SWOT分析(スウォット分析)とは何か、概要を簡単にまとめると「自社や市場の現状を『強み・弱み・機会・脅威』の4要素から把握・分析して、事業戦略の立案に活かすフレームワーク」です。市場のニーズや競合の動向などから導き出した「機会・脅威」を、自社の「強み・弱み」と照らし合わせて「クロス分析(クロスSWOT分析)」することで、自社が優位に立てるポジションや見直すべき事業についてなどを検討していきます。
SWOT分析の大きな特徴として、次の3点が挙げられます。
- 中小企業やスタートアップ、フリーランスなどの小規模事業者の戦略策定に使いやすい
- 会社での業績アップや転職活動など、ビジネスパーソン個人の活動への応用にも向いている
- 理論がシンプルでわかりやすく、スピーディーな戦略立案ができる
ただし、SWOT分析には「理論がシンプル過ぎる故に、きちんと理解していないとうまく使いこなせない」などの注意点もあります。今回は、そんなSWOT分析についての基本や重要ポイントを端的にまとめていきます。
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【わかりやすく簡単に】SWOT分析とは何か? ── SWOT分析の基本
SWOT分析は戦略立案の議論をわかりやすく整理するために広く用いられている手法で、1965年にハーバード大学のケネス・R・アンドルーズらがその元となる理論を提唱したと言われています。以下の4要素の頭文字から「SWOT」と名付けられています。
- Strength(強み)
- Weakness(弱み)
- Opportunity(機会)
- Threat(脅威)
日本では昔から非常に有名で、中小企業を中心によく用いられているビジネス・フレームワークです。
SWOT分析の目的は「事業戦略やアクションプラン、戦略目標を導出する」こと!
SWOT分析を行う主な目的は「事業戦略」の立案・策定です。さらに、そこから具体的な「戦術」や「アクションプラン」に落とし込み、立てた戦略を実行したときにどれくらいの売上アップ・利益アップが見込めるのか見積もります。
SWOT分析は「別の手法で立案した戦略の評価ツール」としても活用できる
SWOT分析の別の使い方として、「別の手法で立案した戦略の評価ツール」としての活用もおすすめです。「5フォース分析」や「STP分析」などを使って戦略立案し、その有効性をSWOT分析で確かめるのです。
なお、他にもSWOT分析は「個人の自己分析フレームワーク」として使うなど、さまざまに応用することができます。詳しくは、以下の記事をご覧ください^^!
SWOT分析のマトリックス
さて、具体的なSWOT分析の手法・やり方の解説に入っていきます。
SWOT分析では、強み・弱み・機会・脅威の4要素を「① 内部要因と外部要因」「② プラス要因とマイナス要因」の2軸で分類し、以下のようなマトリックスをつくります。
内部環境 : Strength(強み)と Weakness(弱み)
自社自身のことに関する「強み・弱み」は「内部環境」と呼ばれます。SWOT分析では、強み・弱みを次のように定義しています。
【強みと弱みの定義】
- 強み = 自社の優位性拡大や利益、競合他社との差別化に役立てることができる、具体的な経営資源(強み≠良い点)
- 弱み = 機会損失の原因になるなど、自社の成長・利益拡大を阻害してしまう要因(弱み≠悪い点、良くない点)
ここでポイントは、「強み≠良い点」「弱み≠悪い点、良くない点」ということです。
たとえば「お店が汚い」というのは誰が考えても「良くない点」ですが、行列のできる「汚いけどウマい」ラーメン屋さんが日本各地にあるように、必ずしも売上・利益に直結するわけではありません。このような場合、「お店が汚い」という要素は「弱み」にはならないのです。
つまりは、「機会」に活かせて利益に繋がりそうな「武器」と、「機会損失」に繋がる「ネック」を具体的に考えていくのです。
外部環境 : Opportunity(機会)と Threat(脅威)
市場や顧客、社会、経済情勢などといった自社を取り巻く環境のことを「外部環境」といいます。外部環境は自社にとってプラスに働く「機会」と、マイナスに働く「脅威」に分けられます。
【機会と脅威の定義】
- 機会 = 「自社がターゲットとしているニッチ市場内」における「伸び代がある部分」や「新たなニーズ」。あるいは、「自社が参入すべき新たなニッチ市場の発見」
- 脅威 = 脅威とは、自社の努力ではどうにもならないほどの市場環境の悪化や競合激化、法改正など。
機会の分析は、SWOT分析の中でも非常に重要です。機会は上の定義の通り、「ニッチ市場」に対して考えていきます。 SWOT分析はそもそも小規模事業者向けのものなので、最近の流行など大企業がこぞって参入してくる分野はあまり考える必要がありません。そのため、自社の強みを活かせるニッチな市場に狙いを定め、その中でチャンスを発見していくのです。
脅威についても同様で、あまりにマクロ過ぎることは無視できます。たとえば「不景気で節約志向が高まっている」などと書いたところで、そこから何かの戦略につながりそうもないですよね。このようなことは無視して、何かしら具体的に対応策を考える必要があることだけを挙げていくのが脅威分析のポイントです。
クロス分析(クロスSWOT分析)とは?
SWOT分析のマトリックスが終わったら、内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を掛け合わせて4つの戦略を考えていきます。
【クロスSWOT分析】
- 強み × 機会(SO分析): 積極戦略
- 弱み × 脅威(WT分析): 致命傷回避・撤退縮小戦略
- 弱み × 機会(WO分析): 改善戦略
- 強み × 脅威(ST分析): 差別化戦略
このクロス分析では、次のようなテンプレートを使用します。
強み × 機会(SO分析): 積極戦略
クロス分析で最も重要なのが、「強み」×「機会」で導き出される「積極戦略」です。
【ポイント】強みと機会を掛け合わせることで、業績アップの鍵となる中心的な戦略を導き出します。ここで導き出した積極戦略が、リソース(費用や人員など)をしっかり割り当てる会社の重点方針となります。
自社の「強み」が活かして競争優位な状態をつくり出したり、あるいは「ニッチな市場・ニーズ」を見つけ出して、競合他社と差別化・独自化したりするのが基本です。
弱み × 脅威(WT分析): 致命傷回避・撤退縮小戦略
次に重要なのが、「弱み」と「脅威」の掛け合わせである「致命傷回避・撤退縮小戦略」です。積極戦略や改善戦略に集中するために「やめるべきこと」などを戦略的に検討します。
【ポイント】その名前や「弱み」と「脅威」の掛け合わせであることからマイナスのイメージを持たれがちですが、会社が生き残り、攻めるべきポイントに集中するために重要な判断となります。
致命傷回避・撤退縮小戦略はマイナスではなく、勝つために「戦略を絞り込む」という前向きなものなのです!
具体的には、「ニーズの減少」や「強力な競合や代替商品の出現」などといった脅威と「自社の弱み(リソース不足等)」を総合的に考えることで、
- やめるべき商品
- 諦めるべき顧客層
- 撤退すべき市場
などの判断を下します。
ニーズがなくなってしまったことにいつまでも注力しても仕方ないですし、勝てないライバルと戦っても疲弊するだけです。やめることを選択することでやるべきことに集中できるのです!
なお、「致命傷回避・撤退縮小戦略」は「専守防衛・撤退戦略」などと呼ばれることもありますが、考え方は同じですよ。
弱み × 機会(WO分析): 改善戦略
「弱み」と「機会」の掛け合わせから生まれる戦略は「改善戦略」と呼ばれます。これはつまり、「せっかくチャンスがあるのに、弱みがネックとなって活かせないからなんとか改善しよう」ということです。
【ポイント】改善戦略は1〜3年の中長期的な目標を設定し、弱みを改善していくのが基本です。
あるいは、他社とのコラボなど、機会を活かすことで弱みを補うという戦略も可能です。
つまり、すぐに取り組んで売上・利益の向上に直結させるための「積極戦略」に対して、長期的な視点で売上・利益を伸ばしていくことを目的とするのが「改善戦略」ということです。
強み × 脅威(ST分析): 差別化戦略
「強み」と「脅威」を掛け合わせて考えるのが「差別化戦略」です。強みを活かして脅威に対抗するのか。はたまた黒字でも早めに撤退するのかなどを戦略的に判断します。
差別化戦略では、次のパターンのどれかを選択するのが一般的です。
- 強みを活かした規模拡大や撤退する競合の買収などを繰り返し、圧倒的な地域シェアNo.1の座を狙う
- 経費を抑えて競合と我慢比べをして、競合の撤退を待つ
- 儲けが出ているうちに他社に高値で事業売却する
- 早めにこの市場を捨てて、機会のある別の分野に集中する
競合の買収にせよ地域No.1を狙うにせよ、実際はそれなりの資金力がないと難しいものです。中小企業では「早めの撤退」が最適解となることが多いでしょう。
SWOT分析の基本的なことは以上です。では、具体的にどのように進めていくのか、SWOT分析のコツや進め方を解説しましょう。
効果的なSWOT分析のコツと具体的なやり方
前章で解説した通り、SWOT分析の理論はとてもシンプルでわかりやすいものです。簡単に言ってしまえば、「強み・弱み・機会・脅威」を考えて、それを組み合わせて戦略を立てればいいだけです。
しかしいざやってみると、意外と使いこなすのは難しいものです。なんとなく実践してみても、「分かりきっていた事実を整理してまとめただけ」になってしまいがちなのです。
SWOT分析は「理論がシンプル過ぎるからこそ応用が利くけど、使いこなすにはきちんとした理解が必要」なのです!
効果的なSWOT分析のコツや注意点
SWOT分析を使いこなすには、さまざまなコツを押さえる必要があります。特に重要なのは、次の3点です。
【SWOT分析の最重要ポイント】
- 「強み」「弱み」「機会」「脅威」の定義を明確に理解する
- 「仮説」や「深掘り質問」で具体性を高める
- 「トリガーリスト」を使って抜け漏れを防ぐ
【ポイント①】「強み」「弱み」「機会」「脅威」の定義を明確に理解する
まず、「強み・弱み・機会・脅威」というSWOTの4要素の「定義」をしっかり理解することが大切です。これができていない人が非常に多く、うまく使いこなせない原因となっているのです。
前章で解説した通り、
- 強み = 集客・売上・利益に直結する要素(≠良い点)
- 弱み = 機会損失の原因、成功を妨げるネック(≠悪い点)
- 機会 = チャンスのあるニッチなニーズの発見や、ニッチ市場内でのプラスの変化
- 脅威 = 自社の努力ではどうにもならないほどの市場変化など
です。「強み」の中に「良い点」を混ぜたり、自社にとってチャンスにならないようなことを「機会」に挙げたりしないようにしましょう。
【ポイント ②】「仮説」や「深掘り質問」で具体性を高める
「定義の理解」と同じかそれ以上に大切なのが、「仮説や深掘り質問で具体性を高める」ことです。役に立つSWOT分析には、徹底した「具体性」が欠かせないのです!
仮説は、「機会」や「脅威」を考えるときに便利です。仮説とは、「もし〜すれば・・・かも知れない」「もしこうなれば〇〇かも知れない」と考えることです。仮説を用いることで「自社と結びついた具体的な機会・脅威」を導き出すことができるのです。
深掘り質問とは、「なぜ(why)」を繰り返すことです。たとえば、何か「これがうちの強みかな?」と思う要素を思いついたとして、そこで「どうしてそれが"強み"と言えるのかな?」と繰り返し考えてみるのです。
【ポイント】仮説や深掘り質問を使うことで、抽象的で根拠のなかった事象が具体化され、数値や固有名詞に変換されていきます。
このようにして、「戦略やアクションが想像できる」ような具体的な強みや機会、弱み、脅威を探っていくのです。
【ポイント ③】「トリガーリスト」を使って抜け漏れを防ぐ
そして3つ目のコツが、SWOT分析を抜け漏れなく行うために、「トリガーリスト」を使用するという点です!
【ポイント】トリガーリストとは、強みや弱み、機会、脅威を考える際に、大事な要素が抜け漏れのないようにするためのチェックリストです。
SWOT分析のフレームワークには「経済学的な裏付けがない」という欠点がありますが、「3C分析」「PEST分析」「5フォース分析」などを加味したトリガーリストを予め用意しておくことで欠点を克服し、効果的な分析を行うことができるのです。
具体的なトリガーリストの中身は以下の記事でまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください!
SWOT分析のやり方4ステップ
以上のコツや注意点を押さえて、実際にSWOT分析を行なっていきます。SWOT分析は、次の4ステップで行います。
- 外部環境分析(機会・脅威)
- 内部環境分析(強み・弱み)
- クロスSWOT分析
- アクションプランや数値目標への落とし込み
外部環境分析も内部環境分析でも、まずはネガティブな要素(脅威・弱み)から行うのがおすすめです。これらは最重要な「積極戦略」に関わるものではないですし、あまり考えすぎるとモチベーション低下にも繋がります。時間をかけずに行なって、重要な部分だけを書き出しましょう。
そしてクロス分析では、積極戦略に時間をかけます。強み分析や機会分析と行ったり来たりしながら、業績アップが見込める納得のいく戦略を打ち出しましょう。
【まとめ】SWOT分析で自分のビジネス戦略を成功に導こう!
SWOT分析は、「強み・弱み・機会・脅威」から会社の戦略等を導き出す、中小企業やフリーランス向けのフレームワークです。使いこなすには少々コツが要りますが、マスターすれば根拠のある事業戦略をスピーディーに立てることができます。
また、SWOT分析をするようになると、経営者視点やマーケティング脳が養われるというメリットもあります。この成熟し切った日本社会で利益を生み出すためには戦略が欠かせませんので、マーケティングや経営戦略にあまり馴染みのなかった人はぜひこの機会にSWOT分析から始めてみましょう。
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