事業戦略立案のための代表的なフレームワークのひとつ、SWOT分析(スウォット分析)。SWOT分析は自社内外の環境を調査し「強み・弱み・機会・脅威」を整理・分析して、事業戦略やアクションプランを導き出します。
そんなSWOT分析は1960年代にアメリカで考案され、日本でも昔からよく使われてきた有名な手法です。しかしながら、SWOT分析は「時代遅れ」「役に立たない」と言われてしまうこともあります。たとえば、日経ビジネス電子版が2016年に掲載した連載の中には、そのままズバリ「ビジネスで定番の「SWOT分析」は時代遅れ ── 第2回 : 自身のCPUをアップデートせよ!」というタイトルの記事が掲載されています。
上記の記事の中でも触れられていますが、実際、SWOT分析は「理論がシンプル過ぎる」ゆえに机上の空論になることもありますし、始めからわかり切ってたことを整理してまとめただけになることが少なくありません。これは、確かにその通りです。
それではやっぱり、SWOT分析はもう時代遅れの不要なフレームワークなのでしょうか?
【ポイント】結論、SWOT分析は【使うべきタイミングの人が】、【正しく使いこなせば】、今でもかなり役に立つ手法です。
時代遅れどころか、中小企業やスタートアップ、フリーランスなどといった【小規模事業者】が【始めて本格的に事業戦略の立案をする】場合などには、真っ先におすすめしたいフレームワークです!
SWOT分析が「時代遅れ」「使えない」と言われてしまうのは、【使いこなすのにコツがいる】せいです。そこで今回は、【SWOT分析が抱える問題点や失敗例】を解説したのち、【本当に役に立つSWOT分析を行うコツ】を紹介いたします!

最大手美容室チェーンで売上.指名共に1位を獲得し独立するものの猛烈な赤字でスタート。マーケティングを学び駆使した後、圧倒的な黒字化の仕組みを構築。サロン経営者にコンテンツセールスやコンサルをスタート。3年で複業月収8桁を達成。600名以上が登録する無料オンラインサロン(MAKE TIME)や、”ロイヤル顧客リピートで満席の仕組み”を構築できる実践型のオンラインサロンを運営。コンサルタントとして50件以上のサロンを年商800万~3000万以上UPさせた実績を持つ。現在ではサロンのロイヤルリピート経営の仕組み化や、複業のサポートコンサルを継続中。
SWOT分析は役に立たない? 時代遅れ? ── そう言われる理由とよくある失敗例

冒頭で書いた通り、「時代遅れ」「役に立たない」と言われてしまうこともあるSWOT分析ですが、その理由として次のような原因が挙げられます。
- 市場の調査に抜け漏れが出やすい
- 主観や思い込みが入り込みやすい
- わかりきったことを並べて整理しただけになりやすい
事実として、競争戦略の第一人者であるマイケル・ポーター氏の見解をまとめた名著『〔エッセンシャル版〕マイケル・ポーターの競争戦略』の中には、SWOT分析に関して次のような一文があります。
“SWOTは企業を環境と結びつけることを目的とするが、得てして分析性と客観性に欠ける。”
── ジョアン・マグレッタ 著『〔エッセンシャル版〕マイケル・ポーターの競争戦略』(早川書房, 2012年)p.287より
また、別のページにはこうも書かれています。
“この手法は企業をその環境と結びつけるというねらいはよかったのだが、ツールとしての効果は薄かった。実際にやってみた人ならわかると思うが、SWOT分析には一貫した経済原理の裏づけがないため、四つの見出しのもとに思いつくまま項目をあげるだけで終わってしまう。だれが議論に参加したか、その朝どんな問題が頭に浮かんだかで、内容はランダムに終わってしまう。
── ジョアン・マグレッタ 著『〔エッセンシャル版〕マイケル・ポーターの競争戦略』(早川書房, 2012年)p.060より
ポーター氏のこの指摘は、間違いではありません。実際、そのような事例は非常に多いのです。
SWOT分析のよくある失敗例 ── とある地方美容室の事例で具体的に解説!
SWOT分析は有名なビジネスフレームワークなので、誰かのブログであったりTwitterだったり、色々なところでその名を目にします。そうした中で、表面的な「薄っぺらい」情報ばかりを仕入れてしまうと、次のようなSWOT分析ができあがるのです。

このSWOT分析をもとにして意味のあるクロス分析をしたり、事業戦略を考えるのは正直難しいです。この分析には、以下のような問題があるのです。
- ある事柄を「強み」に入れるべきなのか「機会」に入れるべきなのかなどが不明瞭で、感覚で分けている
- 主観的で、あまり「強み」になっていないことも混ざっている
- 戦略立案に結びつかないことも多く書かれている
- 核心的で強い「強み」や「機会」が発見できていない
なぜこうなってしまうのか、簡単に解説しましょう。
SWOT分析が「使いにくい」と感じるたった1つの原因
先ほどの「失敗例」のようなSWOT分析がなぜできあがってしまうのか。どうしてSWOT分析が「使いにくい」と感じるのか。その原因は、一言にまとめてこれに尽きます。
【ポイント】「実際問題、SWOT分析のフレームワーク・テンプレート自体はシンプル過ぎて、“それ単体”ではうまく機能しない!」
これをもう少し砕くと、次のような原因に分解できます。
【SWOT分析が「使いにくい」と感じる理由】
- 「強み」や「機会」などの定義が曖昧になっている
- 具体性や客観性がなく、思いつくままにテンプレートを埋めるだけになっている
- 戦略や施策に結びつかない事象が数多く混ざってしまう
- 逆に抜け漏れも多くて、抜本的な戦略を立案できない
このようなことを防いでSWOT分析を使いこなすには、具体的な使い方やコツをちゃんと学ぶ必要があるのです!
SWOT分析を使いこなす5つのポイント ── 失敗しないSWOT分析のコツ

それでは、SWOT分析を使いこなすにはどうすれば良いのか。大事なポイントが、以下の5つです!
【SWOT分析を使いこなす5つのポイント】
- 「単一事業」に対して行う(△経営戦略 ◎事業戦略)
- 「強み」「弱み」「機会」「脅威」の定義を明確にする
- SWOTではなくTOWS(またはTOSW)の順に分析する
- 「仮説」や「深掘り質問」を使って「具体性」を高める
- 「トリガーリスト」を使用して抜け漏れを防ぐ
1つずつ解説を加えていきます。
【ポイント①】「単一事業」に対して行う(△経営戦略 ◎事業戦略)
まず1つ目のポイントが、SWOT分析は会社全体の「経営戦略」ではなく、一つの事業のみに注目した「事業戦略」の立案に使用するということです。
SWOT分析が経営戦略の立案に使えないわけではないのですが、会社の規模が大きくなってくると段々使いにくくなってきます。単一事業に対しての方がSWOT分析の良さを活かしやすいので、「SWOT分析は事業戦略の立案に使う!」と覚えておくと良いでしょう。
【ポイント②】「強み」「弱み」「機会」「脅威」の定義を明確にする
さて、2つ目に挙げるのは5つの中でも特に重要なポイントです。それが、「強み」「弱み」「機会」「脅威」の定義を明確にするということです!
4つとも理解しやすい言葉なので、定義などいちいち考えずにSWOT分析に取り組んでしまう人が多いですが、定義が曖昧だと効果的なクロス分析や具体性のある戦略立案まで繋がらないことがとても多いです。
それぞれの定義を解説していくので、きちんと押さえておきましょう!
「強み(Strength)」とは?
勘違いしがちですが、「強み」と「良い点」はまったく異なります。
【「強み」の定義】強みとは、自社が持つ経営資源(リソース ; ヒト、カネ、モノ、情報など)の中で、チャンス(機会)に活かすことができて売上・利益の向上につながるものをいいます。
したがって、「お店が綺麗」とか「接客が良い」などは「良い点」かも知れませんが、それが直接の集客理由・リピート理由になるほどでなければ「強み」とは言えません。
競合との明確な差別化要因になり、利益に直接貢献してはじめて「強み」と言えるのです。
「弱み(Weakness)」とは?
「弱み」も「良くない点」「弱点」「改善すべき点」と勘違いされがちですが、これもやはり間違いです。
【「弱み」の定義】弱みとは、「これが原因で、せっかくのチャンス(機会)を掴めない!」というような、売上・利益の向上を妨げる直接の「ネック」になっている要素をいいます。
たとえば「お店が汚い」という事実は、一見「弱み」のように思えます。しかし、「汚いけどウマい!」と有名で、いつも行列のラーメン屋などがあるように、ターゲットとなる顧客層がお店の汚さを問題としていないのならば、それはあくまで「良くない点」レベルであり、「弱み」ではないのです。
「機会(Opportunity)」とは?
「機会」はそのまま「チャンス」という意味ですが、これも多くの方が勘違いしています。
多くの人が想像する「ビジネスチャンス」とは、たとえば「タピオカが最近流行っているらしい!」などといった流行り物か、あるいは「ブロックチェーン技術」や「グローバル化」など漠然としたマクロな事象などです。しかしこのような分野は大きな資本で持った企業が参入してくるため、中小企業やフリーランスにとってはまったくチャンスじゃないのです。
【「機会」の定義】機会とは、「自社がターゲットとしているニッチ市場内」において、「伸び代がある部分」や「新たなニーズの登場」をいいます。あるいは、「自社が参入すべき新たなニッチ市場の発見」も機会となります。
つまり、「自分のお店の周りに関する変化」や「自社商品のターゲットに関する変化」などのうち、チャンスになるものが「機会」ということです。
「脅威(Threat)」とは?
「脅威」については、「デフレの影響」「少子高齢化」などを挙げる人が多いですが、これも機会と同じくマクロ過ぎてあまり意味を成さないことが多いです。
【「脅威」の定義】脅威とは、自社の努力ではどうにもならないほどの市場環境の悪化や競合激化、法改正などを意味します。
簡単に言ってしまうと、「もうどうにもならない / どうにもならなくなる可能性が高い」ので、「早めにどうするべきか考えよう」というものが脅威です。
以上の定義をしっかり理解しておくと、自然と「機会に活かせる強みは何だろう?」「この機会を活かすためには、ここは改善しないとダメだ」などと言ったように、戦略に結びつく考え方ができるようになります。すると意味のあるSWOT分析、クロス分析になり、成果に結びつく戦略立案につながるのです。
【ポイント③】SWOTではなくTOWS(またはTOSW)の順に分析する
3つ目のポイントは、SWOT分析をする際の順番です。
【ポイント】SWOT分析の基本は、
・外部環境(=機会・脅威)が先、内部環境(=強み・弱み)が後
・ネガティブ要素(=脅威・弱み)が先、ポジティブ要素(=機会・強み)が後
つまり、TOWSの順番で分析を行います。
また、ネガティブ要素である「弱み」「脅威」の分析にはあまり時間をかけないことも重要です。
SWOT分析で重要なのは「機会」と「強み」の分析です。この2つを掛け合わせることで、業績向上の突破口となる戦略を導き出します。
このように大事な「機会」と「強み」ですが、先に機会を考えてから「じゃあ、機会を活かせそうな強みってうちには何があるだろう?」と考える方がやりやすいことが多いです。だから先に外部環境から分析するのです。
また、ネガティブ要素の分析は考え出すと無限に出てくることが多く、士気を下げることにもなり得ます。そのため、あまり時間はかけ過ぎず、具体的に対策が必要なことに絞って考えるべきでしょう。
【ポイント④】「仮説」や「深掘り質問」を使って「具体性」を高める
4つ目のポイントは、「仮説」や「深掘り質問」を使って、具体性を高めることです!
仮説とは、「もし〜すれば・・・かも知れない」「もしこうなれば〇〇かも知れない」と考えることですね。「機会」や「脅威」を考えるとき、仮説を用いることで「自社と結びついた具体的な機会・脅威」を導き出すことができます。
また、深掘り質問とは、「なぜ(why)」を繰り返すことです。たとえば、何か「これがうちの強みかな?」と思う要素を思いついたとして、そこで「どうしてそれが"強み"と言えるのかな?」と繰り返し考えてみるのです。
【ポイント】「なぜ(why)」を2回、3回と繰り返すことで、抽象的で根拠のなかった事象が具体化され、数値や固有名詞に変換されていきます。
仮説や深掘り質問を使って導き出した「根拠や具体性のある事象」こそ、核心をつく戦略策定に必須な要素なのです。
【ポイント⑤】「トリガーリスト」を使用して抜け漏れを防ぐ
そして5つ目は、SWOT分析の効果を高める「トリガーリスト」を使用することです!
トリガーリストとは、強みや弱み、機会、脅威を考える際に、大事な要素が抜け漏れのないようにするためのチェックリストのことです。
【ポイント】SWOT分析のフレームワークには「経済学的な裏付けがない」という欠点がありますが、「3C分析」「PEST分析」「ファイブフォース分析(5F分析)」などを加味したトリガーリストを予め用意しておくことで欠点を克服し、効果的な分析を行うことができます。
SWOT分析の4つの要素分析に使えるトリガーリストをご紹介しましょう。
強み分析のトリガーリスト
【強み分析のトリガーリスト】
- お客様から高い評価を受けていることは何か?
- 競合と差別化できる専門的な知識や技術、サービス、ノウハウなどはあるか?
- 取り揃えている商品・サービスのラインナップはお客様の来店理由になるか?
- お客様の来店理由になる設備面・人材面の特徴はあるか?
- 価格面は強みになっているか?
- 競合との差別化になるほどの短期納品や小ロット対応などは可能か?
- エリアや立地上の強みはあるか?
- 競合と比較してマーケティング面での強みを持っているか?
- 思い切った設備投資や人材確保などが可能な資金力はあるか?
- 競合が手を出せない、特許などの権利を持っているか?
弱み分析のトリガーリスト
【弱み分析のトリガーリスト】
- 競合他社に明らかに劣っていて改善すべき点はないか?
- 狙いたい顧客のニーズに対応できていない点はどこか?
- リピート率を下げている要因は何か?
- 顧客クレームで多いのはどんなことか?
- 設備面・資金面でのネックはあるか?
- 人材面・組織面でのネックはあるか?
機会分析のトリガーリスト
【機会分析のトリガーリスト】
- 顧客や社会のニーズ変化などで、自店にとってチャンスになるものはないか?
- 自店の強みを活かせるニッチなニーズはないか?
- ターゲットを変えることで利益拡大できないか?
- 今の商品を別の切り口から宣伝し、新たな価値を与えられないか?
- どこかとコラボして、顧客に独自の価値提供はできないか?
- 競合をライバルではなく同業者仲間と捉えることで、お互いにメリットのある関係を築けないか?
- 競合の戦略を二番煎じでも真似することで、メリットはあるか?
- 自社の独自ノウハウを使って、同業者を顧客にできないか?
- 高価格帯の商品・サービスを実現する方法はないか?
- 経費削減などを通して、利益率はそのままに低価格化できないか?
- 宣伝広告の量や内容、チャネルを変えることで、収益増加に繋がらないか?
- あえて入口を「無料化」「格安」にして顧客を掴むことで、利益拡大できないか?
- インターネットをうまく利用できないか?
- 仕入れ先を変えることで、メリットはないか?
- エリア拡大はできないか?
- 法改正で自社の追い風になることはないか?
- 閑散期でも収益を上げる方法はないか?
- エリアのイベント等集客材料とならないか?
脅威分析のトリガーリスト
【脅威分析のトリガーリスト】
- 顧客からの要望、顧客の変化など「顧客」に関することで脅威となることはないか?
- 地域への新規参入、大手企業の市場への参入など、「競合」に関することで脅威となる動きはないか?
- 技術革新や流行の変化などによる「代替品の登場」により、市場自体が縮小・消失することはないか?
- 原料高騰によって材料代が上がったり、外注先との取引が終了したりなど、「仕入れ」に関する脅威はないか?
- 自社の事業に脅威となる「法改正」が予定されていないか?
- 「グローバル化」や「景気動向」「インターネットの発展」などで、自社の事業にとって脅威となる要素はないか?
強い戦略立案につながるSWOT分析のやり方

前章で紹介した5つのポイントも踏まえて、具体的なSWOT分析のやり方を解説しましょう。SWOT分析は、前準備をしたのち4ステップで進めていきます。
- 【ステップ⓪】SWOT分析を行う「目的」を明確にする
- 【ステップ①】外部環境分析(機会・脅威)
- 【ステップ②】内部環境分析(強み・弱み)
- 【ステップ③】クロスSWOT分析で戦略を立案する
- 【ステップ④】アクションプランや数値目標の具体化
それぞれのステップを行う際のポイントや注意点を簡単に解説していきます。
なお、より具体的に知りたい方は以下の記事がおすすめです!
こちらでは、具体的な事例を挙げて実際にSWOT分析を実施しながら、戦略案を出すところまで解説しています。長めの記事ではありますが、かなり参考になるかと思います^^!

【ステップ⓪】SWOT分析を行う「目的」を明確にする
まず前準備として、SWOT分析を行う目的やゴールを明確にしておきましょう。多くの場合は「事業戦略の立案」やその先の「アクションプランやKPIへの落とし込み」が目的になるかと思いますが、後述する通りSWOT分析はさまざまな用途に応用できます。まず始めに「SWOT分析を通して得たい成果物はなんなのか」明確にしてから行うようにしましょう!

【ステップ①】外部環境分析(機会・脅威)
まず始めに行うのが「外部環境分析」、つまり「脅威」と「機会」の分析です。先に脅威をサラッと分析したのち、自社にとってチャンスとなる「機会」をしっかり探っていきます。
脅威分析では、商品ライフサイクルや大企業の参入、市場自体を脅かす代替品の登場などを見据えて、「何がどのように脅威」なのかを具体的に考えていきます。具体的な施策・行動に結びつけることを意識して、時間をあまりかけずに行うようにしましょう。
機会分析では、自社にとってプラスに働く「業界・社会・市場の一般的な方向性の変化」を探るだけではなく、小さいけれども可能性のある「ニッチな市場や分野」の発見を目指します。「仮定」や「深掘り質問」を駆使しながら、自社にとってのチャンスを具体的に探っていきます。
【ステップ②】内部環境分析(強み・弱み)
続いては、内部環境である「強み」と「弱み」を分析していきます。まずは「弱み」から分析するのがベーシックですが、「機会分析」をした勢いのまま「強み分析」を先に行い、メインとなる方針の当たりをつけてしまうのも一つの方法です。
弱み分析では、「悪い点」や「改善点」ではなくて、チャンスを逃す原因となり得ることを探ります。外部環境分析で挙げた「機会」を参考にしながら、それをうまく活かせない原因、ネックを考えていきます。ポイントは、自社が狙う「ターゲット」「ニッチ市場」に関係のあることだけを考えることです。
強み分析では、機会分析で見つけたチャンスを活かせる「強み」を、深掘り質問を駆使しながら具体的に見つけていきます。ポイントは、お客様が自社の商品・サービスを買ってくれた理由を冷静に分析することです。
【ステップ③】クロスSWOT分析で戦略を立案する
SWOT分析のマトリックスが埋まったら、それを使って「クロス分析(クロスSWOT分析)」を行ないます。クロス分析とは、内部環境である「強み・弱み」と外部環境の「機会・脅威」を掛け合わせることで、以下の4つの軸で戦略を導き出すことです。
【ポイント】
- 強み × 機会(SO分析): 積極戦略。業績アップのための中心戦略となる、もっとも重要な戦略を導き出す
- 弱み × 脅威(WT分析): 致命傷回避・撤退縮小戦略。積極戦略等に集中するために、戦略的に辞めることなどを検討する
- 弱み × 機会(WO分析): 改善戦略。長期的に売上・利益を伸ばしていくため、時間をかけて改善していくことなどを検討する
- 強み × 脅威(ST分析): 差別化戦略。強みを活かして脅威に対抗するのか。はたまた黒字でも早めに撤退するのかなどを戦略的に判断する
このクロス分析には、以下のようなテンプレートを使うと便利です。
この中で特に重要なのが「積極戦略」です。積極戦略が事業の軸となる方針 を決定づけるので、その他の戦略はそれを踏まえて考えていくことになります。ニッチ市場とターゲットを定めて、競合他社と明確な差別化した独自の価値を打ち出すことが大切です。
【ステップ④】アクションプランや数値目標の具体化
そして最後は、戦術やアクションプラン、数値目標への落とし込みです。【ステップ③】で導き出した戦略をもとにして具体的なアクションを定め、それを実施したときに期待できる数値目標を決めていきます。
数値目標については、現在の売上データなどをもとにして、それぞれの施策でどの程度の効果が上がるのか試算しましょう。

こんな使い方もできる!SWOT分析の応用例

先ほど少し触れた通り、実はSWOT分析は事業戦略の立案以外の目的に応用することもできるんです!
この記事の最後に、3つの応用例をご紹介しましょう。
【応用例①】銀行での融資審査に通る「経営計画書」を作成する
SWOT分析で「根拠のある事業戦略」を立てることで、銀行融資の審査に有利な「経営戦略書」を作ることができます。
特に近年は「会社の将来性」への評価が重視されるようになってきているので、SWOT分析を利用する効果は高いと言えるでしょう。
【応用例②】別の手法で立案した戦略・計画の「評価ツール」として利用する
また、別の手法で立案した経営戦略等の「評価ツール」としての利用もできます。戦略立案のフレームワークは、SWOT分析のほかにも「3C分析」「ファイブフォース分析(5F分析)」「STP分析」などさまざまなものがありますので、これらの手法で立案した戦略の正当性の評価するツールとしてSWOT分析を用いることで、より確度の高い戦略にブラッシュアップできるでしょう。
【応用例③】個人の「転職活動」などに応用する
SWOT分析は会社の戦略だけでなく、「個人の転職活動」などに応用することもできます。「転職活動」とは、自分の「市場価値」を企業に営業して、自分をより高く買ってくれる企業を探す活動です。そこにはやはり、戦略が必要です。
【ポイント】自分が持っている「強み・弱み」と就職したい業界の「機会・脅威」を分析することで、自分の売り込み方や攻めるべき分野が明確になります。
転職活動だけでなく自分の将来を考えたりするのにも使えますので、ぜひ実践してみると良いでしょう。
【まとめ】SWOT分析は時代遅れじゃない!今も現役の役に立つフレームワーク

SWOT分析は「時代遅れ」や「役に立たない」などと言われてしまうことも多いツールですが、【使いこなすコツ】や【具体的な使い方】を学んでさえいればまだまだ現役で使える便利なフレームワークです。
【ポイント】SWOT分析が役立つのは、中小企業やスタートアップ、フリーランスなどの【小規模事業者】が【事業戦略】を考えるときです。
使いこなすためには、「強み」や「機会」などの【定義】をしっかり押さえたうえで、【トリガーリスト】を使用して抜け漏れのない分析を行い、【具体性】を強く意識すると良いでしょう。
SWOT分析は、誰でも取り組みやすくて「効果を期待できる戦略をスピーディーに立てられる」という大きなメリットがあるうえ、事業の戦略やマーケティングについて考える練習にもなります。ぜひSWOT分析の考え方を身につけ、実践してみましょう!

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