マーケティングとは何か。一言で簡単にまとめると、マーケティングとは「売れる仕組みをつくること」です。
マーケティングの入門書として有名な『ドリルを売るなら穴を売れ』では、「マーケティングとは、顧客に価値を提供してお金をいただくこと」だと述べています。もう少し詳しく言うと、「商品やサービスを買っていただくためにお客様にとっての価値を考え、生み出し、提供してお金をいただくこと」、それがマーケティングだというわけです。
言い換えるなら、マーケティングとは「誰に(who)」「どんな価値を(what)」「どのように(how)」提供するのか決める一連のプロセスのことなのです!
マーケティングについて、より詳しく理論や手法、方法論を学んでいくと、SWOT分析、STP、4P、4C、マーケティング・ミックスなどなど、難しそうな専門用語がたくさん出てきます。でも実のところ、マーケティングの基本的な考え方自体は難しいものではありません。
自社のことや顧客のことを調べて考え抜き、誰に向けて商品をつくるのか決め、商品を通してどんな価値を届けるのか決める。これらを踏まえて商品設計や価格、出店場所などを決めていくこと。このような、事業をするうえで当たり前にやっているようなことこそがマーケティングなのです。
ただし、マーケティングは当たり前のことだからこそ奥深く、効果的なマーケティング施策を行うのは難しいものです。そんなマーケティングについて、今回はその目的や重要性、具体的な進め方など、「マーケティングの全体像」をわかりやすく簡単に解説いたします。
最大手美容室チェーンで売上.指名共に1位を獲得し独立するものの猛烈な赤字でスタート。マーケティングを学び駆使した後、圧倒的な黒字化の仕組みを構築。サロン経営者にコンテンツセールスやコンサルをスタート。3年で複業月収8桁を達成。600名以上が登録する無料オンラインサロン(MAKE TIME)や、”ロイヤル顧客リピートで満席の仕組み”を構築できる実践型のオンラインサロンを運営。コンサルタントとして50件以上のサロンを年商800万~3000万以上UPさせた実績を持つ。現在ではサロンのロイヤルリピート経営の仕組み化や、複業のサポートコンサルを継続中。
【簡単に解説】マーケティングとは?|マーケティングの定義と重要性
マーケティングは「売れる仕組みをつくること」だと先ほど述べましたが、まずはより厳密な定義を紹介しておきましょう。「マーケティング界の大家」と呼ばれる経済学者、フィリップ・コトラーは、マーケティングを次のように定義しています。
“マーケティングとは、充足されていないニーズや欲求を突きとめ、その重要性と潜在的な収益性を明確化・評価し、組織が最も貢献できる標的市場を選択したうえで、当該市場に最適な製品、サービス、プログラムを決定し、組織の全成員に顧客志向、顧客奉仕の姿勢を求めるビジネス上の機能である。”
― フィリップ・コトラー 著『コトラーのマーケティング・コンセプト』(東洋経済新報社, 2003年)P.005より
つまりどういうことかと言うと、以下のようなことが全部マーケティングの役割ということです。
- 市場のニーズや顧客の欲求を突き止め、儲かるかどうか評価する
- 自社の強みを発揮できるターゲットは誰か考える
- どんな商品・サービスを提供すべきか決定する
- 適切な広告宣伝や流通の方法を決定する
- お客様への価値を高めるための組織づくりをする
どんな商品・サービスをつくって、誰に向けてどんな広告をして、どこで売るのか。お客様に満足してもらうにはどんな組織が必要で、どんなサービスを提供するべきか。このようなことを適切に見極めて「売れる仕組み」を作り上げること、そのための流れ全体がマーケティングというわけです。
「マーケティング」と「広告宣伝(プロモーション)」や「販売(セリング)」の違いは?
ところで、マーケティングはよく「市場調査(マーケットリサーチ)」や「広告宣伝(プロモーション)」、「販売(セリング、セールス)」と混同されます。でも、これらはまったく異なるものです。
まず、「市場調査」や「広告宣伝」はマーケティングのほんの一部です。マーケティングは「売れる仕組みをつくること」ですので、その具体的な手法の一部として「市場調査」も「広告宣伝」も当然入ってくるわけですが、それらだけがマーケティングではないのです。
また、「販売」と「マーケティング」は一見似ているように思えますが、実は似ているどころか正反対とも言える活動です。かの有名な “経営学の父” ピーター・ドラッカーは、著書『マネジメント』で次のように書き残しています。
“マーケティングの目的は、販売を不必要にすることだ。マーケティングの目的は、顧客について十分に理解し、顧客に合った製品やサービスが自然に売れるようにすることなのだ”
──ピーター・F・ドラッカー 著, 上田惇生 訳『[エッセンシャル版] マネジメント – 基本と原則』(ダイヤモンド社, 2001年)より
つまり、“売る”のが「販売」、”売れるようにする”のが「マーケティング」というわけです。
現代のビジネスにはマーケティングが絶対に必要な理由
近年「マーケティング」や「マーケター」という言葉を見聞きする機会が増えましたが、マーケティングはいまどうして重要視されているのでしょうか?
現在の日本は、少子高齢化、バブル経済崩壊、リーマンショック後の不況によってマイナス成長時代に突入しています。また、新型コロナウイルスの蔓延によって、顧客の購買力、購買意欲も低下しています。つまり、簡単にはモノが売れない時代になっているのです!
さらに、インターネットの普及に伴い、誰もが簡単にモノや情報を手に入れることができる世の中になりました。たとえ良い商品やサービスを作ったとしても、多数のライバル企業の中から顧客に自社商品を選んでもらわなければ生き残っていけません。
このような現代のビジネス事情を踏まえると、お客さまに自社の商品を買ってもらうためには、効果的なマーケティング施策が昔以上に欠かせなくなっているのです。
マーケティングって具体的に何をするの?|基本的なマーケティングの手法・戦略
マーケティングの最終的なゴールは「マーケティング・ミックス」を決めることです。つまりどういうことかというと、簡単に言えば、以下の4つを決めるとことだと言えます。
- 商品(Product): どんな商品・サービスを売るか
- 価格(Price): いくらで売るか
- 広告宣伝(Promotion): どのような広告宣伝をするか
- 流通、チャネル(Place): どこで売るか
これら4つをまとめて「4P」と言います。この4Pをうまく定めることができれば「売れるビジネスにする」ことができます。したがって、4Pを適切に設定できるようにさまざまな調査や分析を行い、戦略を立てるわけです。
ただし、現在のマーケティングはかなり多様化・再分化されており、どんな分析手法やマーケティング戦略を使うかは企業によって違います。これから基本的なマーケティングの進め方を簡単に解説していきますが、「マーケティングのやり方に絶対の正解はない」ということを忘れないでおきましょう。
【ステップ➀】市場分析をする:自社と市場のことを知る
市場分析(市場調査)とは、自社の商品やサービスの認知度、顧客のニーズ、市場の動向や成長率を調査し、分析することです。このステップでは、PEST分析、3C分析、5F分析、SWOT分析などといった手法が使われます。今回は一例として、よく使われる分析方法のひとつ、「SWOT分析」を解説しましょう。
SWOTとは「Strength(強み)」「Weekness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の頭文字を取ったものです。
- 強み(Strength):自社の強みや得意とすること
- 弱み(Weekness):自社の弱みや苦手とすること
- 機会(Opportunity):自社にとって好機となる環境の変化
- 脅威(Threat):自社を脅かす危険性のある変化や脅威
SWOT分析では、Strength(強み)とWeekness(弱み)を「内部環境」、Opportunity(機会)とThreat(脅威)を「外部環境」と2つに分けて考えます。この分析を行うことによって、市場の中での自社のポジションを客観的に把握することができ、新たな戦略を練ることができるのです。
【ステップ➁】戦略を立てる:顧客を分類し、絞り、自社のポジジョンを決め、評価する
続いて、ステップ①で行った市場調査をもとにして、より戦略の具体性を高めていきます。このステップでは「STP分析」やP&Gの「WWH法」などがよく使われます。
その中でも特に使われる手法が、「マーケティングの神様」とも呼ばれるコトラーが提唱した「STP分析」です。
STP分析とは、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の頭文字を取ったものです。
- セグメンテーション(Segmentation):顧客を分類すること
- ターゲティング(Targeting):分類した中からターゲットの顧客を決めること
- ポジショニング(Positioning):他者との差別化で、自社の立ち位置を明確にすること
このSTP分析をすることで、「誰に(who)」「どんな価値を(what)」届けるのかが明確になります。また、他社との差別化戦略もここで大枠が決定しますので、これらが4Pを決めるうえでのベースとなっていきます。
【ステップ⓷】マーケティングミックスを定める:具体的な実行戦略を立てる
マーケティングミックスとは、4Pを決定することだと前述しました。でもより正確に言うと、マーケティングミックスとは「実行戦略」のことです。具体的には4Pが使われることが多いですが、「7P」や「4C」などが用いられることもあります。
7Pも4Pと同じくコトラーが提唱したもので、4Pに「Personnel(ペルソナ)」「Process(販売や業務の過程)」「Physical Evidence(顧客心理)」を新たに加えたものです。サービス業などでよく用いられている手法です。
また、4Pや7Pは企業側の視点で構成されていますが、顧客側の視点に立ったマーケティングミックスが「4C」です。
- 価値(Customer Value):商品(Product)は顧客のニーズを捉えていて、価値があるか
- コスト(Cost):価格(Price)は妥当か
- コミュニケーション(Communication):広告宣伝(Promotion)は納得ができるものか/li>
- 利便性(Convinience):流通(Place)が充実していて買いやすいか
「4P」と「4C」はそれぞれの要素が対応していますので、両者の視点をもってマーケティング戦略を練っていくことが重要です。
【ステップ➃】PDCAを回す、戦略を実行し、評価する
マーケティングは実行戦略を決めて終わりではありません。戦略を実際に実行に移したあと、戦略が狙い通りにうまくいっているのかを評価して、それもとに必要があれば改善を加えていくこともマーケティングの大事な要素です。そんな、実行と改善のプロセスのことを「PDCAサイクル」と言います。
PDCAは、「品質管理の父」と呼ばれるアメリカ人統計学者のデミング博士が提唱したもので、以下の頭文字を取ったものです。
「Plan:計画」→「Do:実行」→「Check:検証」→「Action:改善」
マーケティングはすぐに効果が出るものではないため、PDCAサイクルを回しながら取り組み、持続的に戦略を改善していくことが、企業の成長につながるのです。
マーケティングをもっとよく学ぶなら?初心者の入門におすすめのマーケティング本5選
マーケティングの基本をここまで説明してきましたが、もっとよく学びたい方におすすめの本を5冊紹介しましょう。今回選んだ本は、どれもマーケティングの入門書として分かりやすいものばかりです。簡単なものから順番に並べているので、紹介している順番で読んでいくことをおすすめします。
➀『ドリルを売るには穴を売れ』(佐藤義典 著)
まず紹介したいのは、マーケティング初心者への名著と言われることも多い『ドリルを売るには穴を売れ』です。このタイトルを見てパッとその意味が分からない、マーケティングの「マ」の字も知らない人向けの本です(笑)。
この本はマーケティングの基礎理論を解説する「解説パート」と、現場での具体的な実践イメージが持てる「ストーリーパート」が交互に展開されていくのですが、ストーリーパートが読み物としてとにかく面白く、文章に引き込まれてすぐに読めてしまいます。
読み終わったあとには、「ぼくたちの日常生活のなかにはマーケティングが溢れているんだ」ということに気付けるようになるはずです。そして、タイトルの意味が分かるようになったあなたは、立派なマーケターの第一歩を踏み出しています。
この本は専門用語の使用を極力抑えて「マーケティングの本質」のみにフォーカスした本ですので、マーケティング初学者はもちろん、インターネット等でマーケティングの情報をいろいろ取り入れ過ぎて、頭の中がごちゃごちゃになってしまっている方にもおすすめです。
➁『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』(森岡毅 著)
この本は、日本を代表するマーケター、森岡毅さんの著書です。森岡さんは、赤字続きだったUSJの大改革を行って、ディズニーランドを抜いて日本一のテーマパークへとV字回復させるという伝説的な成果をあげた方です。
そんな森岡さんが、マーケティングの「基本のき」から誰でも理解できるようにわかりやすく解説しているのが本著です。実際にUSJが行ったイベントやCMについても取り上げられているので、実際にUSJに行った経験やテレビCMを見たことがあれば、「なるほど!そういう狙いがあったのか!」と驚きつつ楽しみながら読み進めることができるでしょう。
また、森岡さんがどういうキャリアや背景をたどってきたのかについても述べられており、敏腕マーケター誕生の秘話にも触れることができる興味深い一冊となっています。
➂『たった一人の分析から事業は成功する 実践 顧客起点マーケティング』(西口一希 著)
この本の著者である西口一希さんは、P&Gの「パンテーン」やロート製薬の「肌ラボ」などのマーケティング戦略を立案した有名マーケターです。この本では、タイトルにもなっている通り、「一人の顧客を深く分析する」マーケティング手法について、「肌ラボ」誕生のきっかけなどを例にあげながら詳しく解説しています。
あなたは「肌ラボ」と聞いて、何をイメージするでしょうか? きっと、テレビCMでみたような「手に吸いつくようなぷるぷるでモチっとしたお肌」ではないでしょうか。
このように日本人のほとんどが商品名だけからイメージを呼び起こすことができるような、日本一知名度の高い化粧水がどのようにして生まれたのか。その鍵を握るマーケティング戦略ついて、著者の西口さんが「マーケター歴3年目だった29歳当時の自分」に向けて書いたのがこの本です。マーケティング成功者が過去の自分に伝えたいこととは何なのか、必読の一冊です。
➃『コトラーのマーケティング・コンセプト』(フィリップ・コトラー 著)
「マーケティングの神様」と呼ばれている、アメリカの経営学者、フィリップ・コトラー博士が本書の著者です。前述したマーケティングミックスやセグメンテーションなどのマーケティング理論を考案した張本人ですね。
コトラー博士の本には難解なものが多いと言われていますが、こちらの本はコトラー博士の本の中で最も読みやすいと言われています。
約20年前に書かれたものですが、現在でも当てはめることができる80のコンセプトを、わかりやすく学ぶことができます。巻末には牽引がおさめられていて、辞書のように使うこともできるので、手元に置いておくと便利な一冊です。
➄『全史×成功事例で読む「マーケティング」大全』(酒井光雄、武田雅之 著)
最後は、600ページ越えの超大作のご紹介です! マーケティングの発展の歴史を振り返りながら、現在も有効な手法、もう使われなくなってしまった手法などを整理することができる一冊です。
マーケティングの歴史を年表を使って説明しつつ、マーケティング理論の発展や変遷を学ぶことができます。また、解説されたマーケティング理論がどのように使われているのかという成功事例もまとめられており、マーケティングの手法をリアルなビジネスシーンでどのように使いこなすかまで学ぶことができます。
この一冊を読むだけでマーケティングを体系的に理解できる名著です、先に紹介した4冊を読んで、マーケティングの大枠を掴んでから読むことをおすすめします。
【まとめ】マーケティングで自分のビジネスを成功させよう!
マーケティングとは、自社や顧客のことを理解し、売れる商品を生み出すための具体的な戦略立案のプロセスのことです。つまり、一言でまとめるなら「マーケティング = 売れる仕組みをつくるプロセス」ということです!
マーケティングは現代のビジネスシーンでは欠かすことができないものであり、それは大企業に限った話ではありません。中小企業や個人事業主、サラリーマンであっても、いや、むしろ規模が小さい立場ほどにビジネスで成功するためにはマーケティングの知識が重要となるのです。
「もっと収入を増やしたい」「もっとキャリアアップしたい」「副業を始めてみたい」などと思っているあなたにとっても、マーケティングの知識はとても役立つものです。まずはこの記事で紹介したマーケティング理論を自分自身の仕事ややりたいことに当てはめて考えてみるのも、マーケティング脳を鍛えることにつながります。
マーケティングへの理解を深めて、社会で活躍できるビジネスパーソンへと自分を磨いていきましょう!
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