フランクリン・R・コヴィー博士の世界一売れたビジネス書『7つの習慣』徹底解説、ここからはちょうど折り返し地点の第4回です。
第1〜3の習慣では個人としての人格と能力を磨くことにフォーカスしていましたが、第4の習慣からは他者とかかわり合いながら成功を目指す「公的成功」のステージに突入します。
僕たちは生まれた瞬間から、誰かに支えられて生きています。この人間社会で生きている限り、ひとりでは生きていけません。よって、両者にとっての利益を追求するWin-Winの関係を目指すのは、良質な人間関係の構築を助け、充実した人生を送るために必要不可欠なのです。
それでは、第4の習慣「Win-Winを考える」を読み解いていきます!
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第4の習慣「Win-Winを考える」とは?
第4の習慣「Win-Winを考える」とは、「人間関係において、両者の利益を追求しようと努力する姿勢と行動」です。わかりやすく言うと、「お互いにハッピー」な関係づくりを目指そうといったところです。
【ポイント】第4の習慣は、第1〜3の習慣を身につけて「私的成功」を成し遂げ、自立した人格を手にすることが前提条件となっています。
第4の習慣からは、他者と協力をしながら成功を目指していく「公的成功」のステージです。ここでは、自立した個人同士が協力することでひとりでは達成できない大きな結果を生み出す「相互依存」の関係を築くことを目的としています。
この「相互依存」こそが真の成功を掴むために必要不可欠な考え方であり、相互依存のパラダイムを身につけるためには、まず個人としての「自立」「私的成功」が欠かせないのです。
コヴィー博士は、以下のように語ります。
“自立から相互依存の領域に足を踏み入れた瞬間に、リーダーシップの役割を引き受けたことになる。効果的な人間関係におけるリーダーシップの習慣は、「Win-Winを考える」である。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(Kindle版, 2013年)p329.より
この世の中は、人とのかかわり無しでは成立しません。思い出してみてください。普段の生活において、家族、友人、職場の人々とコミュニケーションを取りながら生活していますよね?そう、この世界の本質は、相互依存的なのです。
誰かと人間関係を築きながら生活を成り立たせている限り、誰でも必ずリーダーシップの役割を持っています。そして、正しくリーダーシップを発揮して、人間関係を豊かにするための秘訣が、第4の習慣「Win-Winを考える」であるとコヴィー博士は語ります。
それでは、人生の成功を左右すると言っても過言ではない「Win-Win」について詳しく解説していきます。
Win-Winとは? ── 人間関係の6つのパラダイム
Win-Winとは、自分と相手がともに「勝つ」、つまり、両者にとって良い結果をもたらす人間関係です。自分も相手も犠牲にすることなく、成功を達成できるという考え方とも言えます。
コヴィー博士は、Win-Win以外にもさまざまな人間関係があると述べています。
- Win-Win : 自分も勝ち、相手も勝つ
- Win-Lose : 自分が勝ち、相手は負ける
- Lose-Win : 自分が負けて、相手が勝つ
- Lose-Lose : 自分も負けて、相手も負ける
- Win : 自分が勝つ
- Win-Win or No Deal : 自分も勝ち相手も勝つ、それが無理ながら取引しないことに同意する
コヴィー博士は、Win-Winのパラダイムについて以下のように説明しています。
“Win-Winのパラダイムは、人生を競争の場ではなく協力の場ととらえる。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(Kindle版, 2013年)p329.より
物心ついたときから、僕たちは競争する場面を強いられてきました。足の早さで運動会の順位が決まり、勉強ができるかで成績が決まります。それゆえ、どうしても物事を勝つか負けるかで判断してしまいがちですが、成功する人生を送るためには、誰かを犠牲にするのではなく全員が勝者になれると考えるWin-Winの考え方が必要なのです。
さらに、Win-Winとは「第3の案の存在を信じることでもある」ともコヴィー博士は述べています。Win-Winとは、両者にとって良い成果を生み出すために「もっとよい方法を創り出す」という、レベルの高い方法なのです。
Win-Win以外の関係性では「相互依存の関係」を作れない!
相互依存の現実社会において、お互いに満足した結果を生み出すWin-Winの関係性を築けるように努力することが最適解と言えます。なぜなら、Win-Win以外の関係性では、長い目で見たときに誰も幸せになれないからです。
たとえば、ビジネスシーンでの取引先との交渉の場で、あなたにとっては都合の良い結果であったが、相手にとっては不利益だったWin-Loseの関係性があったとしましょう。
あなたは好都合の交渉ができて、一時的には満足するでしょう。しかし、相手先は不都合を被っているため、良い気分ではありませんし、もしかしたら次回からは取引をしてくれないかもしれません。そうなると、あなたは大切なビジネスパートナーを失うことになるのです。
そうなると、また一から新しい取引先を探すという、膨大な時間と労力がかかってしまいます。新規顧客の獲得には既存顧客の維持の4倍ほどの費用がかかるとも言われていることからもわかる通り、長続きしないWin-Loseの取引で勝利を収めることは、長期的に見れば利益率の低い選択肢なのです。
このように、目先の利益だけを追及して、Win-Winではない関係性を選択してしまったばかりに、結局両者にとって不幸な結果を招くということはよく起こります。だからと言って、すべての場面でWin-Winを実現できるほど、世の中はシンプルではありません。では、Win-Winの実現が難しいケースに出くわしたときに、どうしたら良いのでしょうか?
Win-Winにできないのなら「No」を言う ── Win-Win or No Dealのパラダイム
お互いに満足するWin-Winの関係性を構築するのが困難な場面では、取引をしない「No Deal」という選択肢も残っています。No DealはWin-Winをさらに一歩進めたパラダイムと呼ばれています。
【ポイント】No Dealとは、両者にとってハッピーな結果が見込めないため、お互いの立場や意見の違いを認めたうえで、あえて取引をしないという考え方です。わかりやすく言えば、「今回の話はなかったことに」ということです。
コヴィー博士は、No Deal(取引をしない)は多くのメリットがあると語っています。
“No Dealを選択肢の一つとして持っていれば、余裕を持つことができる。相手を操ったり、こちらの思惑どおりに話を進めたりする必要はないのだし、何がなんでも目的を達成しなければならないと必死にならずともすむ。心を開いて話せるし、感情の裏に潜む根本的な問題をわかろうとする余裕も生まれる。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(Kindle版, 2013年)p342.より
Win-Winの関係を築けない場合、どちらかは我慢をしたり不服に感じていたりしています。そのような関係性は健全とは言えませんし、ネガティブな感情も抱きやすくなります。さらに、相手のイライラは感じやすく、今後の関係性にも悪影響を与え、誰も得することありません。
Win-Winが達成できない場合、No Deal(取引しない)という選択肢を取るために、ときには「No」という勇気も必要なのです。
Win-Winの関係を作るにはどうすればよい?
コヴィー博士は、第4の習慣「Win-Winを考える」を習得するポイントは「リーダーシップ」だと断言しています。
“「Win-Winを考える」は、人間関係におけるリーダーシップの習慣である。人間だけに授けられた四つの能力(自覚・想像・良心・意志)すべて発揮して、お互いに学び合い、お互いに影響し合い、お互いに得るところのある人間関係を育てていくための習慣である。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(Kindle版, 2013年)p346.より
さらに、コヴィー博士は続けます。
“お互いのためになる関係を築くには、大きな思いやりと勇気が必要である。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(Kindle版, 2013年)p346.より
第4の習慣は、他者と協力して相乗効果的な成果を生み出す「相互依存的な関係」を目指す、公的成功のステージです。相互依存の前提条件が、自立した個人であるため、人間として成熟した人格と主体性を兼ねそろえたリーダーシップを身につける必要があるのです!
自立した個人としての「リーダーシップ」が大切 ── 人間関係におけるリーダーシップの原則
Win-Winの関係性を構築するのに必要なリーダーシップについて、コヴィー博士は以下のように語ります。
“人間関係でリーダーシップを発揮するには、ビジョンと主体的な率先力、そして原則中心の主体的な生き方から得られる四つの要素(安定・指針・知恵・力)が必要である。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(Kindle版, 2013年)p346.より
4つの要素とは、第1, 第2の習慣を通して身につけた以下の能力のことです。
- 安定:自分自身の存在価値、アイデンティティ、自尊心
- 指針:意思決定、行動基準
- 知恵:知力、人生観
- 力:行動力、潜在能力、決断力
これら4つの要素は、自分自身を正しい方向へと導く「パーソナル・リーダーシップ(≒自己管理)」の力であると同時に、良好な人間関係を作り出す力にもなります。このような能力・人格を磨いていくことがWin-Winの関係を作る基礎になるのです。
Win-WInの土台となる3つの「人格」── 誠実・成熟・豊かさマインド
『7つの習慣』は、スキルやテクニックといった個性主義でなく、「人格」に重きをおいた人格主義を訴えています(→詳細 : 人格主義とは?)。そして、Win-Winを実際の人間関係のなかで実現しようとしたときも、磨き上げられた「人格」が求められます。
コヴィー博士は、Win-Winを実現するためには以下の5段階のステップを踏むことが必要だと述べています。
- 人格
- 人間関係
- 協定
- システム
- プロセス
それでは、すべての基礎となる「人格」を磨くためにはどうすればいいのでしょうか? コヴィー博士は、「① 誠実」「② 成熟」「③ 豊かさマインド」という3つのポイントを指摘します。
➀誠実
誠実さとは「自分自身に価値を置くこと」だと、本書の中で定義されています。価値観を明確にすることで、どんな状況でも周囲に影響されるのではなく、自分の価値観にしたがって判断をしたり行動したりできるようになります。
また、誠実には「約束を守る」という意味もあります。これは他人だけではなく、自分との約束にもあてはまります。自分との約束を守れない人が、他人との約束を守ることはできません。
日頃から他人、あるいは自分自身と約束をして、それを守ることは誠実さを鍛える良い訓練になります。小さなことでもいいので「約束を守る」ことを積み重ね、誠実さを磨いていきましょう。
➁成熟
成熟とは、「勇気」と「思いやり」のバランスがとれていることです。
他者とコミュニケーションを取っているとき、ただ何でもかんでも相手の意見を受け入れている「優しさ」を前面に出し過ぎても、Win-Winの結果には到達できません。相手の立場を思いやる優しさも大切ですが、ときには自分の意見を自信をもって述べなくては、結局Win-Lose(自分が我慢して相手が勝つ)という結果に終わってしまいます。かといって、自分の主張ばかりを強く出し過ぎてしまえば思いやりのない人になってしまい、Win-Lose(自分が勝って相手が負ける)という結果に終わってしまいます。
Win-Winを築き上げるためには、「勇気」を持って真の「思いやり」を考えられるだけの成熟した人格が大切なのです。
③豊かさマインド
豊かさマインドとは、この世にはすべての人に行き渡るだけのものがたっぷりあるという考え方です。反対語は、「欠乏マインド」であり、この世にはすべての人にいきわたるだけの十分なものがないという考え方です。
欠乏マインドを持っていると、他人の成功を喜ぶことができず、Win-Winの結果にもたどり着けません。なぜなら、欠乏マインドは「他人の成功 = 自分の負け」だと思ってしまう、Win-Loseのパラダイムだからです。
この世の中では、どうしても欠乏マインドを抱きやすい競争的な場面が存在します。しかし、真の成功者と呼ばれる人たちは、全員「豊かさマインド」を持っていて、彼らにはWin-Winを考える姿勢が備わっています。
人格の土台の上に「信頼」を築く ── 信頼口座に預け入れをする
誠実・成熟・豊かさマインドを土台とした人格のうえに、さらに「信頼」を積み重ねることができれば、強固なWin-Winの関係を築くことにつながります。
【ポイント】『7つの習慣』では、他人からの信頼度合いを銀行口座の残高に例えて「信頼残高」と呼び、信頼を得る行為を「預け入れ」、信頼を損なう行為を「引き出し」としています。
信頼残高の預け入れを増やすことは人間関係を良好にし、コミュニケーションをスムーズなものにし、Win-Winの関係を構築するために必要不可欠な要素です。(→詳細 : 信頼残高とは?)
ただ注意しておかなくていけないのが、信頼残高は減りやすく増えにくいという特徴を持っていることです。信頼残高は普段の何気ない気遣いや行動が積み重なって少しづつ貯まっていきますが、ふとしたきっかけで一瞬で目減りしてしまうものでもあります。
そのような性質も踏まえると、やはり磨きあげられた人格なくして他人の信頼を得ることは難しく、Win-Winの関係を築くためには、日々人格を高める努力をする姿勢が求められます。
Win-WInの関係には「協定」や「システム」も必要 ── お互いの望むことや評価基準、やり方などを示し合わせる
日頃から信頼残高を貯めて、安心感のある人間関係を築けたとしても、そこで終わりではありません。相手と望む結果や結果の評価方法などといった共通認識を明確に決めておかなければ、Win-Winの関係は脆く崩れやすくなってしまいます。
- 望む結果(期限とゴール)
- ガイドライン(望む結果の基準)
- リソース(結果を達成するための資源)
- アカウンタビリティ(結果を評価する基準)
- 評価の結果(達成度合い)
協定を作ることで、曖昧さを回避できます。クリアな評価基準をもつことで、人間関係をフラットなものにし、不信感なく付き合え、信頼残高も貯まりやすいという好循環を生み出し、結果として、Win-Winの関係を築けます。そして、この設定した協定やシステムもWin-Winの原則に基づいているのかどうかもしっかり確認しておきましょう。
【まとめ】「Win-Win or No Deal」の姿勢で相互依存の関係性を築いていこう!
今回はフランクリン・R・コヴィー博士の世界的ベストセラー『7つの習慣』から、第4の習慣「Win-Winを考える」を徹底解説しました。
「Win-Win」とは両者が満足して利益を得られる関係性であり、他者と協力なくては生活できない相互依存的な現代社会にとっては、Win-Winのパラダイムを持つことが必要不可欠です。とはいっても、すべての場面で両者が納得できる結果にならない場合もあります。そんなときは、「No」と言ってあえて何もしない「No Deal」の選択肢を持つことで、長期的に良好な人間関係の構築に貢献します。
「Win-Win or No Deal」とは、自分のなかでしっかりとした価値観を守りながらも、他者への思いやりを忘れないという、レベルの高い生き方です。Win-Winを考える土台には、磨かれた人格が求められます。個人の人格形成には『7つの習慣』の第1〜3の習慣が大きく影響するので、それらを実践していきながら、成功した人生への一歩を踏み出しましょう!
【参考資料】
- スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(キングベアー出版, 2013年 ※原著1996年)
- スティーブン・R・コヴィー 著『7つの習慣 成功には原則があった!』(キングベアー出版, 1996年)
- 中田敦彦のYouTube大学「【7つの習慣③】大切な事を優先する」
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