マインド・仕事術

『7つの習慣』名言集【ビジネス編】──仕事に直接役立つコヴィー博士の名言7選

世界一売れたビジネス書として有名な、フランクリン・R・コヴィー博士の『7つの習慣』。真の成功者になるために一番大切なのは、テクニックやノウハウではなく「人格」であるという人格主義の考えを軸に、成功するための基本原則や日々実践すべきことをまとめた名著です。((参考)人格主義とは?

本著の中には、ビジネスで成功するために大切な考え方や今すぐ役立つノウハウ、仕事への取り組み方に関する名言なども数多く登場します。

そこで今回は、『7つの習慣』に登場するビジネスに役立つ名言を各習慣ごとに1つずつピックアップして、解説とともにご紹介します。

コヴィー博士の「ハッとするような名言」に触れれば、きっと明日からの仕事にもっと前向きに取り組めるようになるはずですよ。

(関連記事)『7つの習慣』総まとめ ── 世界一の自己啓発本のエッセンスをまとめて解説!(※ 近日公開)

目次
  1. 【名言①】問題は自分の外にあると考えるならば、その考えこそが問題である(第1の習慣「主体的である」より)
  2. 【名言➁】終わりを思い描くことから始める(第2の習慣「終わりを思い描くことから始まる」より)
  3. 【名言③】「ノー」ということを学ぶ(第3の習慣「最優先事項を優先する」より)
  4. 【名言➃】No Dealを選択肢の一つとして持っていれば、余裕を持つことができる(第4の習慣「Win-Winを考える」より)
  5. 【名言➄】共感とは、相手の視点に立ってみることである。(第5の習慣「まず理解に徹し、それから理解される」)
  6. 【名言➅】本当に効果的に人生を営む人は、豊かな資源を活用する謙虚さを持っている人である(第6の習慣「シナジーを創り出す」より)
  7. 【名言➆】人生に立ち向かうとき、使える道具は自分自身しかない(第7の習慣「刃を研ぐ」より)
  8. 【まとめ】『7つの習慣』の名言から、ビジネスの本質を学び実践しよう

【名言①】問題は自分の外にあると考えるならば、その考えこそが問題である(第1の習慣「主体的である」より)

まず第1の習慣「主体的である」からご紹介したいのは、幸せな人生やビジネスの成功の基盤になるような、基本的かつ大切な考え方を示した名言です。

“問題は自分の外にあると考えるならば、その考えこそが問題である。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(キングベアー出版, 2013年)p.106より

この名言は、『7つの習慣』の中心であり、成功するための大前提となる概念「インサイド・アウト」の考え方を端的に示したものです。インサイド・アウトとは「内から外へ」ということ、つまり、まずは「自分自身の内面から始めよう」ということを表しています。

【ポイント】
どんなことが起こったとしても、その事実をどのように解釈して、どんな反応を選ぶかはその人次第です。たとえば上司の曖昧な指示が原因でミスをしてしまいトラブルが起きたとき、上司のせいにして

「私は単に指示に従っただけだし、あの指示じゃこうなるのも仕方なくない?」

と思うのか。あるいは

「上司の指示にも問題があったかも知れないけど、よくわかってないまま安請け合いしてしまった自分にも問題があったな。まずは謝罪と対応を考えて、次回からの再発防止に努めよう」

と考えるのか。長期的な視点で見れば、この違いが仕事の成果や社内での評価に大きな差を生み出すのは明白です。

このように、身の回りに起きた物事に対する「反応」を選べるようになることこそ「主体性」です。この名言は、そんな「インサイド・アウト」の考え方をわかりやすくてハッとする言葉でわたしたちに示してくれています。第1の習慣「主体的である」とはそんな「インサイド・アウト」の考え方を身につけることなのです。

久保真介
久保真介
インサイドアウトについては、以下の参考記事もぜひご覧ください!

「関心の輪」ではなく「影響の輪」にだけ集中しよう!

コヴィー博士が唱える「インサイド・アウト」の真意を理解するには、第1の習慣の解説の中で出てくる「関心の輪」「影響の輪」について知っておくとよいでしょう。

「関心の輪」とは、日々の生活の中で興味関心を抱くものの集合です。仕事の場面でいうと、たとえば上司の機嫌や取引先への返事、ノルマの達成、業績、お客様の声などです。

それに対して「影響の輪」は自分がコントロールできるものの集合を表します。基本的に、影響の輪は関心の輪の内側に含まれます。仕事での例を挙げると、自分で行う業務やそれに向き合う態度、あるいはスケジュールやTo Doなどです。

(図)関心の輪と影響の輪

【ポイント】
ここで大切なのは、自分ではコントロールできない「関心の輪」にばかり反応するのではなく、自分の影響力を行使できる「影響の輪」だけに集中することです。それこそがまさに、コヴィー博士が第1の習慣で述べる「主体性を発揮する」ことなのです。

社会の中で仕事をしていると、日々トラブルの連続ですよね。急な予定変更や無理な要求、ときにはミスをして上司に怒られてしまうなんてことも……。そんな時、ついつい他人や環境のせいにしていませんか? トラブルが発生するたびに不安に駆られ、ストレスを抱えすぎてはいませんか?

「関心の輪」の物事に反応していても、実際に問題は解決しません。なぜなら、自分の影響力が行使できないことがほとんどだからです

このことからもわかるように、最初にご紹介した「問題は自分の外にあると考えるならば、その考えこそが問題である」というコヴィー博士の名言の真意は、自分がコントロールできない「関心の輪」の中にあるものに関しては、時間やエネルギーを使うなということです。コヴィー博士はこのように述べます。

“主体性とは、自発的に率先して行動することだけを意味するのではない。人間として、自分の人生の責任を引き受けることも意味する。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(キングベアー出版, 2013年)p.081より

主体性をもって仕事に取り組むとは、責任感を持って真摯な態度で物事にあたることです。そのような姿勢は周りからの信頼を生み出し、次第に自分の影響の輪が広がっていきます。また、自分がコントロールできることにだけ集中することで、自己コントロール感を身につけることもでき、精神的な安定にもつながります。

この名言は、仕事に取り組むうえでの基本的なマインドセットになることでしょう。

久保真介
久保真介
第1の習慣についてもっと良く知りたい方は、以下の記事をご覧ください!

【名言➁】終わりを思い描くことから始める(第2の習慣「終わりを思い描くことから始まる」より)

次にご紹介するのは、著書『7つの習慣』の第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」の真髄をまさに表した名言です。

“終わりを思い描くことから始めるというのは、目的地をはっきりさせてから一歩を踏み出すことである。目的地がわかれば、現在いる場所のこともわかるから、正しい方向へ進んでいくことができる。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(キングベアー出版, 2013年)p.118より

第1の習慣では、成功者になるためには欠かせない「インサイドアウト」や「主体性」という基本的なマインドセットについて学びました。それでは、実際にビジネスやその他あらゆる活動に取り組む際には具体的にどうすれば良いのでしょうか? それは「終わりを思い描く」こと、つまり目的やゴールをはっきりさせてから仕事に取り組むことだとコヴィー博士は語ります。

【ポイント】
ここで言う「終わり」とは「期限」や「納期」といったデッドラインのことではなく、仕事を完了した(=目的を達成した)と言える具体的な状態を指しています。単にやるべきことをリストアップするだけではなく、成果として会社や世の中、あるいは自分自身にどんな価値を生み出し、自分や同僚、上司、お客様などがどんな心情になるのかまで克明にイメージしてみましょう

イメージが明確であればあるほど、仕事がスムーズかつ効率的に進むはずです。また、課題や疑問点も浮かびやすくなり、上司や同僚とのチームワークも良くなるでしょう。

ミッションステートメントを書き、目的を持って仕事に取り掛かろう

コヴィー博士が言う「終わりを思い描くことから始める」とは、単に仕事への取り組み方を述べただけのものではありません。その真意とは、「自分の人生自体に明確な目的を持って取り組もう」ということです。

【ポイント】
コヴィー博士は、自分の憲法として「ミッション・ステートメント」をつくり、生き方の指針にすることを推奨しています。ミッション・ステートメントとは、仕事や家庭、人間関係など、自分自身がどんな生き方をしてどんなことを達成したいのかという人生の価値観やビジョン、モットーを言葉で表したものです。ミッション・ステートメントを定めることで、行動の軸ができ、意思決定のブレを防げます。(詳細 → ミッション・ステートメントとは?

コヴィー博士は著書『7つの習慣』の中で、ミッションステートメントの作成の重要性を述べています。

“目的を持って始める最も簡単で大きな効果をもたらす方法のひとつは、ミッション・ステートメントを書くことである。そのなかで自分はどうなりたいのか、何をしたいのか、そして、自分の行動の基礎となる価値観や原則を明らかにするのだ”
── スティーブン・R・コヴィー 著『7つの習慣 成功には原則があった!』(キングベアー出版, 1996年)p.141より

行動規範となるミッション・ステートメントを書くことで、自分の判断に迷いがなくなります。ビジネスにおいても、どんな態度で仕事に臨むべきなのか、新たに身につけるべきスキルはないか、あるいは自分の歩むべきキャリアはこのままでいいのかなどを改めて考える機会になり、日々の忙しさに流されるだけの人生から抜け出して主体的な生き方を始めるきっかけになるはずです。

何をすべきか分からないときが一番苦しいものなので、ゆっくり時間を取って自分が仕事で何を大切にしたいのか言語化してみましょう。

久保真介
久保真介

個人だけでなく企業でもミッション・ステートメントの作成は行われており、「社訓」や「企業理念」あるいは「パーパス」などといった言葉で表されています。

スターバックスやユニクロなどといった一流企業では、正社員はもちろんアルバイトやパート社員でもミッションへの理解が求められていて、接客や清掃などといった日頃の業務の中でもミッションに即した行動が重要視されています。このような一貫性がブランド価値を作り出しているのです。

このようなミッションを重視した会社での仕事は自身の成長に繋がりますし、自身の価値観と会社のミッションが一致していればやりがいにもなります。会社選びの参考にしてみるのもいいですね!

ミッションステートメントや第2の習慣について、もっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください!

【名言③】「ノー」ということを学ぶ(第3の習慣「最優先事項を優先する」より)

次にご紹介する名言は、日本人なら少し耳が痛くなるものかもしれません。

“重要な最優先事項に「イエス」と言うためには、他の用事がいくら緊急に見えても「ノー」と言うことを学ばなければならないのだ。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(キングベアー出版, 2013年)p.208より

あなたは「ノー」ということに抵抗を感じてはいませんか? 急な仕事の依頼でも、断るのは体裁が悪いと思ってついつい「イエス」と返事をしてしまっていませんか?

第3の習慣「最優先事項を優先する」では、時間管理の重要性について述べられています。ビジネスセンスやコミュニケーションスキルは個人によって差があります。しかし、時間だけは僕たち人間に平等に与えられている唯一のもの。その時間を有効活用するためには、優先順位を付けて仕事に取り組み、ときには「ノー」という勇気が必要なのです。

そこで大切なのが、そもそも何を優先すべきで何はそこまで重要ではないのかを正しく判断することです。コヴィー博士は、優先順位を考えるためのコツとして、「時間管理のマトリックス」というフレームワークを提案しています。

時間管理のマトリックスを活用して、重要事項を優先しよう

時間管理のマトリックスとは、自分が取り組むあらゆる活動を「緊急度」と「重要度」という2つの軸で4つの領域に分ける考え方です。

(出典)スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(キングベアー出版, 2013年)p.200

この考え方は自分の時間の使い方全般に使えるものですが、仕事をするうえでも非常に役に立ちます。日々押し寄せる膨大な仕事に対して、単に取り組みやすいものや期限が迫っているものから何となくこなしていくのではなく、「緊急度」と「重要度」を考えてさばいていくのです。

実は、多くの人々が、期限の差し迫った案件やメール対応といった、第ⅠおよびⅢ領域ばかりに時間を割いています。あるいは、本当はやっておくべき仕事の事前準備やスキルアップのための勉強などがあったとしても、仕事のストレスから第IV領域に逃げこ込んでダラダラと過ごしてしまうことは多いものです。

しかし、コヴィー博士は、第Ⅱ領域「重要度は高く緊急ではない」ことにこそ、フォーカスするべきだと述べています。

第II領域に何があるのかを自分に問いかけ、それらの活動に主体的に取り組めば、(中略)あなたの効果性は飛躍的に向上するだろう。先を見て考え、問題の根っこに働きかけ、危機に発展する前に対処するのだから、第I領域の危機や問題は管理できる範囲まで減っていき、たとえ問題が発生してもすぐに解決できるようになる。(※旧訳版 : 第ニ領域を行っていけば、効果性は高まり、それに伴って第一領域の問題は徐々になくなってくるだろう。そして、やがてそれは、対応できる範囲内に収まることになるだろう。なぜなら、あなたは、問題の根っこに働きかけているのであり、問題が発生する以前に、それを防ぐ活動を実践しているからである。)
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(キングベアー出版, 2013年)p.208より(※旧訳版p.221より)

第Ⅱ領域は緊急度が高くないためついつい後回しにしてしまいます。しかし第II領域に取り組まなければ山積みの問題は増えていく一方であり、緊急度の高い第I, 第 Ⅲ領域に時間やエネルギーを奪われ続けてしまうでしょう。

【ポイント】
そのため、まずは第Ⅲ領域(緊急度は高いが、重要度は低いこと)に割く時間を減らすためにも、重要でないことには「ノー」を言う勇気を持つことが上手な時間管理の第一歩なのです。

また、第I領域を減らすためには「人に委任する」という手段が有効です。しかしそのためにはやはり、「良い人間関係の構築」という第Ⅱ領域(重要度は高く緊急度は低い)にあたる活動を常日頃からしておくことが必要になります。

このように、第Ⅱ領域にフォーカスをすることは、長い目で見たときにビジネスの成功を生み出すのに必要不可欠なことなのです!

久保真介
久保真介
以下の記事を読んで、時間管理をマスターしましょう!

【名言➃】No Dealを選択肢の一つとして持っていれば、余裕を持つことができる(第4の習慣「Win-Winを考える」より)

第1〜3の習慣では、おもに個人の物事の捉え方や姿勢(=私的成功)について述べられていましたが、第4の習慣「Win-Winを考える」からは、他者との相互作用が大きく関わってきます。ビジネスでの成功は同僚や顧客、取引先といった相手との関わりなしには成しえないため、第4〜6の習慣は「公的成功」の習慣と呼ばれています。

ビジネスの場面において、Win-Winとは「自分と相手双方が利益を得られる」という意味であり、「協力関係」とも言えます。両者の利益を追及することは信頼関係を築き、気持ちよく仕事をすることができるのです。

そして、これからご紹介する名言は、第4の習慣「Win-Winを考える」を実践するときに、必ず経験するであろう「難しい判断をしなければならない場面」で、冷静に考える助けになることでしょう!

“No Dealを選択肢の一つとして持っていれば、余裕を持つことができる。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(キングベアー出版, 2013年)p.302より

他者と仕事をしていると、ときにはどちらか一方が不利な立場になってしまうような場面(Win-Lose or Lose-Win)、もしくは両者ともに不利益を被る(Lose-Lose)状況に出くわすことがあるかもしれません。そのような状態になってしまうようなら、たとえ自分が「Win」の側だとしても「No Deal(=取引しない)」という選択肢を取ることが長期的に見るとお互いの利益に繋がるのです!

自分も相手も望む結果が得られることを考えよう

Win-Winの関係を築けないとわかり「No Deal(=取引きしない)」という決断を下すことは決して逃げではありません。むしろ勇気ある決断なのです。Win-Winの関係を実現するために求められるものは2つ、「誠実さ」と「成熟」です。

まずは、誠実さ。自分のことだけではなく相手も思いやることができる人は信頼されますし、一緒に仕事をしていても安心感がありますよね。また、相手だけでなく自分への約束を守るという意味での「誠実さ」も、Win-Winの関係を築くための大前提です。

そして、成熟。No Dealとは、決して妥協するわけではなく、お互いが満足する結果が得られないことを見越したうえでの決断です。このような判断をできるためには、目先の利益や自分中心の損得勘定をしないという成熟さも求められてきます。

“まず人格があって、それによって人間関係が築かれ、そこで協定ができる。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(キングベアー出版, 2013年)p.306より

良い人格を持ち合わせて、初めて人間関係は結ばれます。そして、信頼関係を築くには、ある程度長期的な時間が必要となってきます。誠実さと成熟といった豊かな人格は、信頼関係を作る上での外せない重要事項なのです。

(関連記事)『7つの習慣』徹底解説④ ──「第4の習慣 Win-Winを考える」とは?(※近日公開予定)

【名言➄】共感とは、相手の視点に立ってみることである。(第5の習慣「まず理解に徹し、それから理解される」)

「Win-Winの構築」という人間関係の大前提となるマインドセットを理解しても、実際にそのような関係を築き上げるためには「コミュニケーションの取り方」を知らなければなりません。

コヴィー博士は、コミュニケーション能力を「人生においてもっとも重要なスキル」だと述べています。次の名言は、そんなコミュニケーションについての基本原則を教えてくれるものです。

“共感とは、相手の視点に立ってみることである。相手の目で物事を眺め、相手の見ている世界を見ることである。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(キングベアー出版, 2013年)p.345より

これは第5の習慣「まず理解に徹し、それから理解される」において登場するものです。言葉だけ読むと当たり前のことを言っているように感じるかもしれませんが、実際には「共感」というのは非常にレベルの高いコミュニケーションのスキルなのです。コヴィー博士は、次のようなついドキッとしてしまうような言葉を述べています。

“ほとんどの人は、相手の話を聴くときも、理解しようとして聴いているわけではない。次に自分が何を話そうか考えながら聞いている。話しているか、話す準備をしているかのどちらかなのである。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(キングベアー出版, 2013年)p.343より

自分のコミュニケーションの取り方を振り返ってみると、思い当たる節がある方も多いのではないでしょうか? 第5の習慣「まず理解に徹し、それから理解される」では、その名前通り良い人間関係を築くためには徹底的に「相手を理解する」ことにフォーカスすべきと説いており、そのための重要な手段として「共感」を挙げています。

見返りを求めず、まずは相手を喜ばすことだけ考えよう

相手を心の底から理解しようとしたとき、相手の幸せを第一に考え自分への見返りは一切求めない心が生まれます。そして、この境地に達成するためには、相手の状況を自分のことのように捉える「共感」が必要不可欠です。

久保真介
久保真介
全米トップ・ビジネススクール「ウォートン校」の史上最年少終身教授であり、ベストセラー『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』の著者アダム・グラント氏も、この見返りを一切求めない心のことを「ギブの精神」と呼び、成功するために重要なことだと述べています。

【ポイント】
共感的な姿勢を取るためには、とことん「傾聴する」という姿勢が求められます。自分の考えを押し付けるのではなく、ただ相手の話をひたすら聞く。会話のテクニックではなく、本当に相手のことを理解したいという気持ちで相手の話をよく聴くことが大切なのです。

傾聴というテクニックを身につけるには時間がかかります。まずは、今までの自分のコミュニケーションを見直して、傾聴するということを意識していきましょう。傾聴が自然にできるようになれば、他者より圧倒的に信頼されるようになり、「信頼残高」が貯まります(詳細 → 信頼残高とは? ※後日公開)。

この「信頼残高」を貯めていくことが、一人では成しえない成果をあげることにつながっていくのです。

(関連記事)『7つの習慣』徹底解説⑤ ──「第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される(理解してから理解される)」とは?(※近日公開予定)

【名言➅】本当に効果的に人生を営む人は、豊かな資源を活用する謙虚さを持っている人である(第6の習慣「シナジーを創り出す」より)

第6の習慣「シナジーを創り出す」は、最も高尚な他者とのかかわりを実践して行くステージです。

本当の意味で効果的な人生を生きられる人は、自分のものの見方には限界があることを認められる謙虚さを持ち、心と知性の交流によって得られる豊かな資源を大切にする。(※旧訳版 : 本当に効果的に人生を営む人というのは、自分のものの見方に限界を認め、他の人のパラダイムと考え方に接することによって得られる、豊かな資源を活用する謙虚さを持っている人である。)
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(キングベアー出版, 2013年)p.408より(※旧訳版p.416)

「パラダイム」というのは「モノの見方や捉え方」という意味です。仕事をしていると、時には意見がぶつかることもあると思います。そんな時に、意見の衝突をネガティブに捉えるのではなく多様性があると尊重し、むしろ活用していこうと前向きに捉えられる謙虚さがシナジー(=相乗効果)を生み出すのです。

自分の意見を押し通すのではなく、傾聴してかつ尊重する姿勢を持ったうえで相乗効果を発揮させるためには、第1の習慣から始まる各習慣を実践することで身に着けられる高い人格が要されます。

相乗効果によって、一人では成しえない成果を上げよう

コヴィー博士は、相乗効果について以下のように述べます。

“他者とのコミュニケーションが相乗効果的に展開すると、頭と心が解放されて新しい可能性や選択肢を受け入れて、自分の方からも新しい自由な発想が出てくるようになる。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(キングベアー出版, 2013年)p.384より

意見の衝突や話し合いは、ときに神経をすり減らし出来れば避けたいと思うものかもしれません。しかし、妥協するのではなく他者と協力して違いを乗り越えて初めて、一人では到達できない何倍もレベルアップした境地に到着できるのです。

久保真介
久保真介
シナジーを生み出すことで、仕事を心から楽しむことができるようになれます。ここまで来たら、もう「やらされている感」はなくなっていますね。

(関連記事)『7つの習慣』徹底解説⑥ ──「第6の習慣 シナジーを創り出す(相乗効果を発揮する)」とは?(※近日公開予定)

【名言➆】人生に立ち向かうとき、使える道具は自分自身しかない(第7の習慣「刃を研ぐ」より)

最後の名言は、仕事だけでなく人生全般にも言える、自分を奮起できるものです。

“「刃を研ぐ」ことは、自分の人生に対してできる最大の投資である。自分自身に投資することだ。人生に立ち向かうとき、あるいは何かに貢献しようとするときに使える道具は自分自身しかない。”
── スティーブン・R・コヴィー 著『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』(キングベアー出版, 2013年)p.426より

第7の習慣「刃を研ぐ」は、第1〜6の習慣を実践して公私共に成功したうえで、さらに自分自身を高めるステージです。最終段階の「第7の習慣」では、「肉体・知性・社会情緒・精神」の4側面を鍛え上げていくことが人格を磨くことに繋がり、それこそがビジネスにおいても人生においても成功を収める原動力になると説かれています。

著書のタイトルの一部にもなっている通り、コヴィー博士は人格を磨くことに重きを置いていますが、その理由を最後に深堀りしていきましょう。

自分を大切にすることとはつまり他人を大切にすること。自分の人格を磨いていこう

各習慣を実践し自己研鑽に励むことで、自分自身の中にブレない軸を作り、自分の人生を前向きに捉えられるようになります。そして、心に余裕を持っている状態であるため、他人も自分と同じように尊重することができます。

【ポイント】
「使える道具は自分自身」というコヴィー博士の言葉の裏には、安定した自己を持つことで自分自身に納得ができてどんな状況でも乗り越えられる「強さ」と、他人への「やさしさ」を兼ね備えた人間の完成が含まれているのです。

7つの習慣を実践していけば、今日から誰でも人格を磨き立派なビジネスパーソンになることができます。7つの習慣を実践するために、家庭環境や才能といった生まれもったものは一切関係ありません。自分の考え方次第で変わることができるのです。日々の仕事でトライ&エラーを繰り返しながら自分自身を高めていくことで、いつの日か過去の自分とは比べ物にならない誇らしい自分に出会えることでしょう。

久保真介
久保真介
コヴィー博士の主張はもしかすると理想論や精神論のように聞こえるかも知れません。しかし、同様のことはアドラー心理学においても説かれており、多くの成功者たちがその正当性を証明してきたことなのです。アドラーの教えを知りたい方は、ぜひベストセラー『嫌われる勇気』も合わせて読んでみることをおすすめします!

(関連記事)『7つの習慣』徹底解説⑦ ──「第7の習慣 刃を研ぐ」とは?(※近日公開予定)

(こちらもおすすめ)【要約/感想】ベストセラー『嫌われる勇気』を5つの要点でわかりやすく解説!(※近日公開予定)

【まとめ】『7つの習慣』の名言から、ビジネスの本質を学び実践しよう

『7つの習慣』では、まずは自分自身の人格を高める第1~3の習慣で「私的成功」から始まり、他者とのかかわりを通して「公的成功」を成し遂げる第4~6の習慣をふまえて、さらに個人の自己研鑽を絶え間なく行っていくことで、成功をもたらすと約束しています。

いつも楽しいことばかりではないのが仕事というものです。ときには理不尽なことに対処しなくてはいけない時もあると思います。しかし、どんな困難な状況でも立ち向かっていかなければいけない時に、頼りになるのは他の誰でもない自分自身。自分の人格を磨けば、自己肯定感が高まり周囲を思いやる余裕が生まれ、他者から信頼されて、ポジティブなエネルギーが生まれます。人生の3分の1を仕事に捧げているからこそ、仕事を楽しむということは人生を楽しむことなのです。

『7つの習慣』には、ビジネスパーソンとして押さえておきたい考え方や名言があふれています。今回は、各習慣から一部を抜粋しただけですが、著書は500ページを超える大作となっているため、ぜひ一度手に取って読んでみてください!

(こちらもおすすめ)『7つの習慣』総まとめ ── 世界一の自己啓発本のエッセンスをまとめて解説!(※近日公開予定)

【参考資料】

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久保真介
最大手美容室チェーンで売上.指名共に1位を獲得し独立するものの猛烈な赤字でスタート。マーケティングを学び駆使した後、圧倒的な黒字化の仕組みを構築。サロン経営者にコンテンツセールスやコンサルをスタート。3年で複業月収8桁を達成。600名以上が登録する無料オンラインサロン(MAKE TIME)や、”ロイヤル顧客リピートで満席の仕組み”を構築できる実践型のオンラインサロンを運営。コンサルタントとして50件以上のサロンを年商800万~3000万以上UPさせた実績を持つ。現在ではサロンのロイヤルリピート経営の仕組み化や、複業のサポートコンサルを継続中。
”ロイヤル顧客で満席の仕組み”を詰め込んだ『Ocean-factory』

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