マーケティング

【具体例で解説】PEST分析のやり方 ── ユニクロ、飲食業界、コンビニ業界を取り巻くマクロ環境を分析!【無料テンプレートあり】

PEST分析とは、社会全体の流れなどといった「マクロ環境」を分析するための代表的な手法です。政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の頭文字を取ったもので、これら4つの側面から「世の中」の流れを整理することで、戦略立案や経営判断を行ううえでの前提となる「社会や市場の状況」を理解・予測していきます。

つまり、PEST分析を行うことで現代の社会ニーズを理解し、時流に合ったビジネスをするための基盤を整えることができるのです。

それでは、PEST分析はどのように行えばよいのでしょうか? 本記事では、PEST分析を行う上での「分析の流れ」や「実践のポイント」を、現代におけるビジネスの具体例を交えながら解説いたします。

久保真介
久保真介

今回はPEST分析のやり方について、いくつかの具体的な事例を用いて解説していきます! 真似するだけでそのまま活用できる内容もあるので、初心者の方にもおすすめです。

なお、PEST分析そのものについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください!

PEST分析とは? ── マクロ環境から機会と脅威を探る分析フレームワーク 加速を続ける現代のビジネスシーン。日々新しい技術やサービスが生まれ、トレンドの移り変わりも早くなっています。そんな平成・令和の時代に...
目次
  1. かんたん解説!PEST分析によるマクロ環境の分析方法
  2. PEST分析の結果はどう活用する? マーケティング戦略立案ステップ全体の流れ
  3. コロナ禍における飲食業界のマクロ環境を分析!〜成功事例をPEST分析で読み解く〜
  4. 海外でも成功を収めるユニクロの成功理由をPESTで分析! ── 地域特性を理解したローカル・マーケティング戦略
  5. コンビニ業界第3位のローソンの戦略をPESTで分析! ── 社会トレンドを掴んだ差別化戦略
  6. 【まとめ】PEST分析は戦略立案の第一歩!!

かんたん解説!PEST分析によるマクロ環境の分析方法

PEST分析では、政治・経済・社会・技術の4つの観点からトレンドを捉えることで、世の中全体の流れをつかんでいきます。 成果につながるPEST分析を行うには、「仮説」をもとに「変化」を捉える視点が重要です。どういうことか、次の4ステップで具体的にみていきましょう。

【PEST分析の流れ】

  • 【ステップ①】「仮説」を立てる
  • 【ステップ②】自社のビジネスに影響する「変化」をまとめる
  • 【ステップ③】「機会」と「脅威」に整理する
  • 【ステップ④】戦略立案に活かせる形で「結論」をまとめる

【ステップ①】「仮説」を立てる

PEST分析に限りませんが、マーケティング分析を行う際にはあらかじめ「仮説」を持って調査・分析にあたることが大切です。あらかじめ仮説を立てておくことで、自社にあまり影響のないことにまで余計なリサーチ時間をかけてしまうというありがちなミスを防止できます。

  • 「世の中はこういう動きなので、この商品・サービスに需要が出てくるのではないか?」
  • 「このテクノロジーを取り入れることで、新たな顧客層を開拓できそうだ」
  • 「この法改正は、自社にとってチャンスになりそうだ」

など、自社の強みやファンの客層などを踏まえて、戦略的に意味のある仮説を立ててから分析にあたりましょう。

久保真介
久保真介
もちろん、強みや機会だけでなく弱みや脅威にも目を向け、弱み改善の施策や脅威への対抗策も忘れず考えることも必要です。優先順位を考えながらリサーチ・分析・戦略立案していくことが大切ですね。

【ステップ②】自社のビジネスに影響する「変化」をまとめる

仮説を立て終わったら、PEST分析のフレームワークを活用してマクロ環境の「変化」を分析していきます。ここ数年における変化や、今後予測されるトレンドを調査しましょう。

ここでは、政治・経済・社会・技術の4項目から自社に関わる「変化」をまとめていきますが、世の中の全ての変化を網羅することは物理的にできません。闇雲に調査するのではなく自社のビジネスに関係の深い要素だけを考え、さらにその中で影響の大きなもの、対応すべきものを特定しましょう。

久保真介
久保真介
以下の画像で示した項目などを中心に、重要な変化を捉えていきましょう。

【ステップ③】「機会」と「脅威」に整理する

次に、ステップ②でまとめた「変化」を「機会」と「脅威」に分類していきます。「機会」については、それぞれの「変化」がビジネスにどの程度プラスの影響を与えるのか、その「変化」は持続しそうかどうかなどを検討していきます。「脅威」に対しては、どのような懸念点があるのか、具体的に対応が必要かどうかなどを検討していきます。

【ステップ④】戦略立案に活かせる形で「結論」をまとめる

最後に、ステップ③でまとめた「機会」と「脅威」を中心に、PEST分析の結論としてビジネス戦略の簡易的な草案をまとめていきます。分析結果を活用しながら、うまくいくと思われる根拠、想定ターゲットとそのボリューム、懸念点なども加えていってください。

久保真介
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「機会」と自社の「強み・弱み」を照らし合わせることで、いま中心的に取り組むべき戦略であったり、長期的な視点で改善していくべき課題などが見えてきます。あるいは逆に、「脅威」への対抗策や回避方法を考えることからも大きな示唆が得られます。

なお、マクロ環境の機会や脅威は、同業他社にとっても同様である場合が多いです。自社の強みをうまく活かして、他社と差をつける方法を考えましょう。

PEST分析の結果はどう活用する? マーケティング戦略立案ステップ全体の流れ

さて、PEST分析でマクロ環境の「変化」を理解し、自社にとっての「機会」と「脅威」を掴んだところで、それだけで戦略立案に入るのは少々考えものです。PEST分析で得られた「大局観」を踏まえて、より「ミクロな視点」で深掘り分析していきましょう!

久保真介
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マクロ環境とは、外部環境のうち自社の力ではコントロールできないもので、市場全体に影響を与えます。一方でミクロ環境とは、自社が事業を行う市場に影響し、ある程度はコントール可能なものを指します。

簡単に言ってしまえば、ターゲット市場・顧客・競合企業といった、比較的狭い範囲をリサーチするのが「ミクロ分析」です。

PEST分析を踏まえて「3C分析」や「SWOT分析」などでさらに深掘りする

PEST分析で「社会」というマクロな環境を分析した次は、いきなり「市場・顧客」といったミクロ環境に踏み込むのではなく、「5フォース分析」で「業界」を理解するのがおすすめです。

5フォース分析 ──「業界」を理解する

5フォース分析では、業界内で影響を及ぼす5つのプレイヤーの力関係を知ることで、その業界全体の収益性や業界の本質的なビジネス構造が理解できます。さらに、その業界内における典型的な戦略パターンや、うまくいっている企業の例などを鳥瞰的に理解することで、「自社の商品・サービスが競争に勝つためにはどうすれば良いのか」という示唆が得られるのです。

久保真介
久保真介

つまり、自社が属する業界において収益性を引き下げている構造的なボトルネックは何なのか調べ、成功してる企業の典型的な勝ちパターンを解き明かすのが5フォース分析です。

業界全体からターゲット市場をどのように絞るべきか、業界内でどのようなポジションを目指していくべきかなどを考えるうえで重要なフレームワークです。

【基本編】5フォース分析(ファイブフォース分析)とは? ── 業界構造と収益性を読み解くフレームワーク 5フォース分析(ファイブフォース分析、5F分析)は、競争戦略論の第一人者マイケル・E・ポーター教授が提唱した環境分析のフレームワ...

3C分析 ── 重要な「3つのC」から市場を理解する

続いて「市場調査」のフレームワークとして有名な「3C分析」をみてみましょう。3C分析とは、顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)という”3つのC”を総合的、網羅的に分析して、自社を取り巻く「市場」を理解するフレームワークです。

まず初めに、特定の市場に絞り「市場動向」や「顧客」の属性・行動などを確認していきます。なぜ顧客がその商品を求めているかを理解することが第一歩です。次にその市場における「競合」を特定し詳しく分析します。そして「自社」の強みや弱みを整理することで、「競合」と差別化するための材料を理解していくのです。

久保真介
久保真介
3つのCで特に重要なのが「Customer(市場・顧客)」です。ここはアンケート調査やデータ分析などで「市場レベル」の調査をしたのち、インタビュー調査などn=1レベルの分析(=顧客1人1人に注目した分析)もするべきですね。

【基本編】「3C分析」とは? 5分で簡単にわかりやすく解説します! マーケティングとは「持続的に売れる仕組みを作ること」であり、「顧客ロイヤリティを獲得する(=ファン増やす)こと」です。したがって、マ...

SWOT分析 ── 環境分析結果をまとめ、戦略立案へとつなぐ

環境分析の結果をもとに、会社の経営戦略や事業戦略を考えるためには「SWOT分析」が活用できます。SWOTは、「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の頭文字をとって名付けられています。名前のとおり、自社にとっての機会と脅威、強みと弱みをまとめ、掛け合わせて考えることで、戦略立案へとつなげていくことができます。

久保真介
久保真介
PEST分析、5フォース分析、3C分析などの調査結果を整理してまとめあげ、戦略へと具体化していくうえで扱いやすいフレームワークです。

【基本編】SWOT分析とは?5分で簡単に解説!── SWOT分析のやり方や目的、活用方法をわかりやすく解説! SWOT分析(スウォット分析)とは何か、概要を簡単にまとめると「自社や市場の現状を『強み・弱み・機会・脅威』の4要素から把握・分析し...

分析結果をもとに戦略を立て、施策を具体化していく

マクロ・ミクロ両方の視点から環境分析を終えたら、それらから得られた示唆を踏まえて戦略を具体化していきます。その際の基本になるのが「STP」や「WWH」です。

【ポイント】
「STP」とは、セグメンテーション(Segmentation)・ターゲット(Targeting)・ポジショニング(Positioning)を順番に行っていくことで、自社がその市場において”優位な立場”にたてる戦略を策定するためのフレームワークです。

「WWH」では、誰に(who)・何を(what)・どのように(How)提供するかをより詳細に具体的に考えることで、顧客にとって本当に価値のある戦略を策定することができます。(→詳細 : STPとは?

久保真介
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どちらも「戦略レベル」でマーケティングを考える際の基本中の基本ですね。いうならば、「STP」や「WWH」を埋めることこそが「マーケティング戦略」と言っても過言じゃないくらいです。

戦略を明確にできたら、最後に「4P」を考えマーケティング施策を具体化します。「4P」とは、商品(Product)・価格(Price)・チャネル(Place)・プロモーション(Promotion)のことです。

久保真介
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このように、マーケティングのフレームワークは単体で活用するのではなく、それぞれの目的を理解し組み合わせて使うことで、より相乗的な効果を発揮していくのです!

(関連記事)【基本編】マーケティングのSTPとは? わかりやすく簡単に解説します!

(関連記事)【まとめ】マーケティングの4Pとは? ── 4つのPを活用した戦略・施策策定のモデルを解説!(※ 近日公開予定)

コロナ禍における飲食業界のマクロ環境を分析!〜成功事例をPEST分析で読み解く〜

PEST分析をうまく活用した事例を紹介します。2020年3月頃から影響が出始めたコロナ禍における、飲食業界の具体的な事例をもとにみていきましょう!

業界全体が打撃を受けたコロナ禍だからこその「機会」を見つけ出す

まず初めにPEST分析を行い、「世の中の変化」を理解した上で、「機会」や「脅威」を特定していきます。

P(Politics)
  • 世界各国のロックダウン
  • 緊急事態宣言の発令
  • 酒類提供の時間制限
  • 給付金の支給
  • GoToイート、GoToトラベルの実施
E(Economy)
  • 観光業界・飲食業界の需要が激減
  • ECサイトや宅配サービスの需要増加
  • 全体的な消費は減少傾向
S(Society)
  • ソーシャルディスタンス
  • おうち時間・巣ごもり需要
  • リモートワークやオンライン飲み会の普及
  • SNSコミュニティの活性化
  • 自宅で稼げる仕事の需要増加
  • コロナ対策やワクチンの効果・リスクなどへの正しい情報を求める需要急増
T(Technology)
  • 手軽に立ち上げられるECサービスやSNSの台頭
  • 非接触型テクノロジー
  • タッチパネル
  • テレビ会議システム
  • 電子マネー決済システム
  • 民間のデリバリーアプリ

一例を挙げるだけでも、このようなものが考えられるでしょう。

久保真介
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実際にPEST分析を行う際は、自身のビジネスに関連することに注目して、もっと深掘りしていきます。

コロナ禍の中で「機会」を活かして成功した3つの事例

以上のような「コロナ禍で生まれた変化」をうまく捉えて成功したビジネスの事例を紹介します。

【事例①】牛タン専門店 たんか : Twitterを駆使して月の通販売上500万円超に成長!

福岡の牛タン料理専門店「たんか」は、福岡市内に3店舗を構える予約必至の人気店。コロナを機に本格的にEC(ネット通販)を開始する決断をし、わずか約2ヵ月でECサイトをスタートさせました。

同時に、Twitterを活用した集客にも注力しました。地道なコミュニケーションと生の声を集める中で、お客様から「肉以外にもタレや出汁、薬味が付属しており、鍋を用意するだけなので、ホームパーティに最適だ」という意見があり、そこで「たんかのお取り寄せは準備いらず」であることを訴求点に入れたそうです。またECのコンセプトを「おうちで楽しむ最高の肉体験」と再設定し、それに沿う施策を続けることで今では月の通販売上500万円超の人気商品に成長させました。

ECやSNSなどの技術を利用しつつ、「おうち時間を充実させたい!」という世の中の「ニーズ」をうまく捉えてビジネスに活かした事例といえますね。

久保真介
久保真介
非常に優秀なデジタルマーケティングの事例ですね!

【事例②】板前DINING 斬 : 「ソーシャルディスタンスコース」で宴会客を取り戻す!

事例の2つ目として、東京の築地場外市場にある居酒屋「板前DINING 斬」をご紹介します。コロナ以前は、昼は若い層の観光客、夜は周辺の企業で働く30代以上のビジネス層を中心に集客しており、地下という立地もあって予約客が多く、歓送迎会などの宴会に多数利用があったそうです。

コロナ禍の制限下で、店舗営業中心という形態は維持したまま、どのように運営していったのでしょうか。

【施策一覧】

  • 扉の開放、入店時のアルコール消毒、サーキュレーターの設置
  • 緊急事態宣言発出後はランチとテイクアウトのみの営業に切り替え
  • 5月末からはデリバリーも開始
  • 緊急事態宣言解除後はディナー営業を再開し、「ソーシャルディスタンスコース」を宴会プランとして新たに打ち出し。(提供する8品は全て個別盛り、席の配置は十分に間隔を空け、来店客同士が向かい合わないようにするなど)

コロナ禍における様々な規制の中、柔軟に対応していった様子が伺えます。特に「ソーシャルディスタンスコース」では、わかりやすいコース名を使うことで「大人数での食事は不安」というお客様にも的確にアピールしており、早速送別会の予約があったそうです。さらに料理のボリュームをおさえた女性用のソーシャルディスタンスコースも開始。世の中の動きを的確にとらえながら、継続的にニーズに応えるお店づくりができていますね。

【事例③】京都スタンド きよきよ : 休業期間の社内研修と徹底した感染予防対策で売上回復!

事例の3つ目は、京都市内の立ち飲み屋「京都スタンドきよきよ」。祇園四条駅から徒歩2分の路地に位置しており、おばんざいを売りに、30代を中心とした地元住民や近隣に勤めるビジネス層らを集客していました。

きよきよでは、コロナ禍の逆風の中「徹底した感染予防策」を実施。さらにコロナの影響による休業期間を利用して「社員教育」を行い、“人に会いに来たくなる店”を目指した「接客の質の向上」にも注力したそうです。

【施策一覧】

  • 「入店時の手指の消毒」「常時、窓を開けて換気」など、8つの感染予防策を実践
  • できるだけ客同士の距離が空くように席を案内
  • メニュー表は、来店客が入れ替わるごとに消毒したものをスタッフが手持ち。(コミュニケーションのきっかけにも)

このように、コロナ禍においていち早く「感染対策」を徹底し売上を回復させたことに加え、「社員研修」のおかげで、社員同士のコミュニケーションも活発になり、これまで以上にお客様のために何ができるかを考え動けるようになったとのこと。マクロ環境を理解した上で「脅威」を逆手にとり、「機会」に変えた良い事例です。

海外でも成功を収めるユニクロの成功理由をPESTで分析! ── 地域特性を理解したローカル・マーケティング戦略

続いて海外での「PEST分析」をうまく活かした事例として、日本のアパレル業界を牽引するファッションブランド「ユニクロ」のマーケティング戦略をみてみましょう!

海外の「マクロ環境理解」がユニクロ成功のキーポイント

カジュアルファッションブランドとして人気の「ユニクロ」は、近年、海外事業にも力を入れています。なんと日本国内よりも海外の方が店舗数・売上ともに上回っているのです。

ユニクロの海外事業で注目すべき点は、国や地域ごとの異なるニーズに対応してマーケティングを行っていること。日本と海外地域では、文化や気候、政治といったあらゆるマーケティングの要素が異なるため、ユニクロは国や地域単位で緻密にPEST分析を行い、海外事業での好業績につなげていることで知られています。

  • 中国では、日本製品の品質の良さを訴求し、やや高級感があるブランドとして価格帯を見直し。またIT先進国という地域特性をいかし、コロナ禍においてECの拡大を加速
  • インドでは、伝統の普段着クルタと人気デザイナーがコラボした「クルタ・コレクション」を展開
  • アメリカのロサンゼルスは冬でも暖かいため、一年を通してショートパンツを販売
  • イギリスでは、漢字やアニメキャラクターのプリントTシャツなど、ジャパニーズポップカルチャーを取り入れたラインナップを充実
  • ルーヴル美術館など多くの美術館が立ち並ぶパリのリヴォリ通りに、「ファッションカルチャーの融合」をテーマにした新店舗をオープン

久保真介
久保真介

海外でPEST分析をおこなう際は、

  • (P)政権交代のリスク
  • (E)経済成長率や平均所得
  • (S)人口構成、文化的・宗教的な背景から自社の製品をどうカスタマイズすれば売れるのか。現地人材を採用するにあたっての教育水準。
  • (T)スマホの普及率、インターネット回線の速度、交通インフラ水準

など、日本の常識とは異なる観点からも確認することがポイントです!

コンビニ業界第3位のローソンの戦略をPESTで分析! ── 社会トレンドを掴んだ差別化戦略

最後に、コンビニ業界におけるローソンの事例を紹介したいと思います。セブンイレブン・ファミリーマートといった競合と戦う中、ローソンはPEST分析を活用しどのような差別化戦略をとっていったのでしょうか。

トレンドに乗った「糖質オフ」商品など"ヘルシー戦略"で差別化

ローソンは年々店舗数を増やしており、通常の店舗展開に加え、ナチュラルローソンやローソン100などのバリエーションを展開しています。また学校・オフィスビル・病院など、これまでコンビニエンスストアがなかった場所への出店も、他チェーンに先駆けて行っています

そんなローソンの差別化要素は「ヘルシー商品」。これまで「コンビニの商品はからだに良くない」という印象がありましたが、ローソンでは、健康関連の商品や、健康をサポートする食品を展開しています。例えば、糖質が少なく食物繊維が多いブランを使ったパンは大ヒット商品となりました。

またナチュラルローソンでは、合成保存料を使用せず、お菓子や加工食品も国産の原料を使ったものをできるだけ扱い、特定保健用食品の販売も積極的に展開しています。他にも調剤薬局機能を備えた店舗など、自治体や医療機関とのコラボも進めているそうです。

これは「超高齢化社会」といわれている日本において、「健康志向の高まり」をいち早く商品・サービスに落とし込むことに成功した事例といえるでしょう。

久保真介
久保真介
「ヘルスネス」は今や若い世代でも注目度の高い分野です。このビッグトレンドをいち早く察知してポジションを築き、業界1位、2位のセブンイレブンとファミリーマートに対して競争優位を築けた事例ですね。

【まとめ】PEST分析は戦略立案の第一歩!!

PEST分析は「マクロ環境」をとらえ、「社会や市場の状況」を包括的に理解・予測するための、シンプルでありながら汎用性の高いフレームワークです。

「PEST分析」で得られた結果は、マクロ環境分析→ミクロ環境分析→自社の戦略立案・経営判断→具体的な施策の実行といった流れで活用できるので、自社のマーケティング戦略立案を行うための”最初の一歩となるツール”ともいえます。

今回ご紹介したように、様々な業界や企業でPEST分析が行われています。皆さんも「世の中の流れ」や「現代の社会ニーズ」をいち早く察知し、ビジネスの「機会」や「脅威」をいかせるよう、PEST分析を日常的に行うようにしていってください!

PEST分析の無料テンプレートはこちらから→(※現在準備中)

【参考資料】

ABOUT ME
SIN
サロン経営を猛烈な赤字でスタート。マーケティングを駆使しながら圧倒的な黒字化の仕組みを構築。サロン経営者にコンテンツセールスやコンサルをスタート。3年で複業月収8桁を達成。600名以上が登録する無料オンラインサロン(MAKE TIME)や、”ロイヤル顧客リピートで満席の仕組み”を構築できる完結型コンテンツを無料で提供。コンサルタントとして50件以上のサリンを年商800万~3000万以上UPさせた実績を持つ。現在では、サロン経営の仕組み化や、複業のサポートコンサルを継続中。

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