3C分析の〝3C〟とはCustomer, Competitor, Companyの頭文字を表し、それぞれ「市場・顧客」「競合」「自社」と訳されます。3C分析とは、これら〝3つのC〟を総合的、網羅的に分析して自社を取り巻く市場を理解するフレームワークです。マーケティング戦略の構築時に使われ、非常に重要な役割を果たします。
3C分析の〝3つのC〟はマーケティング全体の基本中の基本とも言えるものです。3Cを深く理解することによって強いマーケティング戦略は生まれます。そんな、環境分析の基本ツール「3C分析」について詳しく解説していきます。
最大手美容室チェーンで売上.指名共に1位を獲得し独立するものの猛烈な赤字でスタート。マーケティングを学び駆使した後、圧倒的な黒字化の仕組みを構築。サロン経営者にコンテンツセールスやコンサルをスタート。3年で複業月収8桁を達成。600名以上が登録する無料オンラインサロン(MAKE TIME)や、”ロイヤル顧客リピートで満席の仕組み”を構築できる実践型のオンラインサロンを運営。コンサルタントとして50件以上のサロンを年商800万~3000万以上UPさせた実績を持つ。現在ではサロンのロイヤルリピート経営の仕組み化や、複業のサポートコンサルを継続中。
マーケティングの基本「3C分析」とは? 〝3つのC〟で市場を分析しょう!
冒頭で述べた通り、3C分析とはCustomer, Competitor, Companyという〝3つのC〟を分析するフレームワークです。
【3C分析の〝3つのC〟】
- 市場・顧客 : Customer / Consumer
- 競合 : Competitor
- 自社 : Company(※原著ではCorporation)
3C分析は、マッキンゼーの日本支社代表を務めていた大前研一さんにより考案されました。1984年に出版した著書『The Mind of the Strategist(ストラテジック・マインド)』の中で発表され、次のように述べられています。
およそいかなる経営戦略の立案に当たっても、三者の主たるプレイヤーを考慮に入れなければならない。すなわち、当の企業=自社(Corporation)、顧客(Customer)、競合相手(Competitor)の三者である。
この〝戦略的3C〟は、それぞれ自らの利害と目的を持つ、生きた存在である。三者を一括して、われわれは〝戦略的三角関係〟と呼ぶことにしよう。
── 大前研一 著『StrategicMind 2014年新装版(Kenichi Ohmae business strategist series)(Japanese Edition)』(good.book, 2014年)p.138より(※ 太字は当サイトにて編集)
どんなビジネスでも、大前さんが提唱する〝3つのC〟を考えずに戦略を立てることはできません。なぜなら、そもそもの戦略が次のように定義できるからです。
自社、顧客、競合相手という三つの主要なゲーム・プレイヤーを用いて〝戦略〟を定義すれば、「戦略とは、自社の相対的な企業力を用いて顧客のニーズをより満足させ、競合相手との差を最大化すべく努めること」ということになるだろう。
── 大前研一 著『StrategicMind 2014年新装版(Kenichi Ohmae business strategist series)(Japanese Edition)』(good.book, 2014年)p.140より(※ 太字は当サイトにて編集)
このことからわかる通り、3C分析とは、マーケティングや戦略立案も含め、ビジネス全般における基本中の基本となる考え方なのです。
3Cは「大前のストラテジック3C」とも呼ばれ、マーケティングや経営戦略に関する本を開けばどこの国の本であっても必ず触れられている重要な概念です。他にもたくさんのビジネスフレームワークがありますが、それらすべての基盤となっている考え方と言っても良いかと思います。
3C分析の〝3つのC〟とそれぞれの分析方法
3C分析のフレームワーク自体は非常にシンプルでわかりやすく、「当たり前」とも思えるものですよね。ただし、理解するのは簡単でも、実際に使いこなすのは難しいものなのです!
【ポイント】
3C分析は「① Customer(市場・顧客)」→「② Competitor(競合)」→「③ Company(自社)」という順番で分析するのが一般的です。
分析の方法やポイントを順番に解説しましょう。
Customer(市場・顧客)
〝3つのC〟の中でも特に重要なのが「市場分析」「顧客分析」です。これだけのモノやサービスが溢れた世の中でお客さまにプロダクトを買ってもらうには、何かしらの理由が必要です。したがって、自社の製品や広告戦略に工夫をするためにまずはお客さまのことを知らなければならないのです。
ここで重要なのは、「市場」と「顧客」は3C分析ではCustomerと一括りにされてしまっていますが、市場分析と顧客分析では分析の視点が異なるという点です。
Customerの分析では、まず先に「市場分析」で購買人口、市場規模、成長率などを捉え、
- そもそも市場はあるのか(十分なニーズはあるのか)
- 今後の成長は見込めるか(ニーズは増えそうか)
などを検討します。その後、よりミクロな視点で「顧客分析」を行い、
- どのようなニーズがあるのか
- どんな購買決定のプロセスを辿っているのか(=カスタマージャーニー)
- 誰に決定権があるのか(=DMU : 意思決定者)
- 何が決め手で購入を決めているのか(=購買決定要因・KBFのリサーチ)
などを深掘りしていきます。つまりは、市場・顧客から自社にとっての「機会」や成功のカギを探していくのです。
Competitor(競合)
事業計画を立てるうえで、競合のリサーチは欠かせません。どんなに良いプロダクトをつくったところで、競合がもっと良いものを提供していたら競争に勝つことはできないからです。かの有名なマーケティング界の重鎮、フィリップコトラーも次のように述べています。
“企業は満足した顧客をつねに失っている。顧客は、より満足を与えてくれる競合他社に乗り換えていく。企業は競合他社以上の満足を提供しなければならない。”
── フィリップ・コトラー 著『コトラーのマーケティング・コンセプト』(東洋経済新報社, 2003年)P.061より
競合分析では、業界の競争状況を調べるとともに、他社の公開情報などを使って競合の「強み」と「弱み」を明らかにしていきます。インターネットなどで競合のアウトプットをチェックするのはもちろん、プロダクトを実際に体験してみたり、使用者から意見を聞いてみたりするするのも重要です。
Company(自社)
自社分析のキーワードは「強み」です。市場の機会を活かし、競合と差別化できる「強み」を探すのです。しかしここで大事なのが、「そもそも強みとは?」という問い、つまり強みの定義です。強みとは、以下の2つを満たしたものを言います。
【強みの定義】
- 競合他社と比較して優れていること
- 売上や利益に直結すること(≒KSFに直結すること)
具体的には、自社の「ヒト・モノ・カネ・情報」といった経営資源(リソース)を把握して、強みとなり得るものを探します。あるいは、「バリューチェーン分析」などを通して自社の活動を分解し、どこで付加価値を生み出し、どこで無駄なコストをかけてしまっているのかを把握します。
3C分析の重要な目的は「KBF」「KSF」を見つけ出すこと!
3C分析は事業戦略やマーケティングの方向性を決める重要なものですが、特に重要な目的は「KBFとKSFの発見」にあります。
【ポイント】「KBF」とは「Key Buying Factor(購買決定要因)」のことで、顧客が商品を買う理由を意味します(→詳細 : KBFとは?)。
「KSF」とは「Key Success factor(重要成功要因)」のことで、業界の中で事業を成功させるカギを意味します(→詳細 : KFSとは?)。
KBF : 購買決定要因
お客さまが商品を買う理由であるKBFは、「お客さまにとっての価値(≒ベネフィット)」に直結します。ここを深掘りすることで、お客さまが欲しくなる商品が開発できたり、お客さまに響くプロモーション戦略ができたりするわけです。
KSF : 重要成功要因
業界の中で成功するためのカギであるKSFは、市場や競合を分析して業界を理解し、成功している企業の共通点や失敗した企業との違いを深掘りすることで見つかります。
業界のKSFがそのまま自社にとって重要なポイントとなるとは限りませんが、業界をよく知りKSFを知ることで、戦略を立てる際の知見が広がります。また、業界のKSFと自社の強み、市場の機会などを掛け合わせて自社にとってのKSFを設定することで、戦略立案の柱となります。
3C分析から得られるその他の成果物
3C分析から得られる情報はKBFやKSFだけではありません。ざっと考えるだけでも、以下のように事業戦略やマーケティング戦略の立案に重要な情報が山ほど手に入るのです!
【3C分析の成果物】
- 市場の規模や成長性などのデータ
- 顧客の特性やニーズ、カスタマージャーニーなど
- マークすべき競合の特定
- 自社の「強み」と「弱み」の把握
- 自社にとっての「機会」と「脅威」の把握
そして、これらの成果物を踏まえてマーケティング戦略を立案していくわけです。
【メモ】3C分析の代わりに「5C分析」を用いることもある
なお、3C分析の発展形として「5C分析」というものもあります。これも3C分析と同じく大前研一さんが提唱したもので、時代変化を反映して「Currency(通貨)」「Country(国)」という〝2つのC 〟を新たに追加したものです。
その後、私は日本で企業戦略の立案をお手伝いするという立場で、特に日本企業の海外進出を長い間やりましたが、あと二つのCが必要だということが分かりました。
一つは通貨、「カレンシー(Currency)」です。この本を書いたときは1ドル三六〇円でしたが、その後、1ドル七〇円幾らというところまで、四倍以上円が強くなります。日本企業は、同じものを輸出していたときにドルで受け取るお金が四分の一になってしまうという苦痛を味わいました。こうして「カレンシー」というものに対してどのように対処していくか、というのが問題となりました。(中略)
もう一つのCというのは「カントリー(Country)」です。例えば、日本企業が中国に展開しているときに暴動の影響を受けたり、あるいはイランで操業をやっているところがイラン革命によって工場ごと取り上げられたり、「カントリー」というものはやはり非常に大きな影響がある。
── 大前研一 著『StrategicMind 2014年新装版(Kenichi Ohmae business strategist series)(Japanese Edition)』(good.book, 2014年)p.133-134より(※ 太字は当サイトにて編集)
新たに追加された2つのCは、3Cから立案した戦略を「海外を絡めた視点」で考察・ブラッシュアップするために使われます。
最初の三つのCで立案した企業戦略を、「カレンシー」と「カントリー」という二つの要素で考察して最終的な戦略を作っていかなくてはいけない、というのがこの四十年ぐらいの間に起こった主な変化だと思います。
── 大前研一 著『StrategicMind 2014年新装版(Kenichi Ohmae business strategist series)(Japanese Edition)』(good.book, 2014年)p.134より
3C分析はマーケティングの中でどう活用される?── マーケティングの全体像
ここまでに解説した通り、3C分析は「環境分析の中心」とも、「マーケティングの出発点」とも呼べるものです。ここまでのおさらいとまとめも兼ねて、3C分析も含めたマーケティング戦略の全体像を簡単に解説いたします。
① PEST分析, 3C分析, SWOT分析などで〝成功のカギ〟を見つけ出す
事業戦略、マーケティング戦略を考える際にまずやるべきなのは「環境分析」です。3C分析も含め、以下のようなフレームワークを総合的に使用します。
- PEST分析 : 政治・経済・社会・技術の4要素からマクロ環境(与えられた環境)を分析する(→ PEST分析とは?)
- 3C分析 : 顧客・市場、競合、自社を総合的、網羅的に理解する
- アドバンテージ・マトリックス : 市場の「競争変数の数」と「競争優位の構築難易度」を評価する
- 5F分析(ファイブフォース分析) : 業界内の競争、新規参入者、代替品、買い手、売り手という5つの要素から、業界内の収益性を分析する
- Point of X分析 : 競合と自社を比較分析して、差別化できる強み(POD)を探し出す
- バリューチェーン分析 : 事業活動を機能ごとに分類して、どのプロセスに「強み」や「弱み」があるか分析する
- SWOT分析 : 自社の内部環境を「強み」と「弱み」に、外部環境を「機会」と「脅威」に整理して分析する
これらの環境分析を通して、
- 自社にとっての「機会」
- 差別化ポイントとなる「強み」
- 自社のビジネスの成功のカギを握る要素(KSF)
を理解します。
② リサーチを踏まえてターゲットやポジションを明確にする
①のステップで分かったことを踏まえてマーケティング戦略を考えていきます。重要なのは「STP分析」です。
【ポイント】STP分析とは、まず顧客を適切な要素にグルーピングし(=セグメンテーション)、そこから事業のターゲットを選び取り(=ターゲティング)、自社の差別化ポイント等を踏まえて取るべきポジションを決める(=ポジショニング)ことです。
なお、〝STP〟とはSegmentation, Targeting, Positioningの頭文字です。(→詳細 : STPとは?)
近代マーケティングにおいて、このSTPを明確にすることが非常に重要視されています。現代は世の中に商品が溢れて「供給過多」「顧客不足」となったうえに、企業間の技術差が小さくなって商品自体の差がつきにくくなっています。そんな中で自社の商品を知ってもらい、選んでもらうためには、自社の強みを最大限に活かして他社と「差別化」し、お客さまの頭の中に独自の「ポジション」を築くことが何よりも大事なのです。
③「4P分析」で具体的なマーケティング施策を立案する
STPでマーケティング戦略を定めたあとは、より具体的な戦術や施策(= マーケティング・ミックス)を考えていきます。ここで重要なのは「4P」です!
【ポイント】4P分析とは、商品(Product)、価格(Price)、チャネル(Place)、広告宣伝(Promotion)について具体的に決めることです。
4Pを考える際に重要なのは、4PやSTPの各要素の間に一貫性・整合性を持たせることです!
このようにして強い差別化ポイントを作り出し、それにマッチしたSTP-4Pを定めて打ち出すことで、ビジネスが成功するのです。
3C分析の活用例 〜P&Gのジョイが花王・ライバルからシェアを奪った事例を3C分析で読み解く〜
以上の通り、3C分析はマーケティングプロセスのなかで重要な役割を果たします。そんな3C分析の具体例として、P&Gの台所洗剤「ジョイ」のマーケティング成功例を分析してみましょう。
「マーケティング」という強みを活かしたP&G
P&Gが「ジョイ」ブランドを引っ提げて日本の台所用洗剤市場へ参入したのは1995年のことです。アメリカの企業であるP&Gが市場に参入したときにはすでに、花王とライオンが市場シェアの8割を独占している状態でした。しかも、長期にわたる2強の寡占状態により、市場自体が縮小傾向にあったのです。
しかしP&Gは、そんな状態からたった3年で市場シェアトップに躍り出ます。そこには、P&Gの見事なマーケティング戦略があったのです。
顧客分析から生まれた「除菌もできるジョイ」
「ジョイ」成功のきっかけになったのは、1998年の「除菌もできるジョイ」の発売です。この商品の誕生には、徹底した顧客理解という秘密がありました。
競合の花王・ライオンの商品に目立った問題はなくて不満を抱える顧客は少なかったものの、どのブランドにも特別な愛着や印象がなかったために、基本的に「値段」だけがどの商品を買うか決めるポイント(=KBF)となっていたそうです。
そこでP&Gは自社の「マーケティング力」という強みを活かして、差別化できるポイントを探すことにしたのです! アンケートやインタビューで顧客が食器用洗剤に求めるものを徹底的に調査したところ、市場には
- 手肌にやさしい洗剤がいい
- 油汚れがしっかり落ちて欲しい
- スポンジの菌が気になる
というニーズがあることを突き止め、それが「除菌のできるジョイ」の誕生につながったのです。
3C分析を行う前に!知っておくべき注意点や効果的な分析を行うポイント
このように、3Cを深く理解できれば強いマーケティング戦略を立案できます。ただし、3C分析はシンプルすぎて、逆にうまく使いこなせない人が多いのは前述の通りです。そこで、3C分析のコツや注意点を5つご紹介しましょう!
【ポイント①】「仮説」を持って分析する
3C分析だけではないですが、環境分析は「仮説」を持って調査することが非常に大切です。なぜなら、顧客にはあらゆるタイプの人がいますし、市場や競合の分析もすべてを網羅しようと思えばキリがありません。
簡単な調査から自社にとっての「機会」や「脅威」の仮説を立てておくことで、効率よく3C分析を進めて必要な情報を得ることができます。
【ポイント②】3Cは流動的である(≒〝顧客〟や〝競合〟の定義が重要)
インターネットの普及やボーダレス化などが進んだ現代では、以前よりも3Cの流動性が高まっています。つまり、
- 〝顧客〟とは誰なのか?
- 〝競合〟とはどの会社なのか?
という定義が難しくなっているのです! 3C分析の提唱者、大前さんも、『ストラテジック・マインド』の改訂版を出版した際の加筆部分に以下のように残しています。
三つのCというのは常に変転している。だからこそ今、本当の「カスタマー」というのは誰なのか、私にとって本当の「競争相手」というのは誰なのかということを新たに考える意味で、この三つのCというのは一層重要になっているという考え方もできます。一方、あまりにも昔ながらのカスタマー、昔ながらのコンペティターというような3C概念で分析した場合には視野が非常に狭くなるリスクがあると思っています。
── 大前研一 著『StrategicMind 2014年新装版(Kenichi Ohmae business strategist series)(Japanese Edition)』(good.book, 2014年)p.137より(※ 太字は当サイトにて編集)
この記述からわかる通り、3C分析をする際は「顧客の定義」「競合の定義」を明確にすることが非常に大切なのです。
【ポイント③】戦略立案の単位を見極める
【ポイント②】にも関連しますが、戦略立案の単位をどうするのかも3C分析の重要ポイントです。つまり、複数事業をまとめて考えて戦略を立てるべきなのか、分けてそれぞれに考えるべきなのか、ということです。
また競合について考えるときも同じことが言えます。競合他社のことを分析する際、自社事業と競合している事業だけを見るのか、もう少し広い視野で見る必要があるのかは検討する必要があるのです。
1つ例を挙げましょう。たとえば、〝 Webライター 兼 Webデザイナー〟として活動しているフリーランスの人が、自身の売り上げアップを目指して戦略を考えるとします。そんな場合、以下のどちらを選ぶべきなのでしょうか。
- 「Webライティング」「Webデザイン」をそれぞれ別事業として戦略を立てる
- 「WebライティングもWebデザインもできる」として戦略を立てる
このポイントについて、大前さんは著書のなかで、
〝戦略的三C〟に対応するに必要な自由度を失わないためには、戦略立案単位をあまり狭く規定しないようにしなくてはならない。
── 大前研一 著『StrategicMind 2014年新装版(Kenichi Ohmae business strategist series)(Japanese Edition)』(good.book, 2014年)p.145より
と述べる一方で、
逆に過度に広義に定義された戦略立案単位も、本当に効果的な戦略を展開できないだろう。
── 大前研一 著『StrategicMind 2014年新装版(Kenichi Ohmae business strategist series)(Japanese Edition)』(good.book, 2014年)p.145より
とも述べています。単一事業のみで考えると、自社の強みや本当に脅威となる競合を見落としてしまうおそれがある一方で、あまりにも範囲を広げてしまうと戦略立案時のノイズが増え、無駄に複雑になってしまうのです。
大前さんの言う通り、適切な範囲設定は大事ですね。たとえば先ほど挙げたフリーランスの例であれば、ぼくなら「Webライティングも得意なWebデザイナー」として戦略を検討します。WebライターよりWebデザイナーの方が単価感が良いのでそちらを主軸に据えつつ、「Webライティングも得意」という付加価値で差別化するという戦略の仮説が立つわけです。
そのように自分のポジションを明確にすると、「市場・顧客」や「競合」をどう定義するかも考えやすくなるかと思います!
【ポイント④】3Cのすべての要素をバランスよく見る
「3Cのどれかばかりに注目し過ぎてしまう」というのは、 3C分析でありがちな失敗例(または3C分析をしないことによる失敗例)です。たとえば競合ばかりに意識が向いて顧客を見ていないせいで、競合とのスペックや価格の勝負ばかりしてしまうとか、逆に顧客ばかりを見ていて競合に出し抜かれる、なんてケースはよくあります。
3Cのすべての要素を網羅的に俯瞰して理解したうえで、自社の取るべきポジションを適切に設定することが重要なのです。
【ポイント⑤】3C分析だけで答えは導けない(というマインドが重要!)
ここまでにも解説してきた通り、3C分析は他のフレームワークやマーケティングのプロセスの中で力を発揮します。逆に言えば、3C分析だけで答えを導き出すのは難しいのです!
3C分析の考案者、大前さんの言葉を引用しましょう。
この本を出してからの数十年の間に、私はこの三つのCということをあまり言わなくなってきています。その理由は、三つのCだよと言うと、いい生徒ほど三つのCで考えようとします。そうすると、もともとマインド(心、あたま)で考えろと言っているのに、そういった標語のようなものに固執して考えるようになります。フレームワークが非常に危険なのは、「あたまで考えることなく、答えを出すためにフレームワークを使ってしまう」という点です。何か質問が与えられるなど問題が発生すると、どこかのフレームワークを持ってきて答えを見つけようとしてしまうのです。
── 大前研一 著『StrategicMind 2014年新装版(Kenichi Ohmae business strategist series)(Japanese Edition)』(good.book, 2014年)p.134-135より(※ 太字は当サイトにて編集)
大前さんが述べている通り、一番大事なのは「自分の頭で考えること」です。PEST分析、3C分析、SWOT分析、STP分析、4P分析など、さまざまなフレームワークがありますが、それらにとらわれることなく柔軟に使いこなし、最終的には自分の頭と直感で戦略を立案し、実行していくことが大切なのです。
【まとめ】3C分析はマーケティングの基本であり原点!
3C分析は、顧客・市場(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)という〝3つのC〟を網羅的・総合的に分析し、戦略立案やマーケティングの方針決定に役立てるフレームワークです。PEST分析や5F分析などさまざまな手法と併用して分析するなかで、顧客が商品を買う理由(=KBF)や市場での成功要因(=KSF)などを導き出します。
3C分析やSTP、4Pなどマーケティングを理解し使いこなせれば、ビジネスの成功率はグッと高まります。これは、企業のマーケティング担当の人の話だけじゃなくて、小さな個人店舗にもフリーランスにも言えることです。
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【参考資料】
- 大前研一 著『StrategicMind 2014年新装版(Kenichi Ohmae business strategist series)(Japanese Edition)』(good.book, 2014年)
- グロービス経営大学院 編著『[新版] グロービスMBA経営戦略』(ダイヤモンド社, 2017年)
- グロービス・嶋田毅 著『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』(ダイヤモンド社, 2015年)
- グロービス・嶋田毅 著『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス分析ツール50』(ダイヤモンド社, 2016年)
- 金森努 著『勝手分析&現場取材 “いま”をつかむマーケティング あれがヒットしたワケ・顧客が集まるヒミツ』(アニモ出版, 2011年)
- 津崎盛久 著『道具としての経営理論』(日本実業出版社, 2012年)
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