でプログラムされているにすぎない。何かの行動をとるように動物を調教することはできるが、教えられる行動を自分で選ぶことはできない。動物自身がプログラミングを書き換えることはできないのだ。そもそもプログラミングという概念を意識すらしていない。
 しかし人間は、人間だけが授かっている四つの能力を使えば、本能や調教とは関係なく自分で新しいプログラムを書くことができる。だから動物にできることには限界があり、人間の可能性は無限なのだ。しかし私たち人間が動物のように本能や条件づけ、置かれた状況だけに反応して生きていたら、無限の可能性は眠ったままである。”

── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(キングベアー出版, 2013年)p.080より
(※黄色の下線は本メディアによる編集)

この4つの力は「7つの習慣」の全体、中でも「私的成功」を目的とした第1〜第3の習慣を身につけるために必要不可欠な能力です。

多くの現代人には「決定論」の考え方が根付いてしまっている ── 反応的な人のパラダイム

人間が持つ「自覚・想像・良心・意志」という4つの能力を引き出すためには、まず「刺激」に対する「反応」を自ら選択できるようになることが必要だとコヴィー博士は語ります。

そう、多くの人たちが成功できないのは、外部の刺激に対する自らの反応を制御できていないからなのです!

現代人のほとんどは、無意識下のうちに「3つの決定論」── 遺伝子的決定論・心理的決定論・環境的決定論 ── にとらわれた考え方をしてしまっていると、コヴィー博士は述べています。

  • 遺伝子的決定論 : 性格や人格、能力は遺伝子で決定される
  • 心理的決定論 : 育ちや幼少期の経験・教育が性格や人格、能力を決定している
  • 環境的決定論 : 上司や配偶者、あるいは経済状況や国の政治など、取り巻く環境が今の状態を決定している

つまりは、たとえば

  • 性格も才能も、どれだけ努力できるかすら生まれ持った遺伝子で決まっている
  • 今の自分の状況が苦しいのは、子ども時代に恵まれた家庭環境で育たなかったせいだ
  • 仕事のできないパワハラ上司のせいで自分は思った通りに成果をあげられないんだ
  • 僕は言われた仕事をちゃんと頑張ってやっている。活躍はできてないけど、悪いのは僕じゃない
  • こんなに生きづらいのは、今の日本社会のせいだ

などといったように、自分の外部に責任や原因を求めてしまう人が増えているということです。

久保真介
久保真介
なお、このような「外部依存の考え方」のことを、コヴィー博士は「反応的なパラダイム」あるいは「アウトサイド・インのパラダイム」と呼んでいます。

決定論による「反応的なパラダイム」が失敗を引き寄せる!

決定論的な考え方の根底に根付いていると、「努力したところでどうせ成功なんてしない」という思いが「自己達成予言」になってしまい、余計にそのような状況を呼び寄せてしまいます。

久保真介
久保真介
つまりは、思い込みが態度や行動に表れ、うまくいかない結果を自ら引き寄せてしまうということです。

このようにして、現代人の多くは自らの「主体性」を捨て、他人や環境からの刺激に対して「ただ反応するだけ」 になってしまっています。

しかし前述の通り、人間が自らの能力を発揮して成果を上げるためには「自覚・想像・良心・意志」という人間だけが持つ力を使いこなし、主体的に生きることが欠かせません。自分自身はどう考えるのか、どうしたいのか、どうありたいのかということを「主体的」に考え、自分の態度や行動を自分で選べるようにならなければならないのです!

「主体性」と「関心の輪・影響の輪」── 主体的な人と反応的な人の違い

それでは、そもそも主体性とは何なのでしょうか? コヴィー博士は次のように語ります。

“主体性とは、自発的に率先して行動することだけを意味するのではない。人間として、自分の人生の責任を引き受けることも意味する。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(キングベアー出版, 2013年)p.081より

主体性とは「自分の人生の責任を引き受け、率先的に行動すること」

私たちの態度や行動は、自らの意思決定の結果です。それは、自らが主体的に選んだことでも、何かに責任転嫁して仕方なく選んだ反応だとしても同じことです。

そして、物事に対して何か「反応」を「選択」すれば、そこには必ず「責任」が生じます。これは、「責任」を表す英単語(responsibility)が、「反応(response)」と「能力(ability)」からできていることからもわかりますね。責任とはもともと、「反応を選択する能力」を意味する のです。

言い換えると、物事に対して何か「反応」を「選択」すれば、そこには「責任」が生じるということです。自らの判断のもとに行った行動・発言の結果は、それがプラスに転ぼうとマイナスに転ぼうと、すべて自分で引き受けなければならないわけです。

このように、自ら責任を引き受け、率先的に行動・発言できる能力こそが主体性なのです。

「主体性」と「関心の輪・影響の輪」

コヴィー博士は、反応的な人と主体的な人の違いを「関心の輪」と「影響の輪」という概念を使って説明しています。

(図)関心の輪と影響の輪

「関心の輪」とは、その人が持っているさまざまな関心ごと全体の集合のことです。その中には夕飯のメニューや明日の天気、楽しみにしている漫画の来週号の展開などといった些細なこともあれば、仕事上の課題や人間関係の悩み、忘れられない過去といった重要なものもあります。さらには、国の財政状況や日中関係、地球温暖化など規模の大きな関心ごとも入ります。

それに対して、「影響の輪」は自分が直接的に影響を与えられるもの、コントロールできるものだけを集めた集合です。通常、「影響の輪」は「関心の輪」の内側に入ります。さまざまな関心ごとがある中で、自分の行動が何かしらの影響を与えられるものだけを集めたものが「影響の輪」ということです。

主体的な人は「影響の輪」に集中し、反応的な人は「関心の輪」ばかりに目を向ける

「関心の輪」と「影響の輪」のどちらに自分の時間やエネルギーを費やしているのか考えることで、自分の主体性を自覚できます。

主体的な人は、可能な限り「影響の輪」にフォーカスしています。自分が何か行動を起こすことができ、何かを変えられることに対して自らの限られたリソースを使い、その影響の輪を少しずつ広げているのです。

一方、反応的な人は「影響の輪」の外側ばかりに意識が向いてしまいます。たとえば自分の生まれ持った性質、職場や社会の問題点、芸能界のスキャンダルなど、自分ではどうにもできないことばかりをつい考えてしまいます。そうしていると、だんだん人のせいにする態度や被害者意識が強くなっていき、ネガティブなエネルギーばかりが増えていくのです。

久保真介
久保真介
そうして、反応的な人の「影響の輪」はさらに小さくなっていくのです。

主体的に生きれば、抱える悩み・問題のほとんどは自分で解決できる! ── 主体的であることの意義

主体的なパラダイムを持ち、自分の「影響の輪」を常に意識して行動する人は、直面したあらゆる問題に対して、それがどれだけ困難なものであっても建設的・発展的な対応ができます

なぜなら、主体的な人は「解決策はすべて、自分の影響の輪の中にある」ことを知っているからです。

問題解決は「問題の本質理解」から始まる ── 問題には3つの種類がある

直面した問題にどのように取り組むかを決めるには、まず「自分はその問題に対してどのようにアプローチできるのか?」を判断しなければなりません。このように考えると、問題は3つの種類に分類できます。

  • 直接的にコントロールできる問題
  • 間接的にコントロールできる問題
  • コントロールできない問題

つまり、自分自身の行動で直接あるいは間接的に影響を与え、コントロールできる問題なのか、そうでないのかを判断することが問題解決の第一歩です。

「直接的にコントロールできる問題」は「行動や習慣を変える」ことで解決できる

問題に対して自分自身の態度や行動で直接影響を与えられるなら、問題解決の方法はわかりやすいです。自ら何らかの行動を起こしたり、習慣を変えたりすればいいだけのことです。

その際も、主体的な人が持つ「責任を引き受け、率先的に行動する」能力が役に立ちます。何か問題が起こっているのに、自分からは何もせず、誰かが解決してくれるのを無責任に待っているようでは問題は悪化するばかりです。責任を自覚し、率先力を発揮していち早く行動を起こすことが問題解決の糸口になります。

「間接的にコントロールできる問題」は「影響の輪を広げる」ことで解決できる

自分が直接影響を与えられないとしても、組織や他人を通して何らかの影響を与えられる問題であれば、自分の影響力の輪を広げることで解決できます。

たとえば常日頃から家族や同僚との関係性を強化し、信頼を勝ち得るように心がけていれば、何か問題が起こったときでもその人たちが力になってくれるはずです。このように、自分の影響の輪を広げておくことで、解決できる問題の範囲も広がるのです。

「コントロールできない問題」には「自分の態度を改める」ことで対処する

人生の中で直面する問題の中には、どうしても自分では一切コントロールできないものもあります。たとえば先天的に持って生まれたものであったり、過去の自分への後悔であったり、あるいは日本の不景気や円安などはどう頑張っても自分の力で変えることはできません。

しかし、そのような問題も「主体的」な態度で解決することはできます。自分の心の中で、問題の捉え方を変えるのです。『7つの習慣』から1つのフレーズを紹介しましょう。

“主よ、私に与えたまえ。変えるべきことを変える勇気を、変えられないことを受け入れる心の平和を、そしてこれら二つを見分ける賢さを。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(キングベアー出版, 2013年)p.101より

この言葉にある通り、自分の力ではどうにもできない問題を見極めて、それを受け入れることが大切です。もう一つコヴィー博士の言葉を引用しましょう。

“私たちは自分の身に起こったことで傷つくのではない。その出来事に対する自分の反応によって傷つくのである。もちろん、肉体的に傷ついたり、経済的な損害を被ったりして、つらい思いをすることもあるだろう。しかしその出来事が、私たちの人格、私たちの基礎をなすアイデンティティまでも傷つけるのを許してはいけない。むしろ、つらい体験によって人格を鍛え、内面の力を強くし、将来厳しい状況に直面してもしっかりと対応する自由を得られる。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(キングベアー出版, 2013年)p.084より

生きていれば、受け入れ難い経験をすることもあります。しかし、それにいつまでも打ちのめされていても、自分のためにも誰のためにもなりません。どうにも変えようがないという事実を受け止め、そのうえで自分の「影響の輪」の中でできることをしていくという主体的な態度を持つことが大切なのです。

「影響の輪」に集中することで、自分の時間や才能を最大限発揮できる!

以上のことからわかる通り、主体的なパラダイムを持ち、自分の「影響の輪」にフォーカスし続けることで、直面したどんな問題も乗り越えることができます。

【ポイント】
それはもちろん、すべての問題を完璧な形でクリアにするという意味ではありませんそのときの自分ができる最善を見極め、責任を引き受けて行動を起こし、「問題が起こっている状態」を解消していくということです。

自分の「影響の輪」に集中している限り、自分が持っている時間やエネルギーは意味のある形で使われ、自身の成長や仕事での成果、人間関係の構築などにつながるのです。

久保真介
久保真介
このように、他人や環境のせいにせず「常に自分の内側」に注目して最善を尽くそうという考え方を、コヴィー博士はインサイド・アウトのパラダイムと呼んでいます。インサイド・アウトこそ人間の持続的な成長を司る原則であり、成功に不可欠なものなのです。

再び、第1の習慣「主体的である」とは? ──「主体的なパラダイム」を手にする方法

ここまで長くなりましたが、ようやく「第1の習慣 主体的である」の実践方法に入ることができます。ここまでの解説で、第1の習慣の〝本質〟は理解できたはずです。

第1の習慣とは、個人の成長とその先にある成功の礎となる「主体的なパラダイム」を身につけるために日々行うべき、基本的な行動の指針を示したものです。その具体的なやり方を解説していきます。

反応的なパラダイムを捨て、主体性を高める5つの方法 ── 第1の習慣の実践方法

第1の習慣は「実践」するのは難しいものの、実のところ、内容自体はそれほど難しいものではありません。次の5つです。

【第1の習慣「主体的である」の実践方法】

  1. 自分や他人が発する「反応的な言葉」に意識を向ける
  2. つい反応的な態度・行動をしてしまう状況を予測し、主体的な対応の仕方をイメージトレーニングする
  3. 抱えている問題には「コントロール可能か?」「影響の輪の中でできることは何か?」と考える
  4. 「目標」を立て、達成のために「努力」する
  5. 自分や他人と「約束」をして、それを守る

① 自分や他人が発する「反応的な言葉」に意識を向ける

私たちの持つパラダイムは「言葉」に表れます。主体的な人の言葉は責任感がありますし、反応的な人の言葉は他責思考です。自分や他人の話す言葉を聞いて、以下のような反応的な言葉を使っていないか注目してみましょう。

  • 「そんなのできない、そんなの無理だ」
  • 「〜しなきゃいけない、〜でなければならない」
  • 「どうせ〜だ」
  • 「〜だったらなぁ」

「言葉には言霊がある」などとよく言いますが、これは心理学的に考えても馬鹿にはできません。放った言葉が「自己達成予言」となり、思い込みを強くしてしまうのです。

(参考)予言の自己成就(自己達成予言)とは?(※ 近日公開)

自分自身が「反応的な言葉」を使っていないか気をつけ、それが癖になっているようならば意識的に直していきましょう。言葉を変えれば、今度は「自己達成予言」がプラスに働きます。これに関連したマザー・テレサの言葉を紹介しましょう。

“思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。”

── マザーテレサの名言

まさにこの言葉の通り、「思考(≒パラダイム)」や「言葉」に気をつけていけば「行動」や「習慣」が変わり、その先では「人格(性格)」や「人生(運命)」までもが好転するのです。

② つい反応的な態度・行動をしてしまう状況を予測し、主体的な対応の仕方をイメージトレーニングする

2つ目の習慣として心がけたいのは、自分が反応的な態度・行動をしてしまいそうな場面を想定し、先回りして対処することです。

仕事で失敗してしまい、それを上司に報告しなければならないとき。恋人を怒らせるようなことをしてしまったとき。取引先に自社の痛いところをつかれてしまったとき。そんなとき、何も準備をしていなければ、つい他責思考に陥いって言い訳をしてしまうこともありますよね。

このような場面をあらかじめ想定して、どのように対応するべきか考えておくのです。このとき、「想像力」を働かせてその場面をできるだけリアルに思い描くことが大切です。そして、その中で主体的に反応している自分をイメージしましょう。

活躍しているトップアスリートやビジネスパーソンの多くは試合や商談の前にイメージトレーニングを念入りに行っていることが、さまざまな研究でも明らかになっています。

イメージの中で一度出くわし、経験済みの場面なら落ち着いて主体的な対応ができるはずです。できる限り常に主体的であれるように準備をしておきましょう

③ 抱えている問題には「コントロール可能か?」「影響の輪の中でできることは何か?」と考える

3つ目は、仕事やプライベートで何か問題に直面したり、悩みにとらわれたりしている場面でやるべきことです。

まずは、その悩みや問題が自分のコントロールの範疇にあるのかどうか考えてみましょう。あるいは、他人の協力があれば間接的にいコントロールできるでしょうか。可能であれば、自分の「影響の輪」の中でできる最善の手を考え、実践するのみです。

もしコントロールできない問題であれば、それにいつまでも時間やエネルギーを割くわけにはいきません。その悩みや問題への向き合い方を自分なりに決めて、それに振り回されないようにしましょう。

悩みや問題は、その全貌や解決策がわからないままの状態にしておくと、いつまでも自分の時間やエネルギーを削り続け、場合によってはどんどん大きくなっていきます。自分の「主体性」を発揮し、できる限り早く問題への対処法を考えるようにしましょう。

④ 「目標」を立て、達成のために「努力」する

4つ目は「目標を立てて、その達成のために努力する」ことです。

【ポイント】
小さな目標でも構いません。日々目標に向かって努力をすることで、内面の「誠実さ」や「自制心」が育まれ、目標を達成できれば「自信」「勇気」「自尊心」につながります

こうして小さな目標を達成し続けることが、主体的な自分をつくることになるのです。

⑤ 自分や他人と「約束」をして、それを守る

最後の5つ目は、「自分や他人と約束をして、それを守る」ことです。これも4つ目と同じことで、小さな約束でもいいので自分や他人と約束をして、それを守る経験の積み重ねが自分の主体性や人格を育てます。

④や⑤のように、「決意をしてそれを守る」ことは、自分の人生の主導権を握り、自分の効果性を高めるために最も大切なことです。ぜひ日々の生活の中で取り組んでいきましょう。

久保真介
久保真介

以上、第1の習慣「主体的である」を実践するための5つの方法を紹介しましたが、集中的に主体的なパラダイムを身につけたい方は、これら5つの方法を1ヶ月間意識し続ける「30日間テスト」にトライしてみましょう!

30日の間「影響の輪」のみに意識を向け続けるように意識し、5つの方法を毎日実践しましょう。誠実さや自制心、責任感を一気に磨けますよ!

【まとめ】日々を「主体的に生きる」ことで、自分の可能性を最大限発揮できる!

今回はフランクリン・R・コヴィー博士の大ベストセラー『7つの習慣』から、第1の習慣「主体的である」を徹底解説しました。

「主体的である」とは、反応的なパラダイムを捨て、自らの「責任」と「率先力」で物事への「反応」を選択できるようになることです。これは「インサイド・アウトのパラダイムを持つこと」とも「影響の輪のみに集中すること」とも言い換えられ、いずれにしても、人間的な成長と人生の土台をつくるものなのです。

第1の習慣を実践して、主体的な態度・行動の積み重ねることで、「自覚・想像・良心・意志」という人間だけが持つ4つの能力を高められます。そしてこれは、第2の習慣以降を実践・習得するためにも必要不可欠です。まずは第1の習慣をマスターしてこそ「7つの習慣」を本当の意味で理解できるようになるのです。

久保真介
久保真介
本連載では、『7つの習慣』に記されたコヴィー博士の「7つの習慣」の本質や実践方法を1つずつ詳しく解説しています。ぜひ他の記事もご覧ください!

【参考資料】

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サロン経営を猛烈な赤字でスタート。マーケティングを駆使しながら圧倒的な黒字化の仕組みを構築。サロン経営者にコンテンツセールスやコンサルをスタート。3年で複業月収8桁を達成。600名以上が登録する無料オンラインサロン(MAKE TIME)や、”ロイヤル顧客リピートで満席の仕組み”を構築できる完結型コンテンツを無料で提供。コンサルタントとして50件以上のサリンを年商800万~3000万以上UPさせた実績を持つ。現在では、サロン経営の仕組み化や、複業のサポートコンサルを継続中。

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