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『7つの習慣』徹底解説⑤ ──「第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される(理解してから理解される)」とは?

フランクリン・R・コヴィー博士の世界一売れたビジネス書『7つの習慣』徹底解説、第5回です。

  • 私的成功
    • 第1の習慣 : 主体的である(詳細
    • 第2の習慣 : 終わりを思い描くことから始める(詳細
    • 第3の習慣 : 最優先事項を優先する(詳細
  • 公的成功
    • 第4の習慣 : Win-Winを考える(詳細
    • 第5の習慣 : まず理解に徹し、そして理解される(←イマココ
    • 第6の習慣 : シナジーを創り出す
  • 最新再生
    • 第7の習慣 : 刃を研ぐ

第5の習慣は、目の前の相手を理解するためにはどうすればよいか、そして理解することの重要さを説いています。わかりやすく言えば、良いコミュニケーションのとり方を学べる章です。

コヴィー博士は、コミュニケーションが人生において最も重要なスキルだと著書の中で断言しています。つまり、良いコミュニケーションを取れる能力は、豊かな人生をおくるために必要不可欠なスキルなのです。

しかし、僕たちは日常生活のなかで、真の意味でのコミュニケーションを取れていないことが意外と多くあります。「第5の習慣 まず理解に徹し、それから理解される」を知ることで、自分自身の在り方を振り返り、今後もっと効果的かつ、周りの人からの信頼を得られる方法を取得できます。

コヴィー博士の説く「まず理解に徹し、それから理解される」という教えの真意に迫っていきましょう。

(関連記事)『7つの習慣』総まとめ ── 世界一の自己啓発本のエッセンスをまとめて解説!(※近日公開)

第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される(理解してから理解される)」とは? ── 共感によるコミュニケーションの原則

第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」とは、良好な人間関係を築くための基礎となるを理解して実践するための習慣です。また、タイトル通り、まずは自分が先に相手を理解しようとする姿勢をとることの重要性が説かれています。

【ポイント】
第5の習慣は、第1~3の習慣で身につけた自立した人格があるのを前提として、他者と協力関係を築きがならWin-Win(第4の習慣)を目指すときに、他者とどのように接すればよいのかを理解して実践するための習慣です。第5の習慣は、「共感によるコミュニケーションの原則」と呼ばれています。

第5の習慣のなかでコヴィー博士は、僕たちが普段何気なく行っているコミュニケーションにおいて、ハッとするような気付きをたくさん提示しています。

人間関係において最も重要な「コミュニケーション」の習慣

人生における幸福度は良い人間関係を築いたかどうかで決まるという研究結果があるように、人間関係の基礎を司るコミュニケーションを理解することは、人生を劇的に好転させる力があると言っても過言ではありません。正しいコミュニケーションの取り方について、コヴィー博士は以下のように言及しています。

“人と人とのコミュニケーションの習慣を本当の意味で身につけたいなら、テクニックだけではだめなのだ。相手が心を開き信頼してくれるような人格を土台にして、相手に共感して話を聴くスキルを積み上げていかなくてはならない。心と心の交流を始めるために、まずは信頼口座を開き、そこにたっぷりと預け入れをしなければならないのである。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(Kindle版, 2013年)p384.より一部抜粋

巷には、コミュニケーションを上達させるためのテクニックを伝える動画やハウツー本があふれています。しかし、『7つの習慣』においてコヴィー博士は、「個性主義」と呼ばれる表面的なテクニックやスキルではなく、自分の人格を磨いて自分を変えるという「人格主義」の方法をとるべきだと訴えています。

それでは、第5の習慣「まず理解に徹し、それから理解される」を実践するために、コミュニケーションのポイントは何なのでしょうか?

コミュニケーションの鍵は「まず相手を理解する」こと ── 共感によるコミュニケーションの原則

コミュニケーションの習慣である第5の習慣のポイントは、タイトルにもなっている通り「まず理解に徹する」ことです。しかし、ほとんどの人がコミュニケーションを取っているときに、相手を理解しようと聴いているのではなく、次に話したり答えたりすることを考えながら相手の話を聞いているとコヴィー博士は指摘しています。

コヴィー博士は、相手が話をしているときの「聞く」レベルは全部で5段階あると指摘します。

  1. 相手を無視してまったく話を聴かない
  2. 聞くふりをすること
  3. 選択的に聞く
  4. 注意して聞く
  5. 相手の身になって聴く、共感による傾聴

真の意味で相手を理解するためには、最高段階のレベル5の「共感」が必要になってきます。要は、相手のことを心から理解しようと思って話を聴く姿勢が、「相手を理解する」に徹するファーストステップなのです。

久保真介
久保真介
人と話をしているときも、目の前の相手が自分の話を一生懸命理解しようと聴いてくれているかどうかって意外とわかりますよね。それでは、相手の立場に立って理解に徹するための、具体的な方法をみていきましょう!

相手を深く理解する方法 ── 共感による傾聴(感情移入の傾聴)

相手を深く理解するためには、ずばり、前述したレベル5の「共感による傾聴」が必要です。コヴィー博士は、「共感による傾聴」および「共感」について、以下のように定義しています。

“共感による傾聴とは、まず相手を理解しようと聴くことであり、相手の身になって聴くことである。相手を理解しよう、本当に理解したいという気持ちで聴くことである。パラダイムがまったく違うのだ。
 共感とは、相手の視点に立ってみることである。相手の目で物事を眺め、相手の見ている世界を見ることである。それによって、相手のパラダイム、相手の気持ちを理解することである。

── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(Kindle版, 2013年)p387.より

サラッと書かれていますが、言うは易く行うは難しとはまさにこのこと。僕たちは普段コミュニケーションを取りながらも、真の意味での傾聴はなかなかできていません。相手の話を聞くときも、自分の今までの経験や自分自身のパラダイム(考え方)を基準に、良かれと思って、つい提案をしたり自分の意見を通したりしてしまいます。

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大切なことは、感情を移入するほどに、相手を理解しようと思いながら話を聴くことです。次にご紹介するのは、人の話を聞くときについやってしまいがちな4つの反応です。自分の行動を振り返りながら、読んでみてください。

湧き出てしまう「自叙伝的反応」を抑える ── 評価・詮索・助言・解釈

自叙伝的反応とは、自分の過去の経験を相手の話に重ね合わしてしまう行動です。僕たちは以下の4つのパターンを取ってしまいがちです。

  1. 評価する = 同意するか反対するか
  2. 探る = 自分の視点から質問する
  3. 助言する = 自分の経験から助言する
  4. 解釈する = 自分の動機や行動を基にして相手の動機や行動を説明する

たとえば、あなたの職場の部下が「最近、疲れていて…」と相談してきたとしましょう。そんなときの、4つの自叙伝的反応をみていきましょう。

➀評価する 「なーに甘いこと言っているんだ。若いんだから、がんばれよ」
➁探る 「もしかして、彼女と別れた?」
③助言する 「疲れているときはサウナに行ったら、全部スッキリして整うよ!」
④解釈する 「あー、わかるよ。俺も最近ゲームにハマっちゃって、寝不足で疲れてるわー」

どの反応も、相手の話は聞いているようで発言の真意や相手の気持ちまでを考えておらず、自分の経験を基に自分が話したいことを話しているだけです。

では、「共感による傾聴」とはどのような姿勢でしょうか?

部下 :「最近、疲れていて…」
あなた:「何かあったのか?」(関心を持つ)
部下 :「実は、次回のプレゼンが上手くできる自信がなくて」
あなた:「うんうん」(傾聴する)
部下 :「プレゼンのことを考えると、夜も眠れなくて…」
あなた:「そっか、それはしんどいね」(共感する)
部下 : 「もし良ければ、一度見てもらうことってできますか?」
あなた:「もちろん、いいよ」

これは一例ですが、「自叙伝的反応」を取るのをグッと押さえて、徹底的に相手を理解しようとしており、結果としてこんなにも反応が違います。コヴィー博士は傾聴による共感の有効性について強く主張しています。

“人は誰でも、自分のことをわかってもらいたいと思っている。だから、相手を理解することにどんなに長い時間を投資したとしても、必ず大きな成果となって戻ってくる。なぜなら問題や課題が正しく理解されたと感じたとき、人が深く理解されていると感じたときに増える信頼口座の残高があれば、解決に向かって進めるようになるからだ。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(Kindle版, 2013年)p409.より

深く傾聴するには時間がかかるものです。しかし、そこに時間を投資することで、相手からの信頼を得ることができ、ビジネスシーンはもちろん人生においてもプラスの影響を与える信頼残高への預け入れに繋がります。また、傾聴による共感は、自分自身への考え方も良い方向へ変化させることができるのです!

久保真介
久保真介
信頼残高とは、相手との信頼関係や安心感の強さを、銀行の口座に例えたものです。ビジネスでもプライベートでも、自分が関わる人たちとの信頼残高の残高が成功に直結するのです!

深く傾聴できるようになると、自分の考え方が変化する!

相手を理解しようと努力しながら話を聴けるようになると、人によって考え方や物事の捉え方が異なるということに気付きます。この違いに気付くことは、『7つの習慣』が目指す理想的な人生「相互依存」にたどり着くための重要な一歩です。

久保真介
久保真介
「相互依存」とは、自立したもの同士が互いの違いを理解し、それぞれの長所を活かしあってシナジー(相乗効果)を発揮できるような関係性を示すもので、互いにもたれ合うような「共依存」の関係とは異なります。

他者と協力することで、自分ひとりでは達成できない成果を作り上げるパワーを持つ「相互依存」。学校や仕事をはじめ人生のどの場面においても、リソース(資源)は限られているからこそ、自分ひとりで何かをしようとするのではなく力を合わせる方が得策ですし、この現代社会も相互依存的にできています。そのため、相互依存の状態に到達するためには、良好な人間関係を築き、スムーズなコミュニケーションを取りながら、両者の利益を追求するWin-Winの関係を構築することが非常に重要になってきます。

第4の習慣「Win-Winを考える」を習得するための鍵が、まさに第5の習慣です。そう、すべては繋がっていいるのです。

Win-Winを築くためには「理解される」ことも大切 ── エトス・パトス・ロゴス

ここまでは「第5の習慣」の前半部分「理解する」に焦点をおいてきましたが、「理解される」という後半部分も同様に大切です。なぜなら、人間関係において相手から理解されなければ、Win-Winの関係の結果に到達できないからです。

第4の習慣では、Win-Winの関係を築くためには「勇気」と「思いやり」のバランスが重要であると述べられています。相手を理解するためには、自叙伝的反応を抑えて傾聴に徹する「思いやり」が必要なのはわかりやすいです。そして、自分を理解してもらうためには「勇気」が必要なのです。勇気というのは、相手に理解してもらうために、自分の思いをしっかり伝えることを指します。

そして、相手に何かを伝えるときに役に立つのが「エトス・パトス・ロゴス」という概念です。これらは古代ギリシャの哲学から来ているのですが、その概念は第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」の本質が含まれているとコヴィー博士は述べています。

“エトスは個人の信頼性を意味する。他者があなたという個人の誠実さと能力をどれだけ信頼しているか、つまりあなたが与える信頼であり、信頼残高である。パトスは感情、気持ちのことである。相手の身になってコミュニケーションをとることだ。ロゴスは論理を意味し、自分のことを筋道立てて表現し、相手にプレゼンテーションすることである。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(Kindle版, 2013年)p413.より

重要なのは、「エトス、パトス、ロゴス」という順番です。つまりまずは「人格」があり、その基礎のうえに「人間関係」を築いて初めて「自分の言いたいこと」が表現できるのです。

「論理の正しさ」の前に「人格」と「信頼関係」があることを忘れない

エトス・パトス・ロゴスが伝えたいことは、誠心誠意を持って相手に何かを伝えることの重要性です。たとえ同じ内容を伝えていたとしても、ただ自分の意見を押し倒そうとしている人と、相手の話を熱心に聴いたあとに自分の意見を伝える人では、圧倒的に後者の方が支持されます。

要は、何を伝えるのかの前に、誰がどうやって伝えるのかが大切だということです。相手に何かを伝えるときには、十分な信頼残高があるかや、相手を理解しようと努力している姿勢も、かなり重要になってきます。

久保真介
久保真介
正論だけを振りかざすのが善しとされないのは、まさに「人格」や「信頼関係」が重要だということを物語っています。やはり対人間同士なので、何かを伝えるときには人間性も大きく影響していくからこそ、第5の習慣を身につけ実践することは良いコミュニケーションを取るのに価値ある方法論と言えますね。

相互依存の関係を創り出すとは「影響の輪」を広げること

他者とかかわる「相互依存」の関係性においては、ときに他人の行動や考え方といったコントロールできない問題、言い換えると「影響の輪」の外側のことに対処する必要に迫られます。自分の影響力が行使できないことにばかりエネルギーを注ぐのは、かなり消耗します。だからこそ、コヴィー博士は、相互依存の関係構築において第5の習慣が効果的な理由を以下のように語っています。

“まず相手を理解する努力なら、いつでもできる。これならば、あなたの力でどうにかできる。自分の影響の輪にエネルギーを注いでいれば、だんだんと他者を深く理解できるようになる。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(Kindle版, 2013年)p413.より一部抜粋

第5の習慣は、自分次第でいくらでも実行できます。自分の「主体性」の問題であり、「影響の輪」の中にあることです。

そして、第5の習慣を実践していくことは、自分の「影響の輪」を広げていくことに他なりません。相手を理解しようと一生懸命努力をすることで、相手からも理解をされて、信頼されて、Win-Winの関係性が構築されていく。結果として自分の影響の輪が広がり、相手との「相互依存」の関係性が強化できるのです。

現代社会は相互依存的に作られています。だからこそ、第5の習慣をよく理解して実行できることは、豊かな人生を送ることにつながるのです。

【まとめ】「共感による傾聴」は信頼関係をつくる最良の方法!

今回はフランクリン・R・コヴィー博士の大ベストセラー『7つの習慣』から、第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」を徹底解説しました。

第5の習慣は、人間関係において最も重要な「コミュニケーション」の習慣であり、「共感による傾聴」の重要性や「勇気」を持って自分の意見や思いを伝えること大切さを説いたものです。

人間関係においては、まずは相手を深く理解するために「共感による傾聴」を行うことが何より大切です。僕たちは、ついつい自分の経験や考えを基準にしながら相手の話を聞いて意見する「自叙伝的反応」を取ってしまいがちですが、誠心誠意を込めて聴き役に徹することで、信頼関係を構築し、相手から理解されていきます。そして、この過程を踏むことが、『7つの習慣』のなかで公的成功の最高レベルである、次の習慣「第6の習慣 シナジーを創り出す」にも繋がっていくのです。

第5の習慣は、自分の意識次第で他者とかかわるすべての場面で実践できます。自身のコミュニケーションを振り返りながら「共感による傾聴」を実践していき、よりよい人間関係を築いていきましょう。

久保真介
久保真介
本連載では、コヴィー博士の『7つの習慣』の本質や実践方法を1つずつ詳しく解説しています。ぜひ他の記事もご覧ください!

【参考資料】

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