ありとあらゆる商品・サービスが溢れる現代のビジネスシーンにおいて、競合に打ち勝ち一定の市場シェアを掴むためには、特徴的な強みやメリットを打ち出すことが欠かせません。そんな、他社との差別化ポイントになるユニークな価値提案のことを、マーケティング業界・広告業界では「USP(Unique Selling Proposition ; ユニーク・セリング・プロポジション)」といいます。
商品・サービスに魅力的なUSPを持たせ、USPを軸に据えた一貫したメッセージを発信すれば、顧客の頭の中に特別なポジションを築いて競合他社を引き離すことができるでしょう。USPは、マーケティングのあらゆる戦略・施策の中心に据えるべき重要なものなのです。
最大手美容室チェーンで売上.指名共に1位を獲得し独立するものの猛烈な赤字でスタート。マーケティングを学び駆使した後、圧倒的な黒字化の仕組みを構築。サロン経営者にコンテンツセールスやコンサルをスタート。3年で複業月収8桁を達成。600名以上が登録する無料オンラインサロン(MAKE TIME)や、”ロイヤル顧客リピートで満席の仕組み”を構築できる実践型のオンラインサロンを運営。コンサルタントとして50件以上のサロンを年商800万~3000万以上UPさせた実績を持つ。現在ではサロンのロイヤルリピート経営の仕組み化や、複業のサポートコンサルを継続中。
USP(Unique Selling Proposition)とは「自社ならではの独自価値の提案」
USP(Unique Selling Proposition)とは、簡単に言えば「自社の商品やサービスの持つ独自の強み」のことです。アメリカでTV広告業界のパイオニアとして知られるコピーライター、ロッサー・リーブス氏が提唱しました。USPは単なる強みではなく、競合よりも優れたメリットを提供することを顧客に約束する、自社独自の差別化ポイントを意味します。顧客のニーズに合致した、他社にはないオリジナルな価値提案をすることで、競合を引き離して独自のポジションを築くことができるのです!
USPとは「お客様へのメッセージ」
USPは「他社に出来ない独自のポイント」ではありますが、決して「社内で共有して終わり」ではありません。USPとは、独自の強みを強調して打ち出した「顧客へのメッセージ」なのです!
USPのPはPropositionの頭文字で、「提案、提議」といった意味があります。顧客が商品やサービスを必要としたときに、あなたの会社を思い浮かべるようなUSPを作り出し、すべての活動で繰り返し伝えていく必要があります。営業、接客、広告コピー、パンフレット、カスタマーサービスといった顧客に関わるすべての行動に落とし込むことが重要です。
USPとキャッチコピーやコンセプトの違い
USPとキャッチコピー、そしてコンセプトの違いはなんでしょうか。一見似ていますが、それぞれ目的が異なります。
USP | 自社だけの独自の強みを伝えること。競合他社にはない自社独自の売りとなる強みを伝えるために使われる | 例:ドミノピザ「あつあつで美味しいピザをあなたのお宅に30分以内にお届けします。間に合わなければ、代金は決していただきません」 |
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キャッチコピー | 顧客の興味、関心をかき立てるための短い文章。主に商品やサービスの告知や宣伝に用いられ、顧客を惹きつけることを目的とする | 例:タワーレコード「NO MUSIC NO LIFE」 |
コンセプト | 自社として打ち出したい価値や提案。会社が打ち出したい本当の価値、すなわち「何を売りにしているのか」を表現する | 例:スターバックス「サードプレイス(第三の場所)」 |
キャッチコピーやコンセプトは、USPをもとにして考えるとより良いものになります。他社にはないユニークな強みを中心に据えたコンセプトをつくり、それをわかりやすく端的な言葉に落とし込み、キャッチコピーにするのです。そうすることで、顧客は商品のUSPを理解し、特別な商品として脳内にインプットするのです。
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リーブスが示す「USPの3つの基準」
USPを提唱したロッサー・リーブスは、USPがUSPであるための「3つの基準」として、次の3か条を示しています。
- 顧客に対して何かを提案すること
- 競合が提案していないものであること
- その提案は多くの人を動かす力があること
一つひとつ説明していきます。
① 顧客に対して何かを提案すること
前述の通り、USPは企業独自の強みを顧客に対して「提案」するものです。明確に、具体的に、強みが何であるかを示している必要があります。例えば、お菓子のメーカーであるロッテのキャッチコピーは「お口の恋人」ですが、顧客はこのフレーズからは「他社にはないメリットは何か」は伝わりません。広告の中では、自社ならではの独自の強み、つまりUSPを「提案」するものであるべきなのです。
② 競合が提案していないものであること
競合他社が既に掲げている価値は、USPにはなりません。それでは顧客がその会社を選ぶ理由になりえないのです。USPを設定する際は、競合がどのようなUSPを打ち出しているかを調べて、他社にはない独自の価値を提案する必要があります。
③ その提案は多くの人を動かす力があること
他社が打ち出していない明確な価値の提案であっても、それが顧客にとって魅力的でなければUSPとは言えません。顧客が何を求めているのか、どのような点で困っているのかを理解し、数値や事例、エピソードを含めるなど、多くの人の心を動かしてその会社を選ばせるような提案こそがUSPなのです。
どんなものがUSPになり得るの? 成功事例から学ぶ効果的なUSP
優れたUSPを作り出して打ち出すことで成功した企業は数多くあります。過去の成功事例を知ることは、USPを設定する際によい参考になります。いくつか事例を見ていきましょう。
Apple(iPod)の事例
AppleがiPodを発売した当時、すでにSonyのウォークマンなど、競合他社から音楽プレーヤーが発売されていました。そのような競争の激しい市場環境で、Appleは他社よりも圧倒的に小型かつ大容量なiPodを生み出し、「ポケットに1,000曲のミュージックライブラリを」というわかりやすいメッセージUSPを打ち出しました。その結果、iPodは年間5,000万台以上を売り上げる爆発的ヒットとなったのです。
ニトリの事例
ニトリといえば、お手頃な値段で質の良い家具が揃うイメージがあるのではないでしょうか。ニトリのUSPは「お、ねだん以上の価値を」です。テレビCMでも「お、ねだん以上」というフレーズは耳にしたことでしょう。費用対効果の高さを明確に提案する、よいUSPであると言えます。
ダイソンの事例
ダイソンといえば掃除機が有名ですよね。ダイソンのUSPは「吸引力の変わらないただ一つの掃除機」。みなさんもテレビCMなどで耳にしたことがあるでしょう。当時の顧客は、掃除機の経時的な吸引力の低下に悩んでいました。ダイソンはその課題に着目し吸引力の持続力を価値として提示したことで、消費者の心を掴み、大ヒットを作り出しました。
稲葉製作所の事例
稲葉製作所のイナバ物置のキャッチコピーはUSPは「100人乗っても大丈夫」です。実際に物置の上にたくさんの人が乗りこのUSPを唱えるCMは、一度は見たことがあるはずです。「100」という数字を使い物置の頑丈さという価値を提案したこのUSPは、消費者に広く浸透し稲葉製作所を成功に導きました。
コスモ石油の事例
コスモ石油のUSPは「ココロも満タンに」です。テレビCMで放送されており、メロディを口ずさめる人も多いのではないでしょうか。ガソリンの品質には言及せず、顧客の心理的満足度に焦点を絞ったこのUSPは、コスモ石油を支えてきました。
USPってなぜ必要なの? マーケティングでUSPが重要な理由
広告等でUSPを明確に打ち出すことで、その製品やサービスを競合から際立たせることができます。前述のダイソンの例では、従来の掃除機の2倍近い価格設定だったにもかかわらず、驚異的な売上を叩き出しました。
USPがない商品は他社を真似るだけの特徴のない商品であり、ユニークな点や目立つポイントがなく、顧客も買う理由が見つかりません。顧客から購入を検討され、選んでもらうためには、顧客にとって魅力的な提案が必要なのです。
魅力的なUSPを見つけるには? 考慮すべき4つのポイント!
以上の通り、市場の中で特別なポジションを築き、お客様に選んでもらえる商品とするためには、魅力的なUSPが欠かせません。それでは、いざUSPを設定するには、何に気をつけたらよいのでしょうか。ポイントは以下の5つです。
- 独自性があって他社が簡単に真似できない強みを訴求する
- ターゲットを明確にする
- ターゲットのニーズを正しく掴む
- 顧客の価値(バリュー)に目を向ける
- ペルソナを明確にして、USPの有効性を検証する
上から順に説明していきます。
【ポイント①】独自性があって他社が簡単に真似できない強みを訴求する
USPとは、競合他社が真似することができない、独自の価値のことです。顧客にとって重要なポイントであっても、他社がこぞって提案しているメリットはUSPにはなりません。競合が行っておらず、自社が行っていることはないか、考えてみましょう。競合がおこなっていることでも、それをどうすれば改善できるか考えることで、USPのアイデアにつながることもあります。また、自社が持っている強みをうまく生かして、他社に模倣されにくいUSPを考え出すことも大切です。
【ポイント②】ターゲットを明確にする
USPを設定する際には、製品やサービスのターゲットを明確にする必要があります。USPは自社ならではの強みを顧客へ伝える「メッセージ」です。メッセージが強く刺さる顧客層を見極め、ターゲットに最適化したUSPを作り出すことが大切です。どのセグメントをターゲットとして設定するのか、注意深く検討しましょう。
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【ポイント③】ターゲットのニーズを正しく掴む
ターゲットとする顧客を明確にしたら、次はそのターゲットのニーズを注意深く見極めます。競合他社の製品、サービスで満たされていないニーズは何かを探りましょう。ニーズの代表的な例としては、以下のようなものがあります。
- 幅広い品揃え
- 丁寧なアドバイスやサポート
- 利便性(迅速な対応、在庫切れがない)
- 最高級の品質
- 高い費用対効果
複数のニッチを組み合わせてUSPを作り出すことも検討しましょう。
【ポイント④】顧客の価値(バリュー)に目を向ける
その商品を導入する際の「価値(バリュー)」や得られる「ベネフィット」を考えることも大切です。顧客は支払う価値(金銭)よりも得られる価値が大きいと感じなければ、その商品を購入しません。どんなに魅力的な商品でも、お金を払ってでも買いたいと思ってもらうには、購入に値するだけの価値を感じてもらわなければならないのです。顧客が何を期待しているのかをよく検討しましょう。
【ポイント⑤】ペルソナを明確にして、USPの有効性を検証する
ペルソナとは、ターゲットとなる顧客としてイメージされる「典型的な顧客像」のことをいいます。アンケート調査の結果など、「根拠」に基づいて作成されるべきです。ターゲットとするセグメントとは違い、ペルソナは「年齢、年収、ライフスタイル、キャリア、価値観、趣味」などを具体的に設計します。具体的にイメージしやすいように、名前もつけると良いでしょう。明確化したペルソナをもとに、作成したUSPが本当に有効であるかを検証するのがポイントです。
USP発見にはマーケティングリサーチが重要!活用したいフレームワーク3選
顧客のニーズを的確に満たす魅力的なUSPを発見するには、まずは市場や顧客のことを知らなければなりません。そのためには、環境分析やマーケティングリサーチを適切に行うことが重要になります。ここで、USPを作成する際にも役立つ、マーケティングリサーチにおいて重要なフレームワークを3つご紹介します。
① 3C分析
3C分析とは、「市場・顧客 : Customer / Consumer」「競合 : Competitor」「自社 : Company」の3つの視点から、市場を漏れなく分析することです。勝てる戦略のカギを見つけ出し、それらをマーケティング戦略の立案に繋いでいくことが3C分析の役割です。ターゲットとなる顧客のニーズや、自社・他社の強みを理解するために、まさに必要になるフレームワークと言えるでしょう。
【まとめ】3C分析とは?マーケティングの基本となるフレームワークを理解しよう!
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② Points of X分析(POD分析)
「POD」とは「Point of Difference(ポイント・オブ・ディファレンス)」の略で、他社製品との「差別化ポイント」を意味します。USPは他社に無い独自の価値の提案であり、明確に他社との差別化を図ることが重要です。PODは差別化戦略を理解するうえで、必ず押さえておきたいキーワードです。
③ SWOT分析
SWOT分析(スウォット分析)とは、自社や市場の現状を『強み・弱み・機会・脅威』の4要素から把握・分析して、自社が優位に立てるポジションや見直すべき事業についてなどを検討するフレームワークです。特に、強み × 機会(SO分析)で浮かんでくる要素が、USPとして検討されるべきポイントとなり得るでしょう。
【まとめ】USPは自社ならではの、顧客へのメッセージ!
USPとは「Unique Selling Proposition(ユニーク・セリング・プロポジション)」の略で、他社にはない「売りとなる独自の強み」のことです。アメリカのロッサー・リーブスが提唱しました。顧客の頭に特別なポジションを築き、他社を凌駕する成功を収めるためには、効果的なUSPを設定することが重要です。
USPは、独自性があるだけではなく、顧客に対して明確で具体的な「提案」をしていることや、その提案が多くの人を動かす魅力を備えているものである必要があります。また、他社商品とは明確に違った点を強調することも大切です。
USPを生み出すためには、他社が簡単に真似できない強みを訴求すること、ターゲットが持つニーズを把握すること、顧客の価値(バリュー)を意識することなどが重要です。また、優れたUSPを提唱して成功した事例を参考にすることも、USPを定める際に役立ちます。
今回解説したUSPをはじめとするマーケティングにおけるキーワードやビジネスフレームワークを理解し使いこなせるようになれば、ビジネスの収益性改善や会社での業績アップに非常に役立ちます。
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【参考資料】
- ロッサー・リーブス 著, 近藤隆文 訳, 加藤洋一 監訳『USP ユニーク・セリング・プロポジション 売上に直結させる絶対不変の法則』(海と月社, 2012年)
- ジェイ・エイブラハム 著, 小山竜央 監修『新訳 ハイパワー・マーケティング あなたのビジネスを加速させる「力」の見つけ方』(KADOKAWA, 2017年)
- ケビン・レーン・ケラー 著, 恩藏直人 訳『エッセンシャル 戦略的ブランド・マネジメント 第4版』(東急エージェンシー, 2015年)
- 大前研一 著『StrategicMind 2014年新装版(Kenichi Ohmae business strategist series)(Japanese Edition)』(good.book, 2014年)
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