マインド・仕事術

信頼残高とは? ── ビジネスも人間関係も「信頼残高」への預け入れが超重要!

豊かな人生を送るためには人との「信頼関係」を構築することがとても大切です。信頼があるからこそ安心が生まれますし、気軽に意見も言い合えます。信頼は円滑な人間関係を作るためにも、ビジネスの成功のためにも、会社の中で楽しく仕事をして成果を上げるためにも重要なものなのです。

そんな「信頼」の重要性は、世界的ベストセラー『7つの習慣』でも強調されています。著者のフランクリン・R・コヴィー博士は、相手との信頼関係を銀行口座の残高にたとえて「信頼残高(信頼口座)」と呼び、信頼残高への「預け入れ」を増やすことの重要性を説いています。

信頼残高が高いと、様々なメリットが生まれます。

  • 失敗をしてしまっても、許してもらえる
  • 困ったときに助けてもらえる
  • 言葉足らずのときも意図を汲み取ってもらえる

このように、信頼残高への貯金は普段の生活にも、ビジネス面にもプラスの影響を与えます。身の回りの人たちとの関わり合いの中で信頼残高への預け入れを増やしていくことが、ストレスフリーで効果的な人生をつくる基礎になるのです。

それでは、信頼残高を増やすためにはどのようにすれば良いのでしょうか?

(関連記事)『7つの習慣』総まとめ ── 世界一の自己啓発本のエッセンスをまとめて解説!(※ 近日公開予定)

信頼残高(信頼口座)とは? ── 公的成功に繋がる「信頼」の預け入れ

コヴィー博士が説く「信頼残高(信頼口座)」とは、相手との信頼関係や安心感の強さを表すものです。信頼を積み重ねることは「預け入れ」、信頼を損ねることを「引き出し」と呼んでいます。

「信頼口座」は、一人ひとりとの人間関係にそれぞれ開設されます。もし100人の友達がいたら100個の信頼口座が、10万人のYoutube登録者がいれば10万個の信頼口座があるといった具合です。

著書『7つの習慣』では、個人の人格を磨き自立することを「私的成功」、自立した人格を持って他者と協力関係を築くこと「公的成功」と呼び、コヴィー博士は公的成功を達成できてこそ、豊かで幸せな「人生の成功」を手にすることができると説いています。

【ポイント】
ここで大切なのは、私的成功は必ず公的成功に先立つもので、逆の順番は起こり得ないということです。ひとりの「自立」した人格を手にいれ、自分の効果性を発揮できるようになってこそ「公的成功」のステージに立つことができるのです。

そして、ビジネスや人生において「公的成功」を成し遂げるためのキーが「信頼残高」の預け入れです。しかし、信頼残高はデリケートな一面を持っているので、注意が必要です。

信頼残高は増えにくいうえに減りやすい!

信頼残高の「増えにくく減りやすい」という性質には注意しなくてはなりません。充実したビジネスや人生を手に入れるためのマストアイテムである「信頼残高」ですが、普段目に見えないため、つい軽視しがちです。

ドタキャンをした人に対して不信感を抱き、「もうこの人とは、今後の予定は組みたくないなぁ」と思うのが自然な考え方なように、一度失った信頼を取り戻すには時間がかかります。

久保真介
久保真介
貯めるのは大変だけど、使うのはあっという間というのはお金と一緒ですね。引き出しのインパクトはかなり大きいのです!

また、安定した人間関係を作っていくにも、ある程度の時間と接触頻度は必要。ゆえに、信頼残高は貯まりにくく減りやすいものなのです。

顧客との「信頼残高」を増やすことがビジネスでも重要!

「信頼残高」を増やすことは、ビジネスの発展にも大いに貢献します。なぜなら、ビジネスは顧客との信頼関係を前提に成り立っているからです。

どんな種類の商品やサービスも、顧客は期待を寄せて、その対価として料金を支払います。質の良い商品やサービスの提供、感じの良い対応をしてもらうと、顧客は「また利用したいな」、「他の人にもオススメしたいな」という気持ちになるでしょう。顧客満足度の高いビジネスを提供することで、顧客に安心感と信頼を与え、「信頼残高」の預け入れをドンドン増やせます。これがビジネスの成功に繋がっていくのです。

逆にいうと、不祥事や炎上といった出来事は、「信頼残高」の引き出しにあたります。どんな大企業であっても、不祥事を起こせばその会社の株価は瞬時に下落するように、一度失った信頼を取り返すには長い時間と誠実な対応が求められるのです。

信頼残高は「相互依存のパラダイム」の基本! ── 信頼残高を増やすことの本質

コヴィー博士は、人間の成長段階は「モノの見方や考え方(=パラダイム)」をもとにして、「①依存」→「②自立」→「③相互依存」という3つのステージに分けられるとしています。(※ 参考 : パラダイムとは?

【ポイント】
「依存のパラダイム」を持っている人は主体性に乏しく、身の回りで起こった問題に対して他人や環境、あるいは過去の出来事や遺伝などのせいにしてしまう特徴があります。

このような段階から抜け出して、常に主体性を持って自分の人生に向き合うようになった段階が「自立」です。「自立のパラダイム」を持っている人は、どんなことに対しても主体的な捉え方、取り組み方をするようになり、自分の効果性を高められます。自立のパラダイムに達して初めて「私的成功」を掴めるのです。

しかしコヴィー博士は、成功にはもっと上の段階があると述べています。それこそが「公的成功」であり、「相互依存」のステージです。

【ポイント】
「相互依存のパラダイム」とは、自立した人格を持ったもの(=私的成功を果たしたもの)同士が信頼関係を構築することで「シナジー(相乗効果)」が生まれ、個人ではなし得ない大きな成果を生み出せるという考え方です。ビジネスの世界でも日常生活でも、身の回りの人たちとの間にシナジーを作り出せるようになってこそ真の成功に辿り着けるのです。

著書の中で、コヴィー博士は以下のように述べています。

“人間関係を築くときに、もっとも大切なのは、あなたが何を言うか、どう行動するかではない。あなたがどういう人間かということだ。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(Kindle版, 2013年)p.297より

この言葉からもわかる通り、「相互依存のパラダイム」を実現するために必要なのは「スキル」や「ノウハウ」といった表面的なものではありません。優れた「人格」に基づく「信頼」が土台であり、「信頼残高」を増やすことこそが本質なのです。

信頼残高がWin-Winの関係を構築し、シナジーを発揮するための土台を作り出す

両者の利益を追求するWin-Winの関係は『7つの習慣』の「第4の習慣」の主題であり、公的成功を成し遂げるためのファーストステップです。Win-Winの関係を築いたあとは、確固たる信頼関係を築くために、相手のことを心から理解することに努めます(第5の習慣)。その先には、両者の協力関係なくしては不可能な「シナジーを創り出す(第6の習慣)」という、高尚な公的成功にたどり着きます。

【ポイント】
これら第4〜6の習慣は、すべて他者との相互作用が求められるため、十分な「信頼残高」があることが前提となっています。

ぼくたちは生まれたときから一人では生きてはいません。支えあいながら生きています。そして、ビジネスでもそれは一緒です。顧客や取引先がいなければ、どんなビジネスも成り立ちません。シナジー(相互作用)の土台となる「信頼残高」は、ビジネスや人生全てにおいて非常に重要になってくるのです。

(関連記事①)『7つの習慣』徹底解説④ ──「第4の習慣 Win-Winを考える」とは?(※ 近日公開予定)

(関連記事②)『7つの習慣』徹底解説⑤ ──「第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される(理解してから理解される)」とは?(※ 近日公開予定)

(関連記事③)『7つの習慣』徹底解説⑥ ──「第6の習慣 シナジーを創り出す(相乗効果を発揮する)」とは?(※ 近日公開予定)

コヴィー博士が説く「信頼残高への預け入れを増やす6つの方法」

信頼残高が貯まると、もし失敗をしたときも日頃の行いに免じて許してもらえたり、困ったときに助けてもらえたりと、メリットがたくさんあります。コヴィー博士も、信頼残高への預け入れの利点について、以下のように述べます。

“信頼口座の貯えが多ければ、コミュニケーションは簡単に、すぐに効果的になる。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(Kindle版, 2013年)p.300より

それでは、コヴィー博士が提唱する、信頼残高の増やし方について6つの方法をご紹介します。一見簡単そうに見えますが意外とできていないものも多く、ドキッとする方もいるかもしれません。

① 相手を理解する

まずは、「相手を理解する」です。これは、最も基本的かつ重要な預け入れで、コヴィー博士も「すべての預け入れの鍵となる」と断言しています。

【ポイント】
ひとり一人に個性があるように、個人によって何が預け入れになるのかが変わってきます。言い換えると、相手によって大切に思っていることが違うため、その違いを受け入れることが相手を理解するということです。

しかし実際には、本当の意味で「相手を理解する」ことができている人は多くありません。多くの人は相手目線ではなく自分が築き上げてきた過去の経験や価値観をベースに物事を捉え、意見してしまうからです。

「あなたのためを思って言っているのよ」というような態度は、価値観の押し付けに過ぎず、むしろ信頼残高を減らすという逆効果になってしまいます。

まずは相手の興味があることに関して、関心を示してみましょう。相手が「この人は自分に興味を持ってくれている」と思えば、信頼感はグッと高まります。しかも、自分自身にとっても新しい価値観に触れ人間味を深める機会となるので、「相手を理解する」ということを前向きにとらえて実践してみましょう。

(関連記事②)『7つの習慣』徹底解説⑤ ──「第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される(理解してから理解される)」とは?(※ 近日公開予定)

② 小さなことを気遣う

ちょっとした気配りや親切は、毎日の何気ない場面においてこそ大切にしたいものです。小さな気遣いの積み重ねは信頼口座を大きくする一方で、ほんの少しの無礼や無神経も、一瞬で信頼残高を引き出します。

それでは、信頼残高を増やす行動と、NG行動について紹介します!

やはり人は自分のために時間やお金を使ってくれているとわかると、その人のことが好きになるものです。これらの小さな気遣いは、「あなたのことを大切に思っている」というメッセージで、信頼残高を増やすことにつながります。

コヴィー博士は、ハッとする言葉を残しています。

“人の内面は脆く傷つきやすい。どんなに年齢や経験を重ねても同じだと思う。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(Kindle版, 2013年)p.308より

どんなに立派で優秀な人でも心無い行為には傷つくということは、言い換えれば人は誰でも誰かを傷つける可能性があるということです。コヴィー先生の言葉を胸に刻み、自分の行動が不信感を抱かせるものになっていないかも、今一度振り返ってみましょう。

③ 約束を守る

ビジネスの基本でもある「約束を守る」というのも、信頼残高を増やすことに貢献します。約束の時間を守る人と遅刻してくる人がいたら、どちらの方が信頼できるかというのは明確ですよね?

【ポイント】
決められた約束を守るために努力するのはもちろんですが、守れない約束はしないということも大切になってきます。仕事でもプライベートでも、約束をする時点で相手はある程度期待をしているので、その約束が破られたときには信頼残高はグッと目減りします。不確定なことに対しては最初から約束をしないためにも、自分のキャパシティや予定をしっかり把握しておく自己管理能力も求められてくるのです。

また、約束を守るというのは他人だけとは限りません。自分との約束を守ることも、長期的に信頼口座の預け入れに繋がります。ジムに通うことや英語の勉強など、何でも良いのです。自分自身をコントロールできているということは自信を生み、魅力的な人間へと成長させます。そして、そのような人は周囲から信頼と安心感を覚えてもらいやすく、結果として信頼残高の預け入れを増やしていくのです。

④ 期待を明確にする

期待を明確にするということは、相手に「何をしてほしいのか」ということをしっかり言葉で伝えることです。

たとえば新しいプロジェクトに取り掛かるとき、きちんと役割分担をせず作業を進めてしまい、いざ合わせてみると、相手の持ってきた結果が自分の期待を下回っていてがっかりしてしまったという経験に身に覚えがある方も多いのではないでしょうか?

このような不調和は、信頼残高を引き出してしまうことに加えて、雰囲気の悪化や余計な作業の追加など、仕事の生産性を落としてしまいます。

自分がやってほしいことを伝えるのはおこがましいと思う人もいるかもしれませんが、仕事や人間関係を円滑に進めていくため、ときにはハッキリと意見を言う勇気も必要になってくるのです。

⑤ 誠実さを示す

誠実な人が信頼されるというのはわかりきっていることですが、誠実とはどういうことだと尋ねられたときに答えられますか? コヴィー博士は「誠実さ」について、以下のように述べています。

“誠実さとは、自分の言葉に現実を合わせることである。誠実であるためには、裏表のない統一された人格がなくてはならない。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(Kindle版, 2013年)p.312より

つまり、誠実な人とは、言動が一致して、誰に対しても同じ態度で接することができる人です。たとえ、相手の理解に努め約束を守ったとしても、言っていることとやっていることが違ったり、人によって態度を変えたりする人を信頼するのは難しいものです。

特に、他人の悪口は言語道断。本人のいないところで陰口を言うことは、不誠実なのはもちろん、陰口を聞いている人も「この人は裏で自分の悪口も言っているかもしれない」という不信感を抱いてしまいます。陰口は信頼残高を減らしてしまう行動ですので、くれぐれも注意しましょう。

久保真介
久保真介
逆に、本人がいない場所でその人を褒めることはOKです! その場に居合わせた人たちにも、誠実だという印象を与え、信頼感が増します。

⑥ 引き出してしまったときには心から謝る

人間なので、誰でも失敗することはあります。信頼残高を引き出すような行動をしてしまったときは、すぐに心から謝罪をしましょう。言い訳をせずに、自分の過ちを認め、誠心誠意謝る姿勢を取ることは、逆に信頼の預け入れにもなります。

実は、ほとんどの失敗というのは経験不足や注意力散漫による判断ミスであり、誠実な態度を持って謝れば許してもらえるものです。失敗してしまったときには、無駄なプライドは捨てて、潔く謝る勇気を持ちましょう。

また、他人のミスを許せる人になりたいものです。寛容で人情味溢れる人柄をもって、ミスをした相手に接することで、結果として信頼関係を強めます。

一方で、不純な理由や傲慢さから生まれたミスは、簡単には許してもらえないということも覚えておきましょう。信頼残高不足を招き、関係の遮断も起こしかねないので、誠実な人でいられるように人格を磨く努力も重要です。

【まとめ】信頼残高は人生の成功を掴むためには欠かせない大切なパラダイム

相手との信頼関係の強さを表した「信頼残高(信頼口座)」は、ビジネスや人生の成功の鍵を握る重要な考え方です。なぜなら、ぼくたちは他者との相互作用のパラダイムを持たずして、生活することはできないからです。

仕事なら顧客や仕事仲間、プライベートなら家族や友人というように、どんなことも誰かの存在なしには成り立ちません。だからこそ、他者と良好な人間関係を築き、スムーズなコミュニケーションを取るための「信頼残高」の預け入れが、仕事や人生の質を左右してきます

しかし、信頼残高は目に見えず、ひとり一人の人間関係によっても変わってきます。さらに、信頼残高はすぐには貯まらないうえに、一回の引き出しのインパクトが大きいです。だからこそ、地道かつ丁寧に信頼を積み上げていく努力が求められるのです

信頼残高の預け入れを増やす方法は、「約束を守る」や「小さな気遣い」といった基本的なものばかり。だからこそ、その人自身の人格が明確に影響します。『7つの習慣』では、優れた人格を持ちながら成功をおさめるプロセスについて詳しく解説されていますので、ぜひ手に取って読んでみてください。そして、信頼残高の預け入れを増やし、充実した人生を送っていきましょう!

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【参考資料】

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